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日本ノンフィクション史 - ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで (中公新書) 武田 徹2017年03月26日 21時56分06秒

日本のノンフィクションの黎明期にスポットが当てられています。
大宅壮一と沢木耕太郎に対する記述が多いのが特徴と言えるでしょう。

資料的価値の高い一冊と言えますが、日本のノンフィクション全体を俯瞰する解説的な娯楽性は追求していませんでした。

ノンフィクションとは何だろう? とこれまで僕はさんざん考え抜いてきて、自分なりに結論も持っています。
またそういうことを語ってきたライターも多数いました。

ノンフィクションはフィクション(虚構)の否定ですから、事実(のみ)が書かれていればすべてノンフィクションということになります。
しかしながら、わざわざノンを付けて否定しているのは、この分野がフィクションの亜型であることも示唆していると言えます。
事実に(取材に)基づいて物語を組み立てるのが、ニュージャーナリズムだとすると、この形式はまさに虚構の否定という断りをいれた実録小説のようなものであり、ピュアなノンフィクションとは言い難いでしょう。

結局のところノンフィクションは、未来に向かって書くルポルタージュか、過去に遡る記録文学に大別されるのではないでしょうか?
物語性が水増しされたノンフィクションは、やはりフィクションの一種だと思います。
当然のことながら、ジャーナリズムはノンフィクションのコアの部分に存在します。
評論はまたちょっと別の分野ではないでしょうか?

最近は良質なルポが減っているような気がします。
講談社g2も廃刊になったし、週刊金曜日もルポ大賞を中止してしまいました。
寂しいですね。

フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方 (光文社新書) 筒井 冨美2017年03月24日 22時02分21秒

フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方
サブタイトル通り、医者の稼ぎ方を書いた本でした。
ぼくは医師になって30年になりますが、これまで一度も「稼ぐ」という観念を持ったことがないので、こういうことを考える医者がこの世の中にいるのかと感心しながら読みました。

僕は医者になって3年目に大学院へ進学しました。収入は週に1回のアルバイトだけ。
1回、1万7千円でしたから、月収は6万8千円でした。授業料を払い、アパート代4万2千円を払うとあまりお金が残りませんから、生活はギリギリでした。
で、日本育英会から奨学金を頂きました。

しかし英語論文は次々を書くことができました。
ネットの無い時代ですから、論文の別刷り請求が世界中(主に東欧とアジア。たぶん、コピー機が無かったのだと思う)から来ました。

貧乏だったけど、楽しかったな。
その名残なのか、今でも「稼ぐ」という発想がありません。
ですから、自分のおこなっている診療行為の料金を知りません。たとえば、エコーをやると何点(1点=10円です)なのか、そういうことをまるで知りません。
そもそも、診療というのは、営利を目的にしてはいけないことが法律に書かれています。
つまり、お金儲けのために開業してはいけないのですね。
現在の僕は、この本の著者のように大金持ちではありませんが、時々患者さんに感謝されたり、家へ帰れば家族とビールが飲めるので、それだけで幸福です。

天皇陛下の心臓のオペをした天野先生はバイトをしまくりで年収が5千万円もあるそうです。
全然羨ましくない。

手術数でわかるいい病院 2017 (週刊朝日ムック)2017年03月23日 21時46分01秒

手術数でわかるいい病院 2017
すごい本ですね。
週刊朝日の編集部はよくここまで調べたなと驚きます。
手術数の多い病院が、いい病院。そういう観点で作られた本です。
資料的な価値はあると思いますが、このランキングを見て病院を選ぶ患者さんなんているのでしょうか?
だって自宅からの近さも重要ですよね。
車で2時間の病院なんて、たとえ癌にかかっても行かないのではないでしょうか?
僕の場合は、自宅から30分程度のところに千葉大病院や国立千葉病院や千葉市立病院がありますので、それ以上遠くの病院に行く気はしません。
それにこれらの病院の医師は、千葉大医学部出身ですから安心感があります。この本のランキングに入っていなくても全然OKです。
ま、そんなことを思いながらナナメ読みしました。

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書) 野口悠紀雄2017年03月22日 22時09分18秒

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能
これはとても面白い本でした。
知識・情報がどのように進化してきたのかを解き明かし、ある意味、グーグルが現代の世の中を支配している構造を見事に分析しています。
数々のベストセラーを書いた野口悠紀雄さんの面目躍如という感じでしょう。

数年前にノンフィクション作家の佐野真一さんにインタビューしたことがありますが、その時、佐野さんはネット社会が何をもたらしたか誰かが総括しないといけないと言っておられました。
野口さんの分析は、まさに現代という時代の情報の仕組みを鮮やかに説明しています。

