映画『Black Box Diaries』を観て、感じたこと2026年01月14日 15時46分46秒

映画『Black Box Diaries』を観て、感じたこと
先日のブログでは、映画の内容と離れて、許諾のない映像を使用したことへの問題点を論じました。
今回は映画そのものへの感想を書きます。
映画は「Diaries」ですから、日記です。つまりセルフドキュメント。
伊藤さんの闘う姿を自分で記録したわけです。

ドキュメントなのに、過剰な説明がなく、それでいて訴えたいことが明確なのは、映画のクオリティーの高いことの証明でしょう。
伊藤さんの内面も、そして闘いの合間に見せる「素顔」も、非常にいいバランスで描かれていました。
風景描写を含めて「要らない」映像がほとんどなく、非常に良質に凝縮されていたと思います。これは編集もいいのかもしれません。
また、クライマックで弩級のドラマが待っていますが、これは神様からの伊藤さんへのご褒美だったのかもしれません。
泣かないで観ることは、かなり難しいです。

でも一番大事なことは、伊藤詩織さんが、この映画を作ったそのこと自体です。
実名・顔出しで告発し、本を出版し、裁判闘争をし、ドキュメント映画を作る。
そのつど、2nd, 3rd, 4th, 5th レイプのような目に遭うわけです。
試しにSNS(Xなど)を見てください。伊藤さんにどれだけ悪罵が投げつけられているかが分かります。

彼女は文字通り命を賭けてこの映画を作ったのだと思います。
なぜでしょう? それはジャーナリストだからです。
不正を告発しなければ、ジャーナリストをやめることになります。
それは伊藤さんにとって、自分の立っている土台を捨ててしまうことになるでしょう。

この映画でぼくが非常に印象に残ったのは、伊藤さんの父親の言葉です。
闘いをやめて、いい人を見つけて結婚して、子どもを生んで、自分の近くに住んでほしい。
ぼくも二人の娘の父親なので、その気持ちが痛いほどよく分かります。
でも、伊藤さんは闘うことを選びました。それはつまり、家族と離散してしまうということです。
それを思うと、ぼくは胸が締め付けられるような気持ちになります。
「泣き寝入り」しない人生が、なぜ、こんなに過酷なんでしょうか?

ぼくはこの映画を若い人に観てほしいと思います。
10代、20代の人に観てもらって、20年後の日本を変えてほしいと願っています。
諦めたら、世界は変わりません。
しぶとく、投げ出さず、なお一層力を込めて、続けていくこと。
そういう人が一人でも多く増えていけば世界は変わります。
見てみたいな、そういう世界。

『BLUE GIANT』を観る2024年03月09日 22時12分54秒

『BLUE GIANT』を観る
評判通りのいい映画でした。
最近のアニメーションの技術はすごいですね。途中、実写かと思う場面がいくつもありました。
音楽は、上原ひろみさん。この作品で日本アカデミー賞を取りましたね。
たしかに音楽はめちゃよかったです。
ちょっと、ジョン・コルトレーンのような感じで。
映像表現も実に見事でした。圧巻です。
現在、Amazon Prime Video で無料で観ることができます。
おススメの1本です。ぜひ、どうぞ。

映画『学校 II 』2024年01月20日 22時29分05秒

映画『学校 II 』
第2作は、特別支援学校高等部が舞台です。
この映画も山田洋次監督の良さが十分に出ていました。
最高によかった俳優さんは、吉岡秀隆です。軽度知的障害を大変うまく演じていました。
「自分は、自分が馬鹿であることが分かってしまうからつらい」という台詞がこの作品の真髄と言えるかもしれません。
涙無くして観ることはできません。

内容とはちょっと別なんですが、いしだあゆみさん。本当に綺麗ですね。
ぼくは「ブルーライト・ヨコハマ」の時からずっと知っていますが、年齢を重ねてからの方が綺麗なんじゃないでしょうか。
すごくよかったです。
おススメします。

