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出生前診断、受けますか? 納得のいく「決断」のためにできること (健康ライブラリー) NHKスペシャル取材班, 野村 優夫2017年09月22日 22時15分29秒

出生前診断、受けますか? 納得のいく「決断」のためにできること
あまり期待しないで読みましたが、大変良くできた本でちょっと感動しました。ただ単に出生前診断の解説にとどまっておらず、検査をうけた家族のルポルタージュにもなっています。
筆者はとてもニュートラルな立場から、家族の思いを大事にしながら筆を進めています。
こうした書き方は簡単なようで実はかなり難しい。
僕自身は障害胎児を診断して中絶するという行為に対して、それは倫理的に問題があるのではないかという立場を取っています。
そう、確かに総論としてその通りなんです。
しかし各論として、それぞれのご家族の悩みや葛藤を知ると、単純にそれを否定するのは間違いだとも思ってしまうのです。

そもそも僕はそんなことを偉そうに言えない人間で、自分が30代の頃は、自分には障害児は育てられないと思い込んでいました。
ところが30歳後半で我が家は死産を経験し、そこから命の萌芽について真剣に考えるようになりました。
「運命の子」や「呼吸器の子」に出会い、考え方が大きく変わりましたが、今度は自分が老人になり、自分の寿命を意識し始めると、重い障害を持った子どもを授かる意味が自分の中でまた変わってきます。
ま、この年齢でこれ以上子どもは増えませんが。

命を選ばないという生き方を選ぶという考え方がある一方で、健常児を授かって未来予想図のままに生きたいという考え方もあります。それを決めることは大変困難でしょう。
そう言えば、僕が研修医の頃、脊髄髄膜瘤の赤ちゃんが生まれると、この病気を手術できる唯一の小児外科医であるX先生は、親に向かって「手術を受けるか? やめるか?」と迫っていました。そして手術を受けるなら、「親としての人生は無いものと思え」と念を押していました。
つまり一生を我が子の介護(ケア)に尽くす意志が無ければ手術はしないと言っていたのです。ちょっときつい言い方ですね。

ぼくは10月5日から読売新聞オンライン・ヨミドクターで新連載を始めます。タイトルは、「いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち」です。
硬く言えば生命倫理について、やさしく言えば、か弱い命のをどう守っていくかについて書いていくことになります。
そこでは一方的な立場から論を立てることはせずに、正解のない答えを探し求めていくことになります。
本書はその連載の参考になる大変素晴らしい作品でした。

なお、この本の巻末参考書籍に「運命の子 トリソミー」がリストアップされていました。うれしいです。

福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」 (講談社現代新書) NHKスペシャル『メルトダウン』取材班2017年09月20日 22時34分56秒

福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」
今になって新しい事実が続々と明らかになることに驚きます。
この本の趣旨は、原発事故のような大きなアクシデントが将来発生してもそれに対処できるように、福島原発事故の失敗の本質をあぶり出すことにあるのでしょう。
そういう意味では、細かい事実の積み上げを丁寧におこなった大変な力作だと思います。
ただ大雑把に言ってしまえば、要するに、東電にはこの事故は「想定外」だったので、何の対応対策も事前に考えていなかったということに尽きると思います。
各論で言えば、「ほーれんそー」ができていなかった。
事故対応を個人の力量に頼る根性論・精神論になってしまったのでしょう。
また余りの東電の対応のひどさに、官邸が介入してきた。これもよくなかった。政治家は事故対応をしながら、同時に政治判断をしますからね。
要するに、東電には原発事故に対応する力がなかったということです。
故郷を失った福島に人たちのことを思うと、事故に対応できなかった人たちに対する怒りがあらためて湧いてきます。

がん治療革命の衝撃―プレシジョン・メディシンとは何か (NHK出版新書) NHKスペシャル取材班2017年09月18日 22時59分40秒

がん治療革命の衝撃―プレシジョン・メディシンとは何か
これは大変いい本でした。医療に興味のある人は、絶対に読まなくてはいけない作品です。
現代のがん治療の最前線が分かります。
僕が大学で小児がんの研究をしていた頃は、「オーダーメイド医療」と言っていましたが、現在では「プレシジョン医療」と言います。
オーダーメイドはむしろ言い過ぎで、プレシジョン=最適な医療を目指す訳です。
思えば肺がんに対してイレッサが登場した時、僕は同世代の研究者たちの研究成果の集大成が日の目を見たと感じました。
ところがイレッサはそれほど効果を示さず、間質性肺炎という副作用で命を失う人が続出しました。
しかしここが新たな出発点でした。
肺がんの中でもEGFR遺伝子に変異のある人を選んでイレッサを投与するという道へ進んだのです。これがプレシジョン医療の始まりだったのかなと僕は思います。
基礎研究というのは、一見無駄に思えても地道に煉瓦を一つずつ積み重ねるような作業です。しかも個人の研究は一つの煉瓦に過ぎません。
しかし最先端のがん医療を知ってみると、30年前に僕がやっていたこともその中の煉瓦としてしっかり役だっていたと分かります。あの時代、がん研究に参加して本当によかった。
がんの研究と治療はこれから益々「面白い」時代に入っていくと思います。
人材はまだまだ足りません。医学部や薬学部に入って最先端がん医療に貢献するというのは、やり甲斐のある人生の道の一つだと感じます。
若者よ、道なき道を進め!