今の子どもたちは、テレビなどは観なくてYou Tube を観ると言われていますが、あと20年くらいすると、倒産するテレビ会社やラジオ会社が出てくるかもしれません。
雑誌も終焉に向かうのかも。

電子書籍はこれからも伸びていくでしょうけれど、紙の本は残ると思います。これは野口さんも指摘しています。

新聞はどうでしょうか? やはり残るのではないでしょうか?
新聞はかつては第4権力などと評されました。
現在はそういう力は無いようです。
権力を監視することがジャーナリズムの本来の役割ですが、新聞は、もしかしたら政権に密着して影響力を持った方が生き残れるかもしれません。
つまり公明党のように野党より与党の立場ですね。
政権党と共にあれば、滅びることはないかもしれません。

情報の拡散の仕方は、これまでにはあり得ない形になっています。ジャスミン革命の例を持ち出すまでもありません。
僕はつい最近まで、BUZZ FEED というネットメディアの名前を知りませんでしたが、情報の発信という形態からいうと、こうしたメディアは既存のジャーナリズムを凌いでいく可能性があります。
ヴァイラルメディア(ウイルスのように広がっていく)と言うそうです。

世界でインターネットが広がり始めたのが1995年。
それからまだたったの20年ちょっとですが、知識・情報のあり方は完全に様変わりしました。
僕はあと何年生きられるかわかりませんが、自分の孫の代には、今とまったく異なる社会が出来上がっているかもしれません。

ま、しかし人工知能がこれだけ話題になっている時代なのに、ワープロの変換能力のひどさはどうにかならないのでしょうか?
ミスタッチしても、僕の意を汲んで文章を書いて欲しいものです。

「知の進化論」という大仰なタイトルに負けない内容の充実した1冊でした。ぜひ、オススメです。

ヨミドクター、連載19回目2017年03月21日 12時32分44秒

夜尿症について書きました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170224-OYTET50027/

昔は、「いつかは治る」という理由で放置でしたが、最近は積極的に治療する開業医が増えています。
悩んでいる方は、ぜひお読み下さい。

日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス (朝日新書) 原真人2017年03月18日 22時39分14秒

日本「一発屋」論
タイトルに惹かれて読んでみましたが、ある意味、面白かったのはタイトルだけでした。
要は、アベノミクスに対する徹底的な批判の書です。
僕は経済には詳しくないので、こう言われればそういうものなのかなと思います。
多分当たっているのでしょう。

大衆迎合的な政治を衆愚政治と言いますが、政治とはそれが本質だと思います。
日本人もアベノミクスを心から良いと思っている訳ではなく、「無策よりマシ」と思っているのではないでしょうか?
ま、一応株価は上がっていますから、雰囲気としては良いなと感じているのかもしれません。
民主党の「財源無き子ども手当」より全然良い政策と判断している部分もあるでしょう。

リフレとは、人為的にインフレを起こすことです。つまりデフレからの脱却ですね。
著者によれば、リフレ派の人たちは「雨乞い」理論を使うそうです。
たまたま雨が降れば、「ほら、雨乞いの効果があったでしょ?」と言い、雨が降らなければ「祈りがまだ足りない」と言い張る訳です。
アベノミクスは道半ば、などと言えば、安倍政権は半永久的に続くことになりますね。
ま、野党がへなちょこ過ぎるので、それもあり得ると思います。

だけどそれにしたって、「一発屋」はレッテル貼りに過ぎるのではないでしょうか?
あ、これは安倍ちゃんの好きなフレーズでしたね。

鬼手仏心 (高崎 健)2017年03月14日 22時08分53秒

鬼手仏心
千葉大学医学部が世界に誇る中山恒明先生の評伝です。
筆をとったのは、お弟子さんの消化器外科の先生。
中山恒明先生というのは、日本の、いや、世界の食道外科の基本を作った先生です。
先生が千葉大にいた当時、全世界の食道癌の成功例の半数は中山先生による手術だったとされています。
千葉大医学部の正門の前には旅館がずらりと並んでいました(この20年くらいで消えてしまった)。
それは、全国から中山先生の手術を希望して患者さんが千葉に集まってきたからです。
山崎豊子の「白い巨塔」の主人公である財前五郎が中山先生をモデルにしていたのは、この業界では有名な話です。

