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「母よ! 殺すな」(生活書院)2010年05月22日 17時17分15秒

「母よ! 殺すな」が復刊されているのを偶然知りました。
急いで購入して、一気に読みました。

大変重要な一冊です。
それも歴史的にとどまる価値があると思います。
だけど、絶対にベストセラーにならないし、日本人の10人が読めば、そのうち9人は反発を憶えるのではないでしょうか?

CP(脳性マヒ)の重度障害児の将来を悲観する母親。
こんな辛い生き方をするくらいならば、死んだ方が幸せ。
思い余った母親は我が子を手にかける。
世間は母親に同情し、助命嘆願の署名が集る。

しかしこれって、、、。

殺される側としてのCP者には、とても容認できない。
自分たちは殺されても仕方の無い存在なのか?
労働が出来なければ、社会に出て働けなければ、価値の無い存在なのか?
施設に集団で押し込められ、社会から隔離され、それで幸福なのは「社会の側」なのか「障害者の側」なのか?

同情を得て、理解していただいて、お世話になる、、、こういった従来の障害者の生き方に反旗を翻し、闘うCP者として生き抜いた横塚晃一さんの思想がぎっしりと詰まった一冊です。

皆さんの目に留まることなどほとんどない本だし、興味をそそられることもほとんどないと思います。
しかしこの本は、これからもずっと生き続けると思います。
こういう本が歴史を進歩させ、人間の幸福の道行きを指し示すのだと僕は確信します。

人生をふと立ち止まってみようと考えた時には、ぜひ読んで頂きたい思想書です。

「母よ! 殺すな」その22010年05月23日 13時37分39秒

母よ! 殺すな
昨日の続きです。
この本は装幀も大変良いと思います。

カバーの横塚さんの写真を見てください。
一瞬、タバコを吸っているのかと思ったのですが、そうではないんですね。

ちょっとメルヘン風でなんとも風情があります。
本の内容とは少しイメージが違いますが。

題字のフォントや、白と黒の色使いも見事です。
本書に含まれている何枚かの写真もすべていい。

巻頭の文章は、本多勝一さんです。
この文章は今から30年近く前に読んだのですが、非常に強烈でいまだに鮮明に憶えています。
本多さんが数多く書いた論文の中でも屈指のできではないでしょうか?

460ページで、2500円は安いと思います。

「マルコムX自伝」(中公文庫)2010年05月24日 20時44分23秒

マルコムX
マルコムXなどというと、「またなんでそんな過激な本を」とか、「お前はものの考え方が偏っている」とか、いろいろな悪口を浴びそうです。
僕の家内も大変ですよね、こんなへそ曲がりな亭主を持って。
ま、しかし、それは諦めてもらうしかありません。

さて、「マルコムX自伝」の完訳が、最近、再版になったのを知り、さっそくAmazonで買いました。

マルコムXの生い立ちやその思想に関して、これまでいろいろな書物などで知っていましたから、取り立てて驚く内容はありません。
彼の思想をここで紹介したら、みなさんは腰を抜かして驚いて、「なんて偏った物の見方!」とか言って、「ドンビキ」状態になってしまうでしょう。

今日、書きたい内容は、そういった彼の思想信条ではなくて、この本の成り立ちです。

著者名は「マルコムX」となっていますが、実際にこれを書いたのは、アレックス・ヘイリーであることはかなり有名です。
ヘイリーと言えば一世を風靡した「ルーツ」の著者ですよね。
え? 「ルーツ」を知らない?
・・・・
で、これは長時間にわたってヘイリーがマルコムXにインタビューをして聞き取ったものを、彼の一人称として書いている訳です。

これはヘイリーの聞き取り技術がすごいのか、マルコムXの記憶力がすごいのか、よくぞここまで詳細にわたって自分の半生を語れると思います。
ちょっと信じがたいほどです。

