日本に未来はあるか? ― 2023年05月02日 20時23分43秒
「人口減少」と「少子高齢化」はますます加速するようです。
この先、日本はいったいどうなってしまうのでしょうか?
国立社会保障・人口問題研究所の公表によれば、2070年、つまり今から47年後の日本の総人口は、8700万になるそうです。現在の約7割です。
6年前の見通しに比べて減少の速度がやや鈍ったようですが、その理由は、日本人の平均寿命の延長と外国人割合の増加にあります。
出生率はさらに下がって1.36。これでは人口が増えるわけがありません。
赤ちゃんの誕生数が年間100万人を切ったのは、2016年ですが、2070年には45万人にまで減るといいます。
ぼくの生まれた1961年が、159万人だったので、その1 / 3ですね。
高齢化も進行します。
2020年の65歳以上の比率は28.6%。これは2070年には38.7%になります。
年金制度は成り立つんでしょうか?
インフラを支える労働力は確保できるのでしょうか。
そこで頼れるのが外国人です。
年間16万人ペースで外国人が増え続けていくと、2070年には現在の3.4倍になり、940万となります。
つまり日本に住む人間の約10%が外国人ですね。
しかしこれは外国人が来てくれればの話であって、日本の人権感覚は先進国でも最低レベルですので、そのうち外国人は日本に愛想を尽かして来てくれなくなるかもしれません。
そうすると、単純労働とか介護の分野が成り立たなくなるかもしれません。
技能実習制度には問題が多数ありましたが、それが改正の方向に進んでいます。
これは外国人の権利を守るため・・・というよりも、日本人のために外国人に来て欲しいからです。
しかし日本の入管のあり方を見て、日本はだんだん外国人に見放されるような気がします。
自民党政権は日本の未来をどうするつもりなんでしょうか。
出生率が2を切ったのは、1975年なんです。
実はそこから少子化問題は始まっているのです。ところが何の手も打っていない。
なぜでしょう? それは選挙の票にならないからです。
今の政治家たちは、47年後の日本を考えるなんてことはしません。
大阪にカジノを作るとか、目先のことしか考えていません。
ぼくがクリニックで診ている子どもたちが50歳くらいになったとき、日本の経済は沈没寸前じゃないでしょうか。
これでは若いカップルが結婚して子どもを授かろうと思うわけがありません。
異次元の少子化対策なんてまったく期待できません。
予算倍増? そんなことを自民党は絶対にしません。
この先、日本はいったいどうなってしまうのでしょうか?
国立社会保障・人口問題研究所の公表によれば、2070年、つまり今から47年後の日本の総人口は、8700万になるそうです。現在の約7割です。
6年前の見通しに比べて減少の速度がやや鈍ったようですが、その理由は、日本人の平均寿命の延長と外国人割合の増加にあります。
出生率はさらに下がって1.36。これでは人口が増えるわけがありません。
赤ちゃんの誕生数が年間100万人を切ったのは、2016年ですが、2070年には45万人にまで減るといいます。
ぼくの生まれた1961年が、159万人だったので、その1 / 3ですね。
高齢化も進行します。
2020年の65歳以上の比率は28.6%。これは2070年には38.7%になります。
年金制度は成り立つんでしょうか?