映画『学校』2024年01月16日 22時58分40秒

映画『学校』
前からずっと観たいと思っていました。
明日は休診日でちょっと時間に余裕があったので、Amazonで視聴しました。

この映画には山田洋次監督のヒューマニズムの素晴らしさが、とてもシンプルな形でよく表現されていました。
テーマは学校。
この世の中には、学びたくても学べない人がいること、そして学びたいと思えば、学ぶ場があることを描いています。

ぼく自身は経済的に恵まれた環境で育ったのではなく、親戚の人たちもみんな学歴がありませんでしたので、身近に会社勤めの人はいませんでした。
ですから、子どもの頃から、この世の中にはいろいろな職業があり、人から羨ましいと思われない仕事だって存在し、それでも人は働いて生きていかなくてはいけないということをよく分かっていました。

教育がいかに大切なのかは両親に学んだと言えます。
うちの両親は大変苦労して育ち(特に父親)、そのため中学を卒業して10代の頃から働いていました。
うちの父親がぼくに残したものは、教育です。
いえ、私立の中高一貫校へ行かせてくれたとか、進学塾に行かせてくれたとか、そういうことは一切ありませんでしたが、学ぶことの大切さは教えてもらったと思います。

教師ってなんでしょうか。生徒に教えること。それはすなわち自分が学ぶことです。
そしてこの映画のように、夜間中学で教えるということは、「働き口」としての教師ではなく、社会に役立つ、社会に貢献する仕事をしている教師だということです。

ぼくは人生後半戦に入って、何か社会に役立ちたいと最近強く感じるようになりました。
今のクリニックは完全に軌道に乗っていますので、誰かに譲っても患者家族は困らないと思います。
すると、少し違った仕事、儲けはほとんどなくていいから、人の役に立てる仕事を見つけたいという気持ちがあります。

自分に何ができるのか、少し真剣に考えたいと思っています。
大変いい映画でした。おススメします。

映画『香川一区』2022年12月17日 22時52分10秒

映画『香川一区』
大島新監督の『香川一区』を観ました。
前作の『なぜ君』に負けず劣らない、骨太のドキュメント大作でした。
小川淳也さんの対立候補である平井卓也さんが結果として「悪役」に描かれていましたが、それは彼らがそういう態度をとるからであり、映像はありのままを映し出していました。

平井陣営は、まるでチ◯ピラかゴロ◯キのような人を雇っているんですね。ああ、怖かった。
平井さんは選挙戦を不利と見て焦っていたのかもしれませんが、こういう映画に仕上がってしまったら、今後、有権者に相当印象が悪いんじゃないでしょうか。

しかしまあ、自民党の政治(選挙)のえげつなさを心底感じました。これは政権交代は簡単じゃないですね。
もうシステムとして自民党が勝つようにできているんですね。
そんな中で小川さんはよく勝ったと思います。
「正直者がバカをみない」勝利。すばらしいじゃないですか。

一級品のドキュメンタリー映画でした。PR映画ではありません(笑)。

映画『アメリカン・スナイパー』2022年11月19日 22時56分29秒

映画『アメリカン・スナイパー』
クリント・イーストウッドの映画です。
毎回のことですが、強烈なエグさでした。もちろん、ぐいぐい引き込まれる面白さはあるのですが、ただの娯楽で終わらないところが真骨頂ですね。
愛国って何なんだろうと考えてしまいました。
『ディア・ハンター』のこともちょっと思い出しました。

21世紀最高の映画監督はイーストウッドではないでしょうか。
この爺さん、とてつもない人です。

映画『トップガン マーヴェリック』2022年11月16日 22時40分48秒

映画『トップガン マーヴェリック』
『トップガン マーヴェリック』を観ました。
ちょっとご都合主義の展開もありましたが、さすがハリウッド映画!
おもしろかったし、胸が熱くなりました。
1作目のあらすじは知っておいたほうがいい感じです。

トム・クルーズってぼくと同じく還暦なんですよね。
何でこんなに違うの?(笑)

