医者は患者を診よ!2026年05月11日 19時39分01秒

本日、当院に「性別違和」と「神経発達症」と思われる思春期の子どもの親が受診しました。

話を聞く限り、上記診断で間違いないようです。
うちのクリニックからかなり遠方からお見えになりました。ぼくのことをネットニュースで知ったようです。
ですが、ぼくは児童精神科医ではありません。
現在では、性別違和の子を診る医療体制が整ってきているので、専門家に任せるべき、、、ぼくが診てはいけないと判断しました。

ちょっと遠いのですが、浦安に性別違和を専門とするAクリニックがあります。
そこに紹介状を書きました。
これで一件落着と思ったのですが、すぐに保護者が当院に戻ってきました。電話したけど、ダメだったと。
そのクリニックは高校生以上ではないと診ないそうです。
え、そんなことホームページに書いてありますか?

性別違和の子が悩むのは中学生くらいの頃です。なぜ、診ないのかな?
ぼくは困り果てて、来週までに紹介できる医療機関を探しますと保護者と約束しました。

で、昼休み。
千葉大病院・こどものこころ診療部に電話。保留音が10分以上続きます。
どうなっているんだ、この病院。電話機、増やせ!
ようやくつながると、性別違和は診ないと・・・。
じゃあ、この子たちはどうすればいいんですか?
すると、「精神保健センターに相談してみては?」と言います。

で、電話番号を調べて電話。
すると、医療機関を紹介する部署は別の番号へと案内されて、そこへ電話。
延々と保留音がなります。

ようやく繋がって事情を話すと、しばらくお待ちくださいと保留音。
そして、「浦安のAクリニックがいいです」と。

たらい回しじゃないですか?

夕方になり、千葉市小児科医会と千葉市神経発達症のメーリングリストに相談のメールを書き込むと、東京に1つ、千葉市に1つ、適切な医療機関があることを教えてもらうことができました。

ようやく辿り着きました。疲れた。

千葉市(たぶん千葉県全体も)では、神経発達症も性別違和も、大学病院やこども病院が診ないで、開業医が診ているんですよ。
おかしくないですか?
大学は何をやっているんですか?

神経発達症とか性別違和の子は、塗炭の苦しみを味わうんです。
何で診ないんですか?
それから、この患者さんの地元の主治医。もうちょっとがんばってよ。

めちゃ忙しい1日でした。

たった1冊の本が世界を動かす2025年09月29日 21時38分35秒

たった1冊の本が世界を動かす
日本緩和医療学会・日本腎臓学会・日本透析医学会の3つの学会が、『腎不全患者のための緩和ケアガイダンス』
https://www.jspm.ne.jp/files/kidneyPCguide.pdf
を作成しました。

緩和ケアというのは(大きく言って)がん患者しか受けることができません。
肝不全とか腎不全とか呼吸不全の患者はどうすればいいのでしょう?
厚労省はこれまで非がん患者のエンドステージに予算を付けてきませんでした。
それがここに来て、大きな変化を見せています。
まずは、腎不全患者の緩和ケアに予算が付きそうです。
そのきっかけは、『透析を止めた日』(堀川惠子・講談社)という1冊の本が与えたインパクトにあります。

ノンフィクションが小説と異なるのは、事実を書いているので世界を動かす可能性があるということ。
そして実際、この本は世界を動かしました。
ぼくの恩師のサイエンティストは「たった一人の人間を世界を変える」と言っていましたが、この本はまさに「たった1冊で世界を変えた」と思います。
ノンフィクションの金字塔と言えるでしょう。
未読の方は、ぜひ、読んでみてください。

政治に関心を!2025年09月26日 19時41分59秒

過半数割れを起こしている自民党が総裁選を行なっています。
総裁がそのまま総理大臣になるには、首班指名選挙で1位になるというハードルがあります。
政策ごとに野党と協定を結ぶというのはもう限界なので、自民党は野党と連立を組むでしょう。
では、どこと?
それは日本維新の会です。
ただし、維新の会は条件をつけています。
まず、大阪府を日本の第2の首都にすること。
もう一つは、社会保険料改革です。