インフラを支える労働力は確保できるのでしょうか。
そこで頼れるのが外国人です。
年間16万人ペースで外国人が増え続けていくと、2070年には現在の3.4倍になり、940万となります。
つまり日本に住む人間の約10%が外国人ですね。
しかしこれは外国人が来てくれればの話であって、日本の人権感覚は先進国でも最低レベルですので、そのうち外国人は日本に愛想を尽かして来てくれなくなるかもしれません。
そうすると、単純労働とか介護の分野が成り立たなくなるかもしれません。
技能実習制度には問題が多数ありましたが、それが改正の方向に進んでいます。
これは外国人の権利を守るため・・・というよりも、日本人のために外国人に来て欲しいからです。
しかし日本の入管のあり方を見て、日本はだんだん外国人に見放されるような気がします。
自民党政権は日本の未来をどうするつもりなんでしょうか。
出生率が2を切ったのは、1975年なんです。
実はそこから少子化問題は始まっているのです。ところが何の手も打っていない。
なぜでしょう? それは選挙の票にならないからです。
今の政治家たちは、47年後の日本を考えるなんてことはしません。
大阪にカジノを作るとか、目先のことしか考えていません。
ぼくがクリニックで診ている子どもたちが50歳くらいになったとき、日本の経済は沈没寸前じゃないでしょうか。
これでは若いカップルが結婚して子どもを授かろうと思うわけがありません。
異次元の少子化対策なんてまったく期待できません。
予算倍増? そんなことを自民党は絶対にしません。
テレビ朝日『テレメンタリー』〜宗教と輸血拒否 ― 2023年05月05日 21時05分49秒
先日、テレビ朝日『テレメンタリー』が放送されました。
テーマは宗教(エホバの証人)と子どもへの輸血拒否です。
本日、その番組が YouTube にアップされ、大変多くの方に視聴されているようなので、ここでお知らせします。
関心のある方はここから観てください。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=VIt7WxAM8Oo
エホバの証人の親が、我が子に対する輸血を拒否する・・・これは大変難しい問題です。
医者が親の宗教を無理やり変えるのも間違っているし、親が幼い子どもに宗教に従わせるのも間違っていると思います。
ではどうするかというと答えがなかなかありません。
親の親権を停止して代理人から輸血の許可を得る・・・これは一つの方法ですが、これをやると医師と家族(親)の人間関係が決裂します。
また交通事故のように一刻争うケースでは時間切れになります。
また、抗がん剤使用の際の輸血のようなケースでは、治療が1年以上に及ぶので、これも現実的でがありません。
「答えがない」という答えをすることがぼくは大嫌いなのですが、どうすればいいとは簡単に言えません。
ぼくは、エホバの証人の子どもに、強引に輸血して命を助けた経験もあるし、逆に輸血ができなくて命を失った経験もあります。
これらの治療経験は、今でもぼくの胸にグサリと何かが刺さったような思いになっています。
聖書なんて数千年前に書かれたものですから、現代の科学とか倫理とかに合わないことは当然出てきます。
それが輸血拒否になっていると思います。
親とは、子どもの最高の利益の代弁者です。
その代弁が、現世での命より、来世での永遠の命と言われると、医師は苦しくてたまりません。
医師は何のためにいるのか。お金のためでも地位のためでも名誉のためでもありません。
人の命を救うためです。
エホバの証人の方の信仰心を無理やりねじ曲げるようなことはしませんが、最終的にぼくは、たとえ訴訟になっても輸血して子どもの命を救うと思います。
それを間違っていると批判する人もいると思いますが。
テーマは宗教(エホバの証人)と子どもへの輸血拒否です。
本日、その番組が YouTube にアップされ、大変多くの方に視聴されているようなので、ここでお知らせします。
関心のある方はここから観てください。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=VIt7WxAM8Oo
エホバの証人の親が、我が子に対する輸血を拒否する・・・これは大変難しい問題です。
医者が親の宗教を無理やり変えるのも間違っているし、親が幼い子どもに宗教に従わせるのも間違っていると思います。