「取材」と「インタビュー」は、また別なものなのですが、これはもうそういったことを突き抜けて、二人の共同作業みたいなものかもしれません。

ノンフィクション文学の成り立ちという視点からみても、大変興味深い作品です。

いつの世にもいる2010年05月25日 22時45分03秒

サイモン・シンの「宇宙創世」につまずいてそのままになっています。
この本を薦めてくれたのは僕の弟。
古代ギリシャの時代に、月や地球の直径、そして太陽までの距離までが分っていたってすごいと思わない? ま、そんな感じで薦められた訳です。

読み始めてみて、確かにそれはすごいと思うけど、別に古代ギリシャだからすごいとは思わない。

だって、この現代の時代に生きている僕は、どうやって地球の直径を計測したか知らないのですからね。
ですから、古代ギリシャの時代に、そういったことを計算できた「偉い人」がいてもちっとも驚かない。
というか、そういう人って、いつの時代にもいるんですよ。

めちゃくちゃ、頭が良くて、数式を立てられて、計算ができて。
どの時代のどの地域にもいたと思いますよ。

僕はそういう人間とは縁遠いし、真似もできなければ、真似もしたくない。
地球の直径がどれくらいか、一生知らなくても構わないと思っています。

ですが、こういうことには興味があります。

我が祖国・日本はGNP世界第二位の大国です。
こんなに狭い国土、資源に乏しく、農業にも適さない山間部の多い土地。
しかし世界第二位ってすごいことですよね。
この経済力はどこから来るのでしょうか?

日本人が勤勉だから?
創意工夫に長けているから?
道徳観がしっかりしているから?
要するにまじめだから?

こういう問いに対する答えを出せることの方が、地球の直径よりも大事だと思います。

情けない、肩が上がらない2010年05月26日 21時53分16秒

今日はクリニックを休診にして、学校健診へ出かけてきました。
朝9時から始まった健診は、200人以上の生徒さんを診終えた時には、お昼近くになっていました。

一人あたりの時間は短かったかもしれませんが、僕としては真剣に一生懸命診ました。

終わって帰宅すると、情けないことに、肩が上がらない。
要するに老化ですが、僕の人生で出来ることは限られていますから、来年も、また再来年も真剣に一生懸命やりましょう。

そんな訳で、今日はもう早々に就寝しましょう。

新しい時代、電子書籍2010年05月27日 20時07分14秒

いよいよ明日、アップルのiPadが発売されます。
大ブームになるという人もいますし、たいして売れないと分析する人もいます。
そもそもiPadとは何なのか?という問題もありますので、売れ行きに関してはなかなか予想は難しいでしょう。

しかしそのアップル社。
株式時価総額がマイクロソフトを抜いて、IT企業として世界一になりました。
アップル社を立ち上げたスティーブ・ジョブズは、当時大学生で、友人と二人で車のガレージでコンピューターを作り始めたのが最初です。
たった二人の大学生がIBMに闘いを挑んで、いまや世界一の座につこうとしているという訳です。

アップルが、iPodを作って音楽業界に挑んだ時、日本人のほとんどはその意味を理解することができませんでした。
いまやユーザーはCDを買わなくなり、その煽りで(音楽会社が広告を出さないため)雑誌スイング・ジャーナルも休刊になります。

同じことが電子書籍で起きるのかどうなのか?
iPadの目玉の一つが電子書籍。
そして今日、「ソニー・朝日新聞・KDDI」が新しい電子書籍の世界に参入してくると宣言しました。

ネットを見ていると、いまだに「紙」と「デジタル」を比べる議論がありますが、それはあまりにお粗末。
結論を言えば、両者は必ず両立します。
パイが増すと言ってもいいでしょう。

明日のiPad発売、やじうま根性で楽しみに見守りましょう。

日本人にはできない2010年05月28日 19時55分21秒

今朝の毎日新聞のコラムを読むと、次のような一文がありました。
アップル社のスティーブ・ジョブスについて書いたものです。

*****************

「私の使命は宇宙にへこみを作り、世界を変えることだ」とはジョブズ氏の言葉だ。優れたアイデアと10年余の歳月で世界は変えられる--むろん日本人にもそれができぬわけがない。