みなさんの生活は、社会保険料が高くて、苦しいのでは?
維新は、医療費を削減することで、社会保険料を下げようとしています。
いいことじゃないですか。
ところが、医療費を削減するということは、自分で医療をやれということです。
そもそも保険というのは、みんなでお金を出し合って、不幸なことに病気になってしまったら、その保険からお金が支払われるということです。
その保険料を減らすのだから、その分のお金は自分で出すということです。
つまり、健康な人は得。
病気をしたら損ということです。

医療費削減で槍玉にあがっているのが湿布薬です。
こんなもん、クリニックから出すのではなく、ドラッグストアで買いなさいということです。
小児医療の領域では、ヘパリンクリーム(ヒルドイド)が、問題になっており、保険診療から外される流れです。
そのほかにも、消炎鎮痛剤やアレルギー止めなどは、自費になる可能性があります。

ですので、自民党+維新の政権ができたら、社会保険料は少し下がると思いますが、病気のある人は自分で薬を買うようになるということです。
あまりクリニックに行かないで、自分で自分の病気を判断しろとも維新議員は言っています。

そんなことは不可能だとぼくは思いますが、ま、それも一つの考え方でしょう。
そういう世の中になっていいという人は、自民党や維新の会に投票してください。

日本は先進国の中では投票率が大変低く、政治をお上に「お任せ」する国民性があります。
どういう医療のあり方がいいのか? それは政治に密接に関係しています。
そういう意味で、子育てしているお父さん・お母さんはたちは、ぜひ、政治に関心を持ってください。

小児思春期双極性障害2025年09月10日 19時42分31秒

小児思春期双極性障害
子どもにも精神疾患ってあるんですよね。
ぼくが医学部6年生のとき、精神科の実習で見た統合失調症の患者は中学生でした。

双極性障害も小児期・思春期で起きることが知られています。
本人も親もどれほどつらい思いをしているでしょうか。

昔から精神疾患には非常に強い関心があり、ノンフィクションを書いてみたいという気持ちがあります。
でも、取材に応じてくれる人がいるのかどうなのか。

その機会に出会えるまで、少しずつ勉強を重ねていこうと思っています。

百日咳の感染が拡大しています2025年04月30日 15時53分09秒

百日咳の感染が拡大しています。

千葉市内でも、百日咳の子の報告が増えています。
患者の年齢は、生後2〜3か月の赤ちゃん。
それから、5歳以上のお子さん。

逆に言えば、1歳〜4歳の子では少ないようです。つまりワクチンの効果が続いています。

先日のブログで「年長さんになったら」と書きましたが、5歳以上の子はみんな3種混合ワクチンを打った方がいいです(自費です)。

感染すると100日咳が続き、赤ちゃんに移ると命に関わります。
抗生剤の効かない百日咳も増えていますので、注意が必要です。

ぜひ、前向きに考えてみてください。

追記) 3種混合ワクチンは品切れになってしまいました。
厚労省はいったい何をやっているのでしょうか?

年長さんになったら、3種混合ワクチン!2025年04月18日 23時41分24秒

2024年頃から百日咳の患者さんが増えています。

5〜6歳くらいから患者さんが多くなりますので、年長さんになったら3種混合ワクチンを打ってください。
自費になりますが、健康のためです。

きょうだいから、赤ちゃんに百日咳が感染するとかなりまずいことになります。

本日のニュースでも赤ちゃんが百日咳で亡くなったと報道されていました。
ぜひ、考えてみてくださいね。

You Tube に登場2025年03月15日 17時00分51秒

先日のAbema プライム。

動画が公開されました。
記念に貼っておきますね。19分くらいです。

時間が余って困っている人は、見てみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=hlcppLzmo9o

画像と音声が悪くて申し訳ありません。

ぼくの考え2024年06月26日 20時59分32秒

毎日クリニックが大変混雑しています。駐車場は常にいっぱいで、朝は行列ができています。
おそらく、若葉区の小児クリニックで一番患者さんが多いと思います。

それはぼくが「名医」だからではありません。
ぼくは「普通」の医者。
なぜ患者さんが多いかというと、診察時間の中に来た患者さんは断らず診るからです。

最近の開業医の先生は「人数制限」をした予約制をとっている人がかなり多いようです。
それぞれのお考えがあるでしょう。
ぼくはそれを批判したりしません。
でもぼくは、ちょっと違う考え方を持っています。