ではどうするかというと答えがなかなかありません。
親の親権を停止して代理人から輸血の許可を得る・・・これは一つの方法ですが、これをやると医師と家族(親)の人間関係が決裂します。
また交通事故のように一刻争うケースでは時間切れになります。
また、抗がん剤使用の際の輸血のようなケースでは、治療が1年以上に及ぶので、これも現実的でがありません。
「答えがない」という答えをすることがぼくは大嫌いなのですが、どうすればいいとは簡単に言えません。
ぼくは、エホバの証人の子どもに、強引に輸血して命を助けた経験もあるし、逆に輸血ができなくて命を失った経験もあります。
これらの治療経験は、今でもぼくの胸にグサリと何かが刺さったような思いになっています。
聖書なんて数千年前に書かれたものですから、現代の科学とか倫理とかに合わないことは当然出てきます。
それが輸血拒否になっていると思います。
親とは、子どもの最高の利益の代弁者です。
その代弁が、現世での命より、来世での永遠の命と言われると、医師は苦しくてたまりません。
医師は何のためにいるのか。お金のためでも地位のためでも名誉のためでもありません。
人の命を救うためです。
エホバの証人の方の信仰心を無理やりねじ曲げるようなことはしませんが、最終的にぼくは、たとえ訴訟になっても輸血して子どもの命を救うと思います。
それを間違っていると批判する人もいると思いますが。
「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命(矢満田 篤二, 萬屋 育子) ― 2023年05月05日 23時11分06秒
大変勉強になる内容でした。
特別養子縁組は民間団体が行うことが多く、児相はあまり動いていません。
前者は、①妊婦を守る ②養親に子どもを委託する ③養親家族を支援する という3つの役割があります。
児相の場合、乳児院や児童養護施設にいる要保護児を養親に託すというイメージです。
ところが、矢満田さんは、新生児をこそ養子に出すべきだと考え、実行したわけです。
公務員が前例を無視した新しい挑戦に取り組む、それも上司がいい顔をしないのに実践するのは相当な覚悟だったと思います。
児相が民間団体のような新生児委託をする・・・これが愛知方式です。
内容は大変感動的でもありましたが、書いたのはブックライターさんのようです。
ちょっと編集がとっちらかっている印象がありました。
そこは本の完成度として少しもったいないと感じました。
特別養子縁組は民間団体が行うことが多く、児相はあまり動いていません。
前者は、①妊婦を守る ②養親に子どもを委託する ③養親家族を支援する という3つの役割があります。
児相の場合、乳児院や児童養護施設にいる要保護児を養親に託すというイメージです。
ところが、矢満田さんは、新生児をこそ養子に出すべきだと考え、実行したわけです。
公務員が前例を無視した新しい挑戦に取り組む、それも上司がいい顔をしないのに実践するのは相当な覚悟だったと思います。
児相が民間団体のような新生児委託をする・・・これが愛知方式です。
内容は大変感動的でもありましたが、書いたのはブックライターさんのようです。
ちょっと編集がとっちらかっている印象がありました。
そこは本の完成度として少しもったいないと感じました。
その子を、ください。(鮫島浩二) ― 2023年05月07日 15時23分44秒
ボランティアとして、実親から育てられないとされた赤ちゃんを、養親に委託する養子縁組を仲介してきた産婦人科医の手記です。
ああ、こういう医師がいるのですね。
大変感動しました。
なぜ養子縁組の仲介をするのかと言えば、赤ちゃんの命を守るためです。
赤ちゃん、ファーストですね。
育てられない赤ちゃんは遺棄されることもあるし、殺されることもあります。
場合によっては母子心中になることも。
子殺しは生後0日が一番多いのです。
だから、生まれたばかりの新生児を養子縁組することに意味があるのです。
鮫島先生は勤務医だったころから、(この本を書いた2006年の時点で)17年にわたって仲介をしていたそうです。
もちろん、こういったことをやっても金銭的には何の利益にもなりません。
すばらしいことだと思います。
先生のクリニックのホームページも拝見しました。