統計は暴走する (中公新書ラクレ) 佐々木 彈2017年09月18日 17時41分54秒

統計は暴走する (中公新書ラクレ)
統計は暴走すると言うより、情報を発信する人が、わざとか、或いは、間違ってか、論理的に正しくない数字を流しているという感じです。
統計は統計であって、勝手に暴走する性質のものではありません。
相関関係と因果関係の混同は、私たちの周囲にとても多いと言えます。
たとえば、風邪と抗生物質の関係。
風邪を引いてクリニックへ行きますね。咳が出て熱がある。医者は咳止めと解熱剤を出す。3日経っても風邪は治らず、患者は再診する。困った医者が抗生物質を出すと翌日に風邪が治るというパターン。こんな経験をすると、医者も患者も風邪に抗生物質が効くと信じてしまう訳です。
抗生物質を「使った」「治った」「効いた」の相関関係です。
しかし、抗生物質を断固として使わない医者なら誰でも知っています。風邪は自然に治っただけであって、どんな患者でも待っていれば治るのです。抗生物質を使えば早く治るということも絶対にありません。

おかしな論理に基づく世論調査もあります。本書に出て来る死刑制度の賛否はあまりにも有名ですね。
選択肢が、「廃止すべきである」と「やむを得ない」の二択では、聞き方が偏っています。だれでも「やむを得ない」を選択するでしょう。法務省はそれによって世論を誘導しようとしているのでしょうか?

本書は統計学の本だったのかよくわかりませんが、論理的に物事を考えるヒントがたくさんありました。面白い話も多い反面、やや難しい章もありました。情報を読み解くことが重要な時代です。安保法制の議論で自民党政治家はメチャクチャな詭弁を弄していましたが、ああいうのが恥ずかしいとみんなから認識されるようになれば、私たちももう一段成熟したと言えるでしょう。

ボコ・ハラム:イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織(白戸 圭一)2017年09月17日 13時36分49秒

ボコ・ハラム:イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織
ナイジェリアで生まれたイスラーム・テロ組織「ボコ・ハラム」に関する本です。
現代の政治において、テロ対策の重要性も、アフリカという土地の重要性も分かるのですが、「ボコ・ハラム」という組織と我々の日常はいかにも遠かったというのが率直な印象です。
本書は現地報告やインタビューなどではなく、ナイジェリアとテロ組織の歴史を解説した作品でした。
まさか1冊、解説を聞かされるとは予想していませんでした。
この分野に関心のある人にとっては貴重な作品です。

治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ(高山 知朗)2017年09月15日 21時09分51秒

治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
脳腫瘍(グリオーマ)と悪性リンパ腫を克服した闘病記です。
サブタイトルに「情報戦でがんに克つ」とあるので、IT会社の社長さんである筆者が、ネットなどで情報を集めに集めまくって、その恩恵でいい結果が得られた、みたいな自慢の入った闘病記かと少し警戒して読みました。
ところがそんなことは全然ありませんでした。
ネットで情報を集めて、たんにwebサイトだけでなく英語論文を読んでくる患者さんはいくらでもいます。
そういう意味では著者は特別な人ではありませんし、また、著者も全然自慢をしていません。
王道を真っ直ぐに進むお手本のような患者さんの姿がそこにありました。
ある意味ストレート過ぎて、平凡とも言えます。あ、悪い意味じゃないですよ。
2度のがんとがっぷり4つに組み、がんをねじ伏せたという感じでしょう。

ただ著者が普通の患者と違う点は、明らかにインテリジェンスが高いことです。
本書の中に、短く近藤誠先生の「がん放置理論」への批判がでてきます。それがまったくもって理路整然としていてとても鮮やかです。まさに仰る通りです。