さて、先生がご立派だったのは、弟子を育てたことに尽きると思います。
手術の方法に工夫をこらし、誰もが簡単に確実に成功する手術方法を開発し、それを日本中、世界中の外科医に惜しげもなく教えたのです。
この姿勢は研修医に対するトレーニングにも通じていて、先生は何千人という新人外科医を教育しました。

この本には書かれていませんが、先生は患者の死亡時刻を18時間ずらすという事件に関わりました。ずれた18時間の間に内縁の妻が、患者さんと婚姻の手続きをして財産の相続をしたのです。
結果、千葉大学を辞し、東京女子医大に移って消化器病センターを作ることになります。
千葉大第二外科では、第2代教授をつとめていましたが、二外科の骨格を作ったのは中山先生と思われています。
そして二外科の伝統を、良い意味でも悪い意味でも最も色濃く引き継いだのが、僕の所属した小児外科教室と言われています(今はもう違うかもしれないけど)。

ですが本書を読むと、患者中心主義とか、若手を育てるとか、そういう中山スピリットが小児外科教室に脈々と生きていたかは少し疑問に思いました。
なにしろ小児外科初代教授先生は、「オレは教えない。盗め!」と広言していましたから。

さて、時代の流れとは残酷なもので、中山先生が開発した手術のうち今日でも残っているものはあるのでしょうか?
ビルロートの手術とか、葛西の手術のように、歴史に名を残すものは存在していないようです。
その時代の中で最先端のことをやる事と、未来を切り開く事はちょっと違うようですね。

先生は2005年に94歳でお亡くなりになっています。僕は、77歳の先生にお会いしたことがあります。長身で背筋がピシッと伸びていて、とてもカッコいい立ち居振る舞いでした。

書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書) 池上彰, 竹内政明2017年03月10日 21時58分49秒

書く力 私たちはこうして文章を磨いた
めちゃくちゃ面白い本でした。
池上彰さんの名前は誰でも知っているでしょう。
竹内政明さんは、読売新聞の一面コラム、編集手帳を書いている人です。
竹内さんの文章はとてもうまく、「名文どろぼう」「名セリフどろぼう」(共に文春新書)も大変面白く、文章テクニックの妙技にうなったものです。
本書の対談では、主に池上さんが竹内さんから文章テクニックを聞き出すという構成になっています。
池上さんの文章・語りは「わかりやすい」とすれば、竹内さんは本当に「うまい」。
そのうまさの秘訣を池上さんが掘り下げていくのですが、池上さんは決してただのインタビュアーになっておらず、竹内さんの振り下ろす真剣を、やはり真剣で受け止めるという勝負になっています。

竹内さんの文章は上手すぎて、これはもう一般の人には絶対にマネができません。
ま、一般の人は素人で、竹内さんはプロなのだから、それは当たり前の話かもしれません。
うまい文章にはたくさんの技が仕込まれています。
僕も文章を作る時に、技を入れ込むときがありますが、基本的には技に溺れないように自戒しています。

なお、本書でお二人は大江健三郎さんの文章を評価していませんでしたが、その部分に関しては僕は同意できません。
「死者の奢り」の文章がどうして分かりにくいのでしょうか?
大江さんが文体を変えたのは、「万延元年のフットボール」以降であり、初期の作品群は、クセはあっても分かりにくいという指摘は当たらないと思います。

竹内さんは「自慢はしてはいけない」と戒めていますが、「対談を終えて」の文章を読むと、文章全体が「してやったり」になっていて何だか笑えます。本当に名文家ですね。

医者と患者のコミュニケーション論 (新潮新書) 里見 清一2017年03月08日 16時50分35秒

医者と患者のコミュニケーション論
まるで漫談でも読んでいるかのような作品でした。
面白いという意味ではなく、悪い意味でです。
この先生は明らかに「何かの才能」がありますが、その才能は文章を書くことでも、医療に関してでも無いでしょう。
医者として一流でない、と言っているのではなく、この文章から医者として優れていると想起させるものはないということです。
別の言い方をすると、僕が患者だったらこの先生の治療を受けたいと思いません。

こういう文章を書く医者はとても珍しいと思います。
医師ー患者関係を考える上で、参考になった点は皆無でした。
でも、何冊も本を書いている先生なので、そして現役で東大医学部を卒業している先生なので、きっと「何かの才能」があり、ファンもたくさんいるのでしょう。
興味のある方は読んでみてください。

ヨミドクター、連載18回目2017年03月06日 12時13分08秒

単なる風邪が、肺炎に進展します。なぜそうなるか解説してみました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170219-OYTET50000/

「肺炎」=「入院」ではありません。重症度を見極めましょう。
ぜひ、お読み下さい。