「当院の目指すもの」を読んだら、まず最初に「特別な理由がない限り、妊娠中絶はしません。」という言葉が出てきました。
NIPT (新型出生前診断)をどんどんやってお金を儲けたい産科医がたくさんいる中で、この言葉はキラリと光って見えました。
こういう医師がいるということを知っただけでも、気持ちが暖かくなる1冊でした。
おススメします。
ああ、こういう医師がいるのですね。
大変感動しました。
なぜ養子縁組の仲介をするのかと言えば、赤ちゃんの命を守るためです。
赤ちゃん、ファーストですね。
育てられない赤ちゃんは遺棄されることもあるし、殺されることもあります。
場合によっては母子心中になることも。
子殺しは生後0日が一番多いのです。
だから、生まれたばかりの新生児を養子縁組することに意味があるのです。
鮫島先生は勤務医だったころから、(この本を書いた2006年の時点で)17年にわたって仲介をしていたそうです。
もちろん、こういったことをやっても金銭的には何の利益にもなりません。
すばらしいことだと思います。
先生のクリニックのホームページも拝見しました。
「当院の目指すもの」を読んだら、まず最初に「特別な理由がない限り、妊娠中絶はしません。」という言葉が出てきました。
NIPT (新型出生前診断)をどんどんやってお金を儲けたい産科医がたくさんいる中で、この言葉はキラリと光って見えました。
こういう医師がいるということを知っただけでも、気持ちが暖かくなる1冊でした。
おススメします。
一産婦人科医師の闘い 天使よ大空へ翔べ (菊田昇 恒友出版) ― 2023年05月11日 21時44分31秒
菊田昇先生の本を読みました。
先生は1970年代に、妊娠中絶ができなくなっている妊婦(とパートナー)を説得して赤ちゃんを産ませ、その子を、子どもを欲しいと考えている夫婦に斡旋するということをやっていました。
当時は7ヶ月(28週)まで中絶が可能でしたから、そういた赤ちゃんを体外に出すと、「生きている」ことが多々あったそうです。
そういうとき、産科医は赤ちゃんを劇薬で殺したり、水に沈めたり、凍死させたりしたそうです。
(本論とは関係ありませんが、こうした産科医のメンタリティは今でも生きていると思います)
菊田先生は、赤ちゃんを殺したくないと考え、この斡旋を思いつきました。
しかし戸籍に出産の記録が残ることを産婦が嫌うため、ニセの出生証明書を養親に出しました。
この事件は大きな社会問題になり、先生は学会を除名され、罰金刑を受け、医業停止になります。
それでも先生は挫けずに、赤ちゃんの斡旋を適法化すべく活動していきます。
この結果、妊娠中絶は6ヶ月(24週)までとなり、特別養子縁組という新しい法律も誕生することになります。
つまり、菊田先生が訴えていたことは、すべて正しかったのです。
この本を読んでいると、西洋と日本との、子殺しと遺棄に関する考え方の違いに思いがいきます。
かつて古代ギリシャでは、子殺しはふつうに行われていました。
理由はさまざまですが、大きな意味としては人口調整がその最たるものです。
しかしその子殺しがあまりにも行きすぎていたので、キリスト教の教えが子殺しを抑制することになります。
「生命の神聖」を最も重要に考え、また、姦淫も禁じたため、西洋では1000年以上にわたって堕胎や子殺しは禁じられてきました。
その代わり、遺棄があった。姦淫の証拠を残さず、また子殺しをしなくても済むための方法です。
遺棄が通用したのは、保護のシステムがあったからです。これがコウノトリのゆりかごですね。
現在でもドイツには100カ所以上あると言われています。
キリスト教価値観を根底から崩したのは、ダーウィンです。
人間は、神によって創られたのではなく、動物から進化したと考えた訳です。
そしてダーウィンのいとこであるゴルトンによって社会ダーウィニズムが誕生します。
社会ダーウィニズムは優性思想と言ってもいい。
強い遺伝子は残し、弱い遺伝子は排除するという考えのもとに、堕胎が復活し、脳死が認められ、安楽死が合法化される訳です。
つまり「生命の神聖」よりも「生命の質」が上位に来るのです。
これは価値の転換であると同時に、古代ギリシャへの先祖返りなんですね。
つまり、西洋社会は
1 子殺しの時代
2 キリスト教的道徳観の時代
3 優性思想の時代
と、3つのフェーズから成り立ち、1と3は同じアナロジーになっています。
