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『運命の子 トリソミー 完全版』2024年10月02日 23時06分55秒

『運命の子 トリソミー 完全版』
10年前に第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞した『運命の子 トリソミー』。
この本は、ベストセラーにはなりませんでしたが、ロングセラーになりました。
本の寿命ってけっこう短いんですが、この10年間、少しずつ着実に売れて、ゆっくり重版を繰り返しました。
そしてこのたび、文庫本になることが決まりました。

写真は、本日小学館から届いたゲラ。最後の微調整をおこなって、12月6日に発売になります。

「その後」の朝陽君の一家を加筆しました。
タイトルは万感の思いを込めて『完全版』としました。
10年後の文庫本って極めて稀れです。それが実現したのは、ひとえに読者のみなさんの支持があったからです。

ぼくはこの本を書いたことで、いろいろな意味で人生が変わりました。
その人生の節目の作品が文庫本になって本当にうれしいです。
また、今度もロングセラーになってほしいと願っています。

また、進捗状況をご報告しますね。

人はどう悩むのか(久坂部 羊)2024年09月28日 19時39分00秒

人はどう悩むのか(久坂部 羊)
「人はどう」シリーズの第3弾です。
今回は人生の「悩み」について。
久坂部さんが高齢者の悩みについて書けるのは当然としても、子どもの悩みについても書けるのは驚きでした。
文章は当然巧みで、内容も濃く、非常に博識で、ぼくももっと勉強しなくちゃと思いました。
ナイスな1冊でした。

潜入取材、全手法 調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで(横田 増生)2024年09月22日 15時50分47秒

潜入取材、全手法 調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで
横田増生さんが「手の内を明かした」1冊です。
ぼくが潜入取材をするということは、まずあり得ないので、ぼくにとって直接的に役立つわけではありません。
しかしながら、どう取材して、どう書くかということは、ぼくにとっても大変参考になりました。
ぼくも本を数多く読んでいるつもりでしたが、やっぱりプロにはちょっと敵わない。
ぼくももっとがんばらないと。


そして参考になったというだけでなく、本書は本としてもめちゃおもしろい。
それは横田さんが優れた語り手だからでしょう。
あっという間に読んでしまいました。
ノンフィクション、厳冬の時代の今、この本を若い人が読んでくれて、新しい作家が誕生することを切に期待しています。
また、ライター稼業の舞台裏に興味のある人も、ぜひ、読んでください。おススメです。

一万年生きた子ども:統合失調症の母をもって(ナガノハル)2024年09月15日 23時12分15秒

一万年生きた子ども:統合失調症の母をもって(ナガノハル)
これは大変いい本でした。
筆者は現在、45歳。話は、筆者が8歳のころから始まります。
母親は、統合失調症。
8歳の筆者は、今でいうヤングケアラーとして母を助けます。
母がいる「くるった世界」と、世間の人たちがいる「ふつうの世界」の間に入って、その橋渡しをします。
それは8歳の子どもが大人になるようなもので、あるいは、母のケアのために1秒を1年として生きるような、「1万年生きた子ども」になってしまう体験でした。

この体験によって筆者は心が壊れます。
本書では、その心の内面を大変深く掘り下げて言葉にしていきます。
そして、その言葉の数々によって、統合失調症の母をケアする子どもが、どれだけ過酷な人生を歩むのかが理解できます。

深い本でした。おススメします。

駆け込み寺の男 ―玄秀盛― (佐々 涼子)2024年09月15日 17時42分22秒

駆け込み寺の男 ―玄秀盛― (佐々 涼子)
ちょっとキツかったかな。
なかなか主人公に感情移入することが難しかったです。

南緯六〇度線の約束 (1) うめ(小沢高広・妹尾朝子)2024年09月11日 21時18分35秒

南緯六〇度線の約束 (1) うめ(小沢高広・妹尾朝子)
こ、これは!
ぶっ飛ぶような設定です。舞台はソ連に占領された北海道。
主人公は日本軍によって改造された強化人間( イヌ)。
そして目指す先は、南極!
こういうのって、どうやって考えるんでしょうか?
一体、この先、どう展開していくのかまったく不明です。2巻を買わないと!

大学病院でなぜ心臓は止まったのか(読売新聞社会部)2024年09月10日 21時13分29秒

大学病院でなぜ心臓は止まったのか
ちょっと古い本なんですが、興味があり読んでみました。
話としては単純で、要は術者が下手くそだったということ。
そして複数の死者が出たということは、医師に倫理観が欠けていたということです。

この構図は、『大学病院の奈落』(講談社)と同じです。

自分が執刀した患者が亡くなって、よく外科医を続けられるものだと思います。
ぼくなら、メスを置きます。

この事件は内部告発者によって明らかになりました。大学病院みたいなところでは、絶対に医療ミスは隠蔽されません。
誰かが必ず告発するからです。

ぼくが19年いた大学病院の中で、医療ミスははっきり言ってありました。
ですが、すべて家族に説明しています。隠蔽したことは一度もありません。
隠すと、あとでもっと大きな事件になって明るみに出るんですよね。

この本で、「専門医」なんて大したレベルではないと書かれていますが、その通りです。
「一通り」理解している・・・というレベルです。

現代ビジネスに掲載されています2024年09月06日 12時15分59秒

『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)。

一部、内容が、現代ビジネスに転載されています。よかったらご覧になってください。

なぜ大学病院の待ち時間は「長すぎる」のか…医師が明かす、大病院の待ち時間がなくならない「本当のワケ」
https://gendai.media/articles/-/136873

大学病院をやめてわかった…!患者のことを「小馬鹿にする」「見下す」医者がいる理由と「開業医の本音」
https://gendai.media/articles/-/136874

統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 推しと福祉に救われて社会復帰するまでの劇的1400日(ズミクニ)2024年09月03日 19時24分49秒

統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 推しと福祉に救われて社会復帰するまでの劇的1400日
統合失調症という病気に対しては、高校生の頃から強い関心があります。
医学部を志した理由も、精神科医になりたかったからです。
今回は、コミックエッセイというか、漫画といっていい本を買いもとめました。

統合失調症の闘病記って、自分が経験した妄想や幻覚をどう表現するのか、強い興味をそそられます。
この本も興味深い表現がいくつもありました。
ただ、なんでも、もっと単純に時系列に描かないのかなと疑問に思いました。
ところどころに空白があっても構いませんから、発症から社会復帰まできちんと一本の軸で描けば、大傑作になっていたような気がします。

全ページがカラーで読み応えがありました。

ひだりポケットの三日月 (三上大進)2024年09月01日 11時12分44秒

ひだりポケットの三日月 (三上大進)
手指に先天性の障害のある「青年」の自叙伝です。
Amazonのレビューも大変高評価なので、読んでみました。

30分くらいで読み終わってしまい、文字情報の少なさと、内容の少なさに拍子抜けしました。
講談社はよくこれを書籍として世に出したと思います。

文字を使って「表現する」とはどういうことなのか、書き手も編集者ももっと考え抜くべきだと思います。
素材をもっと生かして。