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元気じゃないけど、悪くない(青山ゆみこ)2024年04月16日 21時54分25秒

元気じゃないけど、悪くない(青山ゆみこ)
何だ、このタイトル。
ちょっと覚えにくいですよね。
『元気じゃないけど、悪くない』のか、『悪くないけど、元気じゃない』なのか、ぼくのポンコツの頭には留まりにくいと思いました。
ですから、Amazonで買うときも、タイトルが思い出せず、ちょっとだけ苦労しました。
さて、読んでみると・・・。

前作の『ほんのちょっと当事者』もそうですが、文章がとてもいい。
青山さんは50歳の前後で心身ともに体調が悪くなります。
心に関しては、ま、不安神経症ということになります。
でも、鬱と躁が少し入っていて、こんな病状ですとはっきり言えない不調な心の状態です。
身体に関してはめまいがしんどく、病名がつくような、そうでもないような状態にいます。

つまりクリアではない。そういうクリアでない自分について青山さんは豊穣に語っていきます。
クリアであれば、語りやすい。そうでないから語るのが難しいはずなのに、めさめさに綴っていくのです。
ぐいぐい引き込まれて読んでいくと、筆者のしんどさが読者の脳にびんびん響きます。

自分だったらどうするのかな? そう思わずにはいられません。
たいていの人は、そのしんどさに負けてしまうのでは? 
ぼくだってノックアウトされてしまうかも。
でも、筆者は「動く」んですよね。
自分から動いて、人と出会って、出会いの中で優しさや気づきを得て、心の傷を少しずつカサブタにしていくんです。
だから、このエッセイはご自身の再生の物語になっていきます。

読んでいる途中、ぼくはたくさんの言葉を浴びました。
これは読書というのかな? ちょっと別の体験でした。
そう、まるで音楽を聴いているかのよう。文字の洪水に包まれて、圧倒され、そしてグラグラと揺すられて、最後にカタルシスがありました。
何だかね、最初の1行から最後の1行目までが、一続きの文章になっているように、切れ目のない本なんです。

ああ、エッセイってこう書くのか。ぼくももっと頑張らないと。
読み終わって、この本のタイトルは『元気じゃないけど、悪くない』しかないなと思いました。
めちゃ、しんどい経験をしたんですが、必ずしも悪くなかったんですよね。
納得のタイトルです。
それから装画もとてもいいですね。

みなさんに、ぜひ、おススメします。
読んでみてください。

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