一方の日本。
日本に(大雑把に言えば)キリスト教的道徳観がなかったのは誰にでも分かりますね。
日本の特徴は、やはり古代ギリシャと同様に「間引き」なんです。
そしてそれが明治の初期まで延々と続いてきた歴史があります。
前近代日本では、赤ちゃんが生まれると、お産婆さんが「置きますか?」「戻しますか?」と尋ねたそうです。
宮参りをするまでは「社会の一人」と認められていなかったため、赤ちゃんはここで書くのも憚れるような残酷な方法で間引かれたようです。
親子心中が場合によっては美化されるのも、日本の伝統文化と関係があります。
日本では子どもを残して親が死ぬと、子どもは悲惨な人生を歩むことになります。
西洋では、保護してくれる養親がいます。
この本はもちろん絶版。中古で買いました。
大事なことがたくさん書かれており、貴重な1冊だと思います。
先生は1970年代に、妊娠中絶ができなくなっている妊婦(とパートナー)を説得して赤ちゃんを産ませ、その子を、子どもを欲しいと考えている夫婦に斡旋するということをやっていました。
当時は7ヶ月(28週)まで中絶が可能でしたから、そういた赤ちゃんを体外に出すと、「生きている」ことが多々あったそうです。
そういうとき、産科医は赤ちゃんを劇薬で殺したり、水に沈めたり、凍死させたりしたそうです。
(本論とは関係ありませんが、こうした産科医のメンタリティは今でも生きていると思います)
菊田先生は、赤ちゃんを殺したくないと考え、この斡旋を思いつきました。
しかし戸籍に出産の記録が残ることを産婦が嫌うため、ニセの出生証明書を養親に出しました。
この事件は大きな社会問題になり、先生は学会を除名され、罰金刑を受け、医業停止になります。
それでも先生は挫けずに、赤ちゃんの斡旋を適法化すべく活動していきます。
この結果、妊娠中絶は6ヶ月(24週)までとなり、特別養子縁組という新しい法律も誕生することになります。
つまり、菊田先生が訴えていたことは、すべて正しかったのです。
この本を読んでいると、西洋と日本との、子殺しと遺棄に関する考え方の違いに思いがいきます。
かつて古代ギリシャでは、子殺しはふつうに行われていました。
理由はさまざまですが、大きな意味としては人口調整がその最たるものです。
しかしその子殺しがあまりにも行きすぎていたので、キリスト教の教えが子殺しを抑制することになります。
「生命の神聖」を最も重要に考え、また、姦淫も禁じたため、西洋では1000年以上にわたって堕胎や子殺しは禁じられてきました。
その代わり、遺棄があった。姦淫の証拠を残さず、また子殺しをしなくても済むための方法です。
遺棄が通用したのは、保護のシステムがあったからです。これがコウノトリのゆりかごですね。
現在でもドイツには100カ所以上あると言われています。
キリスト教価値観を根底から崩したのは、ダーウィンです。
人間は、神によって創られたのではなく、動物から進化したと考えた訳です。
そしてダーウィンのいとこであるゴルトンによって社会ダーウィニズムが誕生します。
社会ダーウィニズムは優性思想と言ってもいい。
強い遺伝子は残し、弱い遺伝子は排除するという考えのもとに、堕胎が復活し、脳死が認められ、安楽死が合法化される訳です。
つまり「生命の神聖」よりも「生命の質」が上位に来るのです。
これは価値の転換であると同時に、古代ギリシャへの先祖返りなんですね。
つまり、西洋社会は
1 子殺しの時代
2 キリスト教的道徳観の時代
3 優性思想の時代
と、3つのフェーズから成り立ち、1と3は同じアナロジーになっています。
一方の日本。
日本に(大雑把に言えば)キリスト教的道徳観がなかったのは誰にでも分かりますね。
日本の特徴は、やはり古代ギリシャと同様に「間引き」なんです。
そしてそれが明治の初期まで延々と続いてきた歴史があります。
前近代日本では、赤ちゃんが生まれると、お産婆さんが「置きますか?」「戻しますか?」と尋ねたそうです。
宮参りをするまでは「社会の一人」と認められていなかったため、赤ちゃんはここで書くのも憚れるような残酷な方法で間引かれたようです。
親子心中が場合によっては美化されるのも、日本の伝統文化と関係があります。
日本では子どもを残して親が死ぬと、子どもは悲惨な人生を歩むことになります。
西洋では、保護してくれる養親がいます。