映画『八日目の蝉』2022年11月13日 22時50分37秒

映画『八日目の蝉』
原作は読んでいませんが、映画をAmazonで観ました。
2時間を超す作品でしたが、引き込まれてしまいました。
親子関係って何だろうと、つくづく考えさせられました。拙著『ぼくとがんの7年』で少し書きましたが、ぼくは亡くなった両親と難しい親子関係を結んでいました。
そのせいかどうか、ぼくは二人の自分の子どもに過剰とも言えるような愛情を持っていて、自分の人生は、子ども二人のためにあるとさえ考えています。
うちの両親も過剰な愛情をぼくに持っていたのかもしれません。

医者になって35年が経ち、少子化と共に、子にかける親の愛情はますます濃くなっているように見えます。
しかしその一方で、うちのクリニックには児童相談所からの依頼で怪我を負った子が何人も受診します。
もちろん、虐待の結果による一時保護の子どもです。
子にとって親とは何なんでしょうか。

大変クオリティーの高い映画でした。
最近の子役さんってすごいですね。天才か!という感じです。

映画『朝が来る』2022年08月16日 17時11分23秒

映画『朝が来る』
河瀬直美監督の『朝が来る』をアマゾン・プライムで観ました。
2時間20分の映画を一気に観たので、全体の感想としては面白いという評価でいいと思います。
ただ、もう一つテーマが分かりにくかったかな。

主人公の夫婦は、特別養子縁組で赤ちゃんを迎えいれます。
そして子どもが6歳になったとき、産みの母親から「子どもを返してほしい」と電話がかかってきます。
話の出だしとしては最高に引き付けられるのですが、これは何を描きたかったのかなと、ちょっと疑問に思いました。

映画の手法としては、風景描写が非常に多く、詩的なシーンがたくさん出てくるのですが、少し演出過多かなと感じました。
このドラマは、育ての親の視点、産みの親の視点の両方から描かれていますが、後者をもっと強く描いてもよかったように思います。

ラストシーンは設定がちょっと唐突ではないでしょうか。
そんな感想を抱きました。
登場する役者さんの一人一人がいい演技をしていたと思います。
観てよかったです。

映画「君の名は。」を観る2016年10月05日 12時50分21秒

映画「君の名は。」を観る
現在、大ヒット中の映画です。
この映画の最大の魅力は脚本にあります。
話の転がし方、発想の奇抜さ、まさかこんなふうに展開するとは誰も思わないでしょう。
クリント・イーストウッドの映画が後半で話がガラリと変わることがあります(ミリオンダラー・ベイビーなど)が、そういった観客を惹き付ける面白さがあります。
では前半が平凡かと言うとそうでもなく、注意して観ていないと話を追えないので、一生懸命観ることになります。
スマホという道具やLineでの会話などが効果的に使われており、情報量がとても多いので、このことも映画に集中する理由になります。
この映画にはリピーターが多いと聞きますが、それはそうでしょう。
見逃すとわからない部分がいかにも多そうな出来になっています。

ぼくはアニメ映画をほとんど観ないので、この映画の絵のレベルはよくわかりません。しかし、非常に繊細で美しいと感じました。
専門的な知識がある人ならばもっと細かく感想を述べてくれるでしょう。

音楽も大変印象的に使われていました。これは曲を映画に採用したということではなく、映画に合わせて曲を作ったのでしょう。大変レベルが高かったです。

宣伝部はこの映画の予告編を作る時に大変苦労したのではないでしょうか?
短い時間でこの映画の魅力やストーリーを説明することはちょっと無理だと思います。

今年の夏は「シン・ゴジラ」が話題でしたが、それを遙かに凌駕する超・話題作になっていますね。
基本的には口コミでここまで広まったのだと思います。
良い作品(映画でも本でも音楽でも)は、必ずヒットするのだということを再確認しました。

ちなみに最後まで落涙せずにこの映画を観るのは至難の業だと思います。
一級品の映画です。