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「死刑台からの生還」(岩波現代文庫)2010年05月20日 21時21分55秒

鎌田さんの「死刑台からの生還」を読みました。
死刑を宣告され処刑を待つ谷口繁義さんが、再審を訴えて冤罪が明らかにされた「財田川事件」のルポルタージュです。

この本の面白さは、本としての出来というよりも、冤罪を見事に晴らした弁護士の矢野さんの生き方にあると思います。

自分の安寧な人生をすべて捨てて、一人の死刑囚のために余生のすべてを、それこそ命を含めて賭けて闘った弁護士。

こういう生き方はなかなか出来るものではありません。
特に歳を取ると、人間は守りに入りますから、ますます保守的になります。
たった一人の人間が世界を動かすとは、僕の恩師の先生の言葉ですが、本当にそういったことを感じさせる生き方です。

「財田川事件」も「狭山事件」も要するに、不良警官による拷問と調書のでっちあげ。
無学の人間を血祭りにあげて、本人は快感を覚えていた訳です。

こういうサディスティックな人間はどこの世界にもいます。
医者にもいます。
残念ながら。

しかし同時に、真実を追究するために地位や名誉を捨てる人間も、またいるということです。
冤罪事件がなかなか解決しない理由は、裁判官の官僚根性があるからです。
こういった裁判官は社会的には高い地位にいるかもしれませんが、やがて歴史の流れからは消え去っていきます。
真に記憶される人間は、谷口(元)死刑囚であり、矢野弁護士であり、ルポライターの鎌田さんです。
貧乏かも知れないけど。