この本はもちろん絶版。中古で買いました。
大事なことがたくさん書かれており、貴重な1冊だと思います。
サーカスの子(稲泉 連) ― 2023年05月14日 21時49分23秒
本書の一部は『群像』で読んでいましたので、だいたいどういう内容かは分かっていました。
その『群像』の文章があまりにもよかったので、完成版としての本書も手に取ってみました。
筆者の稲泉さんはキグレサーカスで1年間、幼少期を過ごした経験があります。お母様がサーカスで炊事の仕事をやっていたからです。
その1年間の体験は、筆者にとって夢とうつつの境界のような時間であり、郷愁を呼び起こす不思議な時間だったようです。
サーカスとは非日常の世界であり、一種の祭りのようなものです。
2ヶ月の公演が終われば別の場所に移動し、旅する生活でもあります。
当然、サーカスの子どもたちも転校を繰り返します。
またサーカスの人たちは一種の擬似家族みたいなもので、世間とは独立した世界の住民でもあったわけです。
稲泉さんは、かつてサーカスで一緒だった大人たちを訪ねて歩き、彼ら・彼女らの人生を辿っていきます。
元サーカス団員であった人たちの語る言葉はとても豊穣で、同時に哀愁や慈愛があって、読むものの胸に染み込んできます。
インタビューを重ねて、稲泉さんが体験した夢のヴェールがクリアになっていくかというと、それが不思議なことに、サーカスはあくまでも非日常の夢のままなんですね。
語れば語るほど、郷愁が増していくように、それぞれの人たちの人生の根にサーカスがあったことが浮き上がっていきます。
祭りには終わりがあります。そしてサーカスがいつか終わることもみんなが知っていたでしょう。
やがて、それぞれの人生の祭りに終わりが訪れて、その余韻の中を、日々生きていくために、必死に生活を作っていく人間のしぶとさのようなものが、読み手の心に響きます。
サーカスを生きた人たちの熱い心を描いた人間讃歌がこの本の真骨頂ではないでしょうか。
筆者の語り口は実に豊かで、ハレとケの間を揺れ動く人生模様を見事に表現していました。こういう文章はちょっと書けない。
もう一回、大宅賞を受賞してもいいのではと思ってしまいました。
こういう本にはなかなか出会えないと思います。
ぜひ、読んでみてください。おススメします。
その『群像』の文章があまりにもよかったので、完成版としての本書も手に取ってみました。
筆者の稲泉さんはキグレサーカスで1年間、幼少期を過ごした経験があります。お母様がサーカスで炊事の仕事をやっていたからです。
その1年間の体験は、筆者にとって夢とうつつの境界のような時間であり、郷愁を呼び起こす不思議な時間だったようです。
サーカスとは非日常の世界であり、一種の祭りのようなものです。
2ヶ月の公演が終われば別の場所に移動し、旅する生活でもあります。
当然、サーカスの子どもたちも転校を繰り返します。
またサーカスの人たちは一種の擬似家族みたいなもので、世間とは独立した世界の住民でもあったわけです。
稲泉さんは、かつてサーカスで一緒だった大人たちを訪ねて歩き、彼ら・彼女らの人生を辿っていきます。
元サーカス団員であった人たちの語る言葉はとても豊穣で、同時に哀愁や慈愛があって、読むものの胸に染み込んできます。
インタビューを重ねて、稲泉さんが体験した夢のヴェールがクリアになっていくかというと、それが不思議なことに、サーカスはあくまでも非日常の夢のままなんですね。
語れば語るほど、郷愁が増していくように、それぞれの人たちの人生の根にサーカスがあったことが浮き上がっていきます。
祭りには終わりがあります。そしてサーカスがいつか終わることもみんなが知っていたでしょう。
やがて、それぞれの人生の祭りに終わりが訪れて、その余韻の中を、日々生きていくために、必死に生活を作っていく人間のしぶとさのようなものが、読み手の心に響きます。
サーカスを生きた人たちの熱い心を描いた人間讃歌がこの本の真骨頂ではないでしょうか。
筆者の語り口は実に豊かで、ハレとケの間を揺れ動く人生模様を見事に表現していました。こういう文章はちょっと書けない。
もう一回、大宅賞を受賞してもいいのではと思ってしまいました。
こういう本にはなかなか出会えないと思います。
ぜひ、読んでみてください。おススメします。
時間が足りない ― 2023年05月18日 23時06分29秒
全国100人の、ぼくのブログファンのみなさま。
