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「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」神山 典士2015年01月07日 22時58分53秒

「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」神山 典士
一気に読んでしまいました。
いつも書いていますが、年間に読む本の数は100〜120くらい。
ほとんどがノンフィクション。
本の面白さの種類には多々ありますが、一番重要なことは、ページをめくる手が止まらなくなる好奇心をかき立てられることにあると思います。
本書はそういう意味で、特級の面白さです。

この事件について全く知らない人はいないでしょう。
神山さんは、広く、深く、綿密に、膨大な取材をしています。
そして練りに練った構成の妙。
さらに著者は、文章が大変シャープで筆運びが実にうまい。

なぜ、この「ペテン師」はこうした大嘘をついたのでしょう。
嘘をつく人は世の中にはたくさんいます。
しかし彼は、全聾のふりをしていた可能性が極めて高い。
そうであれば、障害者手帳の不正取得うんぬん、ということではなく(それもあるが)、障害者に対する差別者である。

ここまでの大きな嘘をつくのは、「手段」としてなのでしょうか?
「小さな嘘より大きな嘘に人は騙される」とゲッペルスは言いました。
いや、「手段」ではなく、彼の「性格」によるものではないでしょうか?
もちろん、常軌を逸した。

以前のブログで、小保方さんのSTAP細胞の不正には、「代理ミュンヒハウゼン症候群」に似たものがあるのでは、と書きました。
いつか必ずばれる嘘。
だけど、その嘘をつかずにはいられない。
自分への注目が欲しくてたまらないからです。

だからこのペテン師も「代理ミュンヒハウゼン症候群」に通じる心を持っていたのかもしれません。

さて、面白い本と書きましたが、実は愉快な本ではありません。
それはペテン師が障害児に対してやってきたことが余りもひどいから。
事件に巻き込まれた子どもたちが本当に心配です。
1日も早く元気な心を取り戻して欲しいです。

ひとつだけ「注文」を付けると、それは装丁。
ぼくは本を買うとすぐに「帯」を捨てちゃうんですね。
すると、カバーには「ペテン師」だけが残り、「天才」が消えてしまう。
う〜ん、これはどうなんでしょうか?
カバーにも「天才」を載せた方が良かったのではないでしょうか?
で、「帯」は付けたまま本棚に収めました。

傑作です。

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