医者は患者を診てなんぼ。
なんぼ・・・というのは儲かるという意味ではありません。
存在意義があるという意味です。
1日に100人以上の患者さんを診察するのは正直しんどいです。でも、100人の患者さんには100の困りごとがあるはずです。
その困りごとをぼくは解決したいという気持ちがあります。

また小児医療には緊急を要する病気がたくさんあります。
熱性痙攣とか、腸重積とか、髄膜炎とか、気管支喘息の発作とか。
うちのかかりつけの子がそういう状態になったとき、予約枠がいっぱいだから断る・・・それはぼくにはちょっとできません。
たとえ「名医」でなくても、やっぱり医者は患者さんを診るべきだとぼくは考えています。

クリニックが混雑していて、診察時間が短くなってしまっていることは、ぼくも十分自覚しています。
でも、難しい病気・状態の患者さんには十分に時間をとって話をしています。
その結果さらに待ち時間が長くなったりしますが、すべての患者さんを診察しようとすると、患者さんにはがまんをしてもらう部分も出てきます。そこはご承知ください。

ぼくは今年63歳になります。
この歳の大学病院の教授先生であれば、仕事をほとんど全部部下に任せていて、ハードには働いていません。
そういう意味では、ぼくは教授よりエラいと思います(笑)。

この姿勢を何歳まで続けられるか分かりませんが、もう少しがんばってみようと思っています。
まだまだ若い者には負けないぞ・・・の気概で。

さて、『開業医の正体』(中公ラクレ)が、発売から4か月半になりました。
現在、8刷になっています。みなさんに感謝、感謝です。

最近、現代ビジネス・オンラインに原稿を2本書きました。
『開業医の正体』の番外編です。よかったらご覧になってください。

https://gendai.media/articles/-/132195


https://gendai.media/articles/-/132194


風邪に抗生剤は有害無益という話と、風邪に根本的に効く薬はないという話です。
うちのクリニックのかかりつけの患者さんならよく分かっていると思います。

文筆活動も続けていきますので、今後もよろしくお願いいたします。
もう無理! というところまでは、このままで行きます。

日本小児外科学会で福岡に行ってきました!2024年05月31日 19時36分21秒

久しぶりに日本小児外科学会に参加してきました。

ぼくが大学を辞めた18年前と大きく変わったことと、あまり変わっていないことの両方がありました。

小児がんの治療後 QOL は昔からの課題です。これは変わっていませんね。

比較的新しい話題として、
短腸症候群の患者に対する GLP-2 アナログの応用が広がっていること、
リンパ管腫に対して mTOR 阻害薬の効果の報告が増えていること、、、などです。
医学の進歩は素晴らしいと思いました。

少子化の時代に若い小児外科医をどう育てるか、これも大きな課題で、施設の集約化は昔からずっと言われています。

千葉市で言うと、大学とこども病院と海浜病院は、距離がかなり近いですよね。
患者さんにはいいことかもしれませんが、医療の効率とか、小児外科医を育てるという面で考えると、少し課題が残るかもしれません。

しかしこういうのは、小児外科医が改革案を出しても、すでにある施設を無くすわけにもいかず、実現は簡単ではありません。
実際、昔から延々と議論されています。

Cardinal Glennon 小児病院(セントルイス)は、240キロの範囲をカバーしているそうです。
これは日本で言えば、九州全域になります。
ここでは一人の小児外科医が1年間に600件くらい手術します。
ぼくは、19年間で1800件の手術を経験しました。
えらい違いですね。

個人的には、久しぶりの学会参加だったにも関わらず、多くの人に声をかけていただきました。
初対面の若い人からもたくさん声をかけられました。
「本、読んでます」とか「エッセイ、読んでます」とか。

正直、うれしかったです。もう「過去の人」になっているのかと思っていたので。

また、明日からクリニックの診療をがんばります。

薬がない! ここは日本!?2023年11月24日 20時19分59秒

https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/017/54/

いま、薬が不足しています! 
本日、18時からの『首都圏ネットワーク』で放送されました。

放送内容が WEB 記事にまとまっています。ぜひ、ご覧になってください。

「日本じゃないところで診療しているみたい」という医師の言葉がすべてを語っています。