なかなかブログが更新できなくてすみません。
とにかく忙しい。時間が足りません。
まずクリニックが昨年の8月からずっと混雑しています。
なぜ、こんなに患者さんが多いのか分かりませんが、とにかく多いのです。
17時30分に受付を終了しますが、その時刻で診療が終わることはありません。
帰宅も遅くなりますし、帰宅するとやるべきことが山ほどあります。
今年の1月に新潮新書から『患者が知らない開業医の本音』を出しました。これはもうかなり落ち着いています。
7月には日本実業出版社から『1文が書ければ2000字の文章は書ける』という文章術の本を出します。
現在、この原稿のゲラ直しをしています。
5年前に上梓した『発達障害に生まれて』(中央公論)が、9月に文庫化されます。
そのため、現在、加筆をしています。
12月には同社から開業医のリアルをメッセージとして伝える本を出します。原稿はすでに提出してあり、今後直しが入ります。
そしてもう一つ。現在、あるご家族に長時間のインタビューをお願いしています。難病の子のお話です。
これはまだ1行も原稿を書いていませんが、インタビューの準備が大変なのです。
まだ出版社は決まっていませんが、2024年には形にしたいです。
そんなわけで、帰宅して机に向かっているとあっという間に24時になってしまいます。
肩の力を抜いた原稿を書ける余裕ができたら、またお付き合いください。
なかなかブログが更新できなくてすみません。
とにかく忙しい。時間が足りません。
まずクリニックが昨年の8月からずっと混雑しています。
なぜ、こんなに患者さんが多いのか分かりませんが、とにかく多いのです。
17時30分に受付を終了しますが、その時刻で診療が終わることはありません。
帰宅も遅くなりますし、帰宅するとやるべきことが山ほどあります。
今年の1月に新潮新書から『患者が知らない開業医の本音』を出しました。これはもうかなり落ち着いています。
7月には日本実業出版社から『1文が書ければ2000字の文章は書ける』という文章術の本を出します。
現在、この原稿のゲラ直しをしています。
5年前に上梓した『発達障害に生まれて』(中央公論)が、9月に文庫化されます。
そのため、現在、加筆をしています。
12月には同社から開業医のリアルをメッセージとして伝える本を出します。原稿はすでに提出してあり、今後直しが入ります。
そしてもう一つ。現在、あるご家族に長時間のインタビューをお願いしています。難病の子のお話です。
これはまだ1行も原稿を書いていませんが、インタビューの準備が大変なのです。
まだ出版社は決まっていませんが、2024年には形にしたいです。
そんなわけで、帰宅して机に向かっているとあっという間に24時になってしまいます。
肩の力を抜いた原稿を書ける余裕ができたら、またお付き合いください。
くもをさがす(西 加奈子) ― 2023年05月21日 09時35分16秒
ああ、なるほど。
エッセイってこういうふうに書くんですね。
エッセイは広い意味でノンフィクションの一種ですが、狭義のノンフィクションとエッセイでは書き方がかなり違うなと思いました。
ぼくにはとても書けない文章です。才能の違いですね。
偏見かもしれませんが、女性の方がエッセイは上手ですよね。
なんでだろう。
もっと広く言えば、「書く仕事」は男性より女性の方が向いているように感じます。
みなさんも読んでみてください。現在、ベストセラー中です。
エッセイってこういうふうに書くんですね。
エッセイは広い意味でノンフィクションの一種ですが、狭義のノンフィクションとエッセイでは書き方がかなり違うなと思いました。
ぼくにはとても書けない文章です。才能の違いですね。
偏見かもしれませんが、女性の方がエッセイは上手ですよね。
なんでだろう。
もっと広く言えば、「書く仕事」は男性より女性の方が向いているように感じます。
みなさんも読んでみてください。現在、ベストセラー中です。
うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編(相原コージ) ― 2023年05月21日 10時03分08秒
第2作ですね。
大変おもしろく読みました。
相原さんがゾンビと化す場面では思わず笑ってしまいました。ごめんなさい。
これを書いている時点で相原さんの体調はどうなのかな?