*****************

いや、日本人にはできないと思います。
日本人っていうのは、横並びの文化ですから、出る杭は打たれる訳です。
ジョブスみたいな天才的な学生は、その芽を早々とつぶされてしまうと思います。

日本が今後何十年にわたってサイエンスに莫大な国費を投入しても、日本人ノーベル賞受賞者がアメリカを上回ることな無いと思います。

でも僕はそれでいいと思っています。
日本人が日本らしさを失ったら、世界の中で生き残っていけないから。
我々は自身の長所と短所、それは合わせ鏡になっている訳ですが、それをきちんと知って、これからの少子高齢化の時代を生きていくべきでしょう。
アメリカみたいな国を目指す政治家は、結局、国を売ることになります。

私自身らしさ、その再認識が大事です。

総理大臣にはファシストを2010年05月29日 22時39分21秒

普天間基地移設に関して鳩山総理大臣が記者会見を開き、形の上では一応の決着をつけました。
しかしこれに納得する国民は少ないようで、週明けの世論調査ではさらに支持率を落としそうです。

沖縄の基地を県外や国外に持っていくことは、半永久的に不可能です。

アメリカの基地が世界のどの国にあるか皆さんご存知ですか?
それは日本とドイツとイタリアと韓国です。
韓国は朝鮮戦争のために基地がある訳ですが、残りの3つ、つまり日独伊というのは、第二次世界大戦の敗戦国です。
連合国の親分たるアメリカは敗戦国をいまだに占領している訳です。

そして日本はその基地の予算の半分以上を「おもいやり予算」として出しているのです。
沖縄の本土復帰というのは名目だけで、実態は敗戦後の日本のままということです。

もし仮に日本中の米軍基地をすべて国外へ持っていこうとするならば、日本中の民意が一つにならなければなりません。
もちろん、すべての政党も報道メディアも。
そして日米安保を破棄するくらいの決意で、いや、もう一回、太平洋戦争をして独立を勝ち取るくらいの姿勢で、いやいや、本当に戦争をしないといけないかもしれない。

でもそんなことは100%ありえません。
自民党は鳩山さんの失政に欣喜雀躍していますが、彼らだって基地は沖縄と思っている訳でしょ?
公明党だってそうでしょ?
読売新聞だってそうでしょ?
みんな沖縄がいいと思っている。
いや、日本人のほとんどが、自分の住んでいる地域には基地は来て欲しくないし、日米関係を壊したくないと思っている訳でしょ?

沖縄の基地問題はパンドラの箱なんです。
鳩山さんがそれを開けてしまったから、国民はみんな怒っている訳です。
自分の心の中を疚しい部分を指摘されると腹が立ちますからね。

さて、週が明けると民主党の中で鳩山さんの退陣論が湧いてくるようです。
鳩山さんは僕が見た総理大臣の中で、これほどたくさん謝罪した人はかつていなかった、そんな首相です。
これが彼のリベラルな姿勢なんだと思いますが、日本人にはこういうのは受けないんですよね。
謝るのが日本人の美徳なんですが、お上に謝罪されることに我々は慣れていない。

日本人が好む権力者は、ファシストです。
「公約を破っても、そんなの大したことない」と堂々と言う人が人気なんです。
でも「人生色々」とか軽いノリだと支持率を落とすんです。
さらに、日中関係を壊して靖国神社に参拝すると人気が出るんですね。

民主党も党首と幹事長を代えて、新しい総理大臣が自分のことを棚に上げて、社民党のことをクソミソにけなすと参院選は大勝利だと思います。

こういうのを衆愚政治だと言う人がたくさんいますが、政治というのは洋の東西を問わず、いつの時代でも常に衆愚です。
小沢一郎さんはそういうのが嫌で、日本人に自立して欲しいと言い続けている訳ですが、そんな日は未来永劫に来ないでしょう。
沖縄の基地と同じです。

iPadで家族会議2010年05月30日 21時41分45秒

ジャスコに行く途中、車の中でテレビを観ていたら、iPadの特集をやっていました。
家内と次女はそれに釘付け状態。
数分間の特集番組でしたが、家族はすっかりこの器械に魅せられたようです。

