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なかなか難しい「声の形」(講談社)2015年01月07日 21時23分30秒

声の形
難聴の女子と、ふつうの男子による恋愛漫画かなと以前から思っていました。
先日、本屋さんで平積みになっているのを見て、今回、デジタルで購入しました。

1巻を読んでまずびっくりですね。
これは壮絶なイジメの物語でした。それも難聴の子をイジメるという話。
つまり小学生が、人の道から外れてしまうんですね。
本人はそのことをよく自覚しますから、中学・高校とお天道様の下を歩けない訳です。
このイジメの経験が猛烈に主人公を苦しめる。
罪から逃れられないんですね。

登場人物もけっこう多く(顔も似ている)、一人ひとりが複雑な葛藤を抱えていますので、漫画としてはかなり難しいと思います。
ちょっと皮肉を言えば、主人公の女子は聴力障害ではなくても、ストーリーは成立したし、極端に言えば、男子でも成り立った。
この二人に恋愛があったのかと言うと、それをかっちりと描かなかったことで、作品はむしろ成功していると思います。

だからこの漫画の内容を一言で表現するのは難しい。

小学校時代に、ぼくは人に傷つけられたこともあるし、人を傷つけたこともある。
多くの人が、大なり小なり同じような思いをしているでしょう。
それを成人(あるいはそれに近く)になって責任を取れと言っても、小学生と大人では人格が完全には連続していないから、相当難しい。
そういう難しさを、この漫画はよく表現していると思う。

少年の「罪と罰」。やはりこれがテーマかな。
文学の世界ではそういった複雑性を深く描くことができるのですが、ノンフィクションではこういう世界はちょっと無理ですね。
滅多に出会わないたぐいの漫画です。

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