コマ割りは大きいし、文字もデカくて、内容としてのボリュームが少ないんですよね。
10分くらいで読んでしまいました。
それを考えると、かなり高い本だと思います。
出版社はそこを企業努力でどうにかしてください。
第3作が出たら、必ず読みます。
大変おもしろく読みました。
相原さんがゾンビと化す場面では思わず笑ってしまいました。ごめんなさい。
これを書いている時点で相原さんの体調はどうなのかな?
コマ割りは大きいし、文字もデカくて、内容としてのボリュームが少ないんですよね。
10分くらいで読んでしまいました。
それを考えると、かなり高い本だと思います。
出版社はそこを企業努力でどうにかしてください。
第3作が出たら、必ず読みます。
維新は怖い ― 2023年05月21日 10時21分36秒
日本人の勝ち馬に乗る心理はちょっと怖いですよね。
統一地方選で勝利を収め、マスコミにチヤホヤされている日本維新の会は、次期衆院選で野党第一党を目指すと息巻いています。
実際、世論調査でも立憲以上に(特に無党派から)支持率が高く、本当にその通りになるかもしれません。
しかし維新の会は政党として非常に未成熟で、問題のある議員・不祥事を起こした議員を多数抱えます。
国民がそれを許容しているのは、それでも今の閉塞状況に風穴を開けてほしいと思っているからでしょう。
出入国管理法改正案を巡る国会審議で、維新の会の梅村みずほ参院議員が、入管施設で死亡したウィシュマ・サンダマリさんについてメチャクチャなことを言っています。
「支援者の一言が『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」
は? なにそれ? 妄想?
遺族の弁護団が根拠をただすと、16日の参院法務委員会で「事実はない。しかし可能性は否定できない」と繰り返したそうです。ハンガーストライキで亡くなった可能性についても触れました。
動画を見ると、この人は答弁中に泣いたり、ブチギレて叫んだり、だ、大丈夫でしょうか?
なんでもタブーに挑戦しているそうですが、最低限の論理と事実がなければタブーもクソもないですよ。
梅村議員の国会答弁の原稿は、維新の会が事前にチェックしていたのですから、これは個人の問題というより、党の問題でしょう。
この政党は、市民運動みたいなものを毛嫌いしているのではないでしょうか?
恐ろしい政党だと思います。
維新の会が野党第一党になったら、日本は暗黒時代に突入ですね。
統一地方選で勝利を収め、マスコミにチヤホヤされている日本維新の会は、次期衆院選で野党第一党を目指すと息巻いています。
実際、世論調査でも立憲以上に(特に無党派から)支持率が高く、本当にその通りになるかもしれません。
しかし維新の会は政党として非常に未成熟で、問題のある議員・不祥事を起こした議員を多数抱えます。
国民がそれを許容しているのは、それでも今の閉塞状況に風穴を開けてほしいと思っているからでしょう。
出入国管理法改正案を巡る国会審議で、維新の会の梅村みずほ参院議員が、入管施設で死亡したウィシュマ・サンダマリさんについてメチャクチャなことを言っています。
「支援者の一言が『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」
は? なにそれ? 妄想?
遺族の弁護団が根拠をただすと、16日の参院法務委員会で「事実はない。しかし可能性は否定できない」と繰り返したそうです。ハンガーストライキで亡くなった可能性についても触れました。
動画を見ると、この人は答弁中に泣いたり、ブチギレて叫んだり、だ、大丈夫でしょうか?
なんでもタブーに挑戦しているそうですが、最低限の論理と事実がなければタブーもクソもないですよ。
梅村議員の国会答弁の原稿は、維新の会が事前にチェックしていたのですから、これは個人の問題というより、党の問題でしょう。
この政党は、市民運動みたいなものを毛嫌いしているのではないでしょうか?
恐ろしい政党だと思います。
維新の会が野党第一党になったら、日本は暗黒時代に突入ですね。
最近のコメント