さて、買うか? どうするか?
長女もやはり欲しいと言う。

こういう時は、僕はいつも兄に相談します。
ITにとても詳しいので。
兄は発売初日にiPadをすでに手に入れていて、予想通り、これは良い商品だと。
僕の家内のように、器械に普段馴染んでいない人ほど、iPadに興味を示すそうです。

5万円もしない価格で、これだけの機能があって、本当に安い買い物だと思いますよ。
しかしこの商品は、魅力がありすぎると思います。iPhoneと同様に。

これを買ってしまうと、これまでに一家四人の団らんの時間が減ってしまうような気が、、、。
つまり、テレビを持っていない家庭にテレビが入ってくるような。
うーん。
商品に魅力がありすぎて購入をためらうなんて、これまでに経験したことが無いように思います。
罪深いですね。

さらに家族会議を継続してどうするか、考えましょう。

しつけと教育2010年05月31日 20時48分25秒

一般論を話しましょう。

先日、小倉台の泉幼稚園へ、そして源町の源小学校へ健診に出かけてきました。
今年でおそらく4回目になります。
毎年のことですが、園児・児童たちは大変礼儀正しく、静かに真面目に僕の健診を受けてくれます。

この礼儀正しさは、僕のクリニックでみる子どもたちと明らかに異なっています。
それは、子どもたちが異なっているのではなく、「学校」と「クリニック」という環境が違うからだと思います。

つまり今の教育現場というのは、「教師に昔の威厳がない」とか、けっこう一方的に批判されますが、僕は全然そんなことはないと思います。

幼稚園や学校というのは、明らかに教師のガバナンスが働いていて、子どもたちは緊張しています。
それはそうでしょう。
当たり前の話です。

家庭の中で子どもをしつけるというのは本当に難しいことで、親子の双方に甘えがあったり、親に自信が無かったり、あるいは、しつけの方法が分らないという親御さんもいます。
学校が、「しつけは家庭でお願いします」と言っても、結局、人間は学校の集団生活の中でしつけを学んでいるのだと思います。
それくらい教育というのは、人間形成に大きな影響を与えるものです。

だからと言って、親がしつけの方法が分らないという言い訳は成り立たないでしょう。
子どもの成長に最後に責任を持つのは親ですからね。
そういう大人が、「鳩山さんは無責任だ」とか、他人の無責任を指弾できる訳がありません。

しつけとは何でしょうか?
これを論じ始めると一冊の本になってしまいますが、ヒントとなる要点を挙げてみましょう。

1 子どもと大人の最大の違いは、子どもは広義の意味で自立していないことです。従って、しつけとは、自立への道筋を教えることです。
2 子どもの人格を認めることが極めて重要です。どうせ子どもだからと見下した時点で、しつけは失敗します。
3 具体的な手段は、「くり返す説得と同意」です。そしてこれこそが教育だと僕は考えます。
4 そういう意味で、暴力は最悪です。肉体的な暴力はもちろん、心の暴力は絶対にしてはいけません。

僕は自分の子どもたちに、ダメな大人を例をくり返し教育しています。
たとえば、街中を銜えタバコで歩いている人間を見かけると、「ああいうダメな人間は、一生ダメなまま。何をやってもダメで、ずっとダメなままで生きていく」と教えます。

7歳の次女はすっかりそのフレーズを憶えていて、僕の説教が始まると、「分ってるよ、一生ダメなんでしょ?」と突っ込みが入ります。

ですから、次女がごねて、ふてくされて、わがままを言い出すと、僕はこんなふうに言います。
「お前のそういう行動が自分を傷つける。自分も悲しい思いをして、父さんもママも悲しい思いをする。家族みんなが悲しい思いをする。そういうことをする人間はダメな人間だ。そういう人間になってはいけない」

こういうことを、くり返し説明して同意を得るのです。

参考になりましたか?
陳腐な意見に過ぎなかったでしょうか?