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袴田事件に学ぶもの2023年03月21日 16時25分39秒

今朝の朝日新聞の一面トップは『袴田さん 無罪へ』とありました。
袴田さんは87歳。弟の無罪を信じて活動してきた姉の秀子さんは90歳です。このきょうだいの人生はいったい何だったのでしょうか?

1966年、静岡県でみそタンク工場の専務一家四人が殺される事件がありました。
容疑者とされたのが、社員の袴田さんです。
袴田さんは過酷な取り調べを受け、自白を強要されます。自白調書のほとんどが裁判で認められませんでした。

ではなぜ彼は死刑になったのでしょうか。
公判の途中で新証拠が出てきたからです。事件から1年2ヶ月後です。
それはみそタンクの中から発見された袴田さんの衣服。それには血液がしっかりと付いていました。
え? それまで見つからなかったの??

結局、この衣服が決定的証拠になって袴田さんは1980年に死刑が確定します。
死刑執行の恐怖に怯える毎日を過ごすことになります。

しかし、2014年、静岡地裁が再審開始を決定します。袴田さんは保釈されました。このときのニュースを覚えている人も多いでしょう。
ですが、そのときの袴田さんは心に変調をきたしていることが、ニュースを見た多くの人には明らかだったと思います。

再審決定とは無罪の宣告と事実上同じです。ところが東京高裁はこれを取り消しました。
審理は最高裁までいき、最高裁は、東京高裁の決定を取り消しました。つまり、地裁に再審を命じたのです。
理由は簡単で、1年2ヶ月も血液をみその中に漬けると変色して黒くなるからです。
最高裁は、捜査関係者の捏造の可能性まで指摘しました。

今回、検察は特別抗告を断念しました。最高裁に科学的証拠を突きつけられたからです。
ですが検察は、特別抗告すべくあがいていました。
組織のメンツの方が、人の命よりも大事なのでしょうか?

そもそも欧州では検察には特別抗告する権利がないそうです。裁判所が再審を決めるというのはそれだけ重いことなのです。
袴田さんの無罪は事実上もう決まりました。あとは早く再審を行って1日も早く無罪を言い渡すべきです。

世界の先進国の中で、国家レベルで死刑を維持しているのは日本だけです。
冤罪はあってはならない究極の人権侵害です。それが死刑という形になったら取り返しがつかないだけでなく、司法制度が揺らぎ、国家の安定性が揺らぎます。
司法は無罪を言いわたすだけではなく、なぜ冤罪が生まれたのか徹底的な検証と自己批判が必要です。