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「ふたつの嘘 沖縄密約 1972-2010」諸永 裕司 (講談社)2011年07月10日 22時16分38秒

ふたつの嘘 沖縄密約 1972-2010
感想を書くのが難しい作品です。

屁理屈を言わせてもらえば、ノンフィクションという文学は「視点」と「語り口」と「時系列」で出来ていると、ぼくは個人的には思っています。

大変傲慢な言い方をさせて頂くと、そういう整理が不十分なように感じます。
だけど、それはわざとかもしれないし、こういう形式を著者が選んだということなんでしょうね。

ただ、どうしても、取材した素材を消化しきれていないという印象が残ります。
本多勝一さんが取材に来たとか、山崎豊子さんが電話をかけてきたとか、その後どうなるの? と思って読み進めると、それでおしまい。
こういうエピソードは、本のテーマと関係ないので、すべて丸ごとカットした方がいいなと思います。
一部と二部のあまりの内容の違いに、では、著者は何を表現したかったのかと、読了してもよく分かりませんでした。

ノンフィクションの面白さは、みんなが知らないことを知らしめるという部分がかなりあると思います。
だけど、沖縄密約はどうでしょうか?
新聞報道やテレビの特集番組などで、裁判の結果を知らない人はほとんどいないと思います。
そういう意味では、ノンフィクションの素材としては、とても難しかったと思います。

誰も知らない(重要な)事実を知らしめる、もしくは、人間の心の奥の奥までを追求する、こういうことが、ノンフィクションの真髄なのかなと。
ま、ちょっと「上から目線」で放言してしまいましたが、読者というのは、こういう風に欲深いものです。

追記)ぼくの感想は上記の通りですが、Amazonのレビューを見ると、本書は大変評価が高いようです。

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