筆者は闘病を契機に会社経営を後輩に任せたそうです。それは実に恵まれていたと思います。
悪性リンパ腫の治療に7カ月を要していますが、もし僕が7カ月クリニックを留守にしたらどうなるか?
収入がゼロになるだけでなく、クリニックの家賃やスタッフへの給料を払い続ける必要がある訳です。
僕は財産の大半を失ってしまうかもしれませんね。
(そういう事態のために、休業補償という医師会の保険制度があります。しかし僕は脳動脈瘤という持病を抱えているので、そういう保険に入れてもらえません)

病気が再発しませんように。そして20歳になる娘さんと一緒にお酒が飲める日が来ることを心からお祈りしています。
オススメの1冊です。

発達障害 (文春新書) 岩波 明2017年09月13日 21時56分20秒

発達障害 (文春新書) 岩波 明
発達障害に関する非常に充実した新書に仕上がっていると思います。
筆者は医師ですが、新書という専門書を書く上において、物語る力がとても強いと感じました。
新書は軽すぎたり、逆に重すぎたり(専門的、あるいは過度に学術的)するのですが、この本には読ませる力があると思います。

多くの人に勧められます。
ただ、深川通り魔殺人事件の描写はちょっと過激すぎたかなと思います。

雨上がりに咲く向日葵のように ~「余命半年」宣告の先を生きるということ(山下 弘子)2017年09月09日 17時30分57秒

雨上がりに咲く向日葵のように
闘病記は好きでよく読みます。
この本は肝がんとの闘病です。がんはありふれた病気ですので、特別な経験をした訳ではありませんが、病気をどう感じるかは極めてプライベートなことで、100人の闘病には100の闘病記があります。そこが闘病記の面白い点です。

著者は人生を前向きに生きる人で、その明るさがこの本の特徴になっています。僕は暗い人間なので、僕が闘病記を書けば陰鬱な本になるでしょう。
しかし読者というのは必ずしも明るい本を読みたいと思っている訳ではないので、未来を暗く暗く考える闘病記があってもいいのかなと思います。

人が自分の想いを表現するには書籍・講演・動画・SNSなどの方法があります。書籍には書籍の特徴や強みがあるのですが、本書に関して言えば、書籍としての強さが出ていたかはちょっと微妙な感じでした。
本人が書いたのかはわかりませんが、明るくても暗くてもいいので、心の奥の感情をもっと深堀して引っ張り出してもよかったと思います。

創 2017年 10 月号2017年09月08日 22時25分44秒

創 2017年 10 月号
相模原障害者殺傷事件から1年ちょっと。
犯人の男の発言が少しずつメディアに伝わっているようです。
この男は、差別思想を今でも口にし、意志の疎通の取れない重度障害者は安楽死させた方が良いと述べています。
僕は、この男がそういう発言をしても全然驚きません。
だってそう思っているからこそ、あの事件を起こした訳です。
今になって障害者差別は良くない、などと言えばその方が驚きです。

この事件の本質は、障害者差別にあるのではないと考えます。いえ、それがすべてではないと考えます。
障害者を差別する人はこの世の中にいくらでもいます。知的障害者施設の中で、暴行や搾取が行われていた事件は過去にいくつも報道されています。
しかしさすがに、施設をやめた元職員が凶器を準備して施設に乗り込み大量殺人を行うというのは、ある一線を越えています。
それは差別思想だけでは説明できないでしょう。
以前にこのブログで指摘しましたが、彼は英雄になろうとしたのだと思います。国家に恩を売って、自分を認めてもらいたかったのでしょう。

この犯人が差別思想を持っている部分に関しては、精神障害うんぬんは全然関係ない。差別思想と精神障害は無関係です。
しかし国家に恩を売ろうとした精神構造については、病的な感じを持たざるを得ません。現実的にこの男と同じ行為をした人間はかつていない訳ですから。
この、差別思想のベースの上に乗っかったプラスアルファの情動について解決がつかないと、この事件は真の意味で解明されたとは言えないでしょう。

そういう意味では、この犯人の動機の中には、社会一般に通底する障害者への偏見・無理解・無関心・差別と同時に、この男ならでは常軌を逸した情動が二重構造として存在していると言えるでしょう。

死ぬほど読書 (幻冬舎新書) 丹羽 宇一郎2017年09月08日 15時27分45秒

死ぬほど読書 (幻冬舎新書) 丹羽 宇一郎
丹羽さんは、ベストセラーの本は読まないそうですが、ぼくはこの本がベストセラーになっているので読みました。
読書好きな経済人による読書に関するハウツーものかと思っていましたが、全然そうではありませんでした。
読書を切り口にした仕事術・人生論であり、正義を通す倫理性の高さがあったり、(ベストセラーを読まない、などの)ちょっとへそ曲がりがあったり、自身の見栄を認める素直さがあったり、人生の大先輩に人の歩く道を教えられたようで、清々しい気持ちになりました。
良書です。