アクセスカウンター
アクセスカウンター

インパクト・ファクター2006年06月25日 22時46分41秒

今日は久しぶりに弟と電話で話しをしました。
弟は僕とまったく異なった職種についています。サン・マイクロシステムという会社でコンピューターのクオリティー・コントロールをしているそうです。その相手は富士通で、つまり富士通にサンのコンピューター・システムを販売した後、なにか問題が発生した場合に、その背景となるシステム上の問題点を解析するのが仕事だそうです。
同じ兄弟でもまったく違う仕事ですね。
ところで、その畑違いの業種の弟が僕のホームページを見て、僕のインパクト・ファクターがなんか良く分からんがすごいね、と言ってきました。
もちろん、僕も業界(医者)以外の人に、このインパクト・ファクターの意味が分かると思って書いた訳ではありません。自分史として記録したのです。
簡単にインパクト・ファクターを説明しましょう。大学の教授は(異論もあるかと思いますが)インパクト・ファクターで決まるという言い方も可能です。医者を含めた科学者は自分の研究を英語にして雑誌に投稿します。ここで「英語」がミソであり、日本語の論文は(異論もあるかと思いますが)論文とは見なされません。
で、雑誌にはグレードがあります。一流雑誌からその他もろもろまで。もちろん、一流雑誌に論文が採用されるためには、その論文の中に「大発見」が含まれていなければなりません。そして、一流雑誌に掲載された論文は、重要な論文と見なされますから、頻繁に他の論文に「引用」されます。この「引用」の頻度がインパクト・ファクターであり、雑誌ごとにその点数が決まっている訳です(これは年々、点数が変化します)。当然、科学者はインパクト・ファクターの高い雑誌に自分の論文を載せたい訳です。ここに科学の世界における「競争」が生まれるのです。自分の論文の数と、その論文が掲載されている雑誌のインパクト・ファクターの「積」が、その人の全インパクト・ファクターになる訳です。
例えば、小児外科というのはマイナーな学問ですから、この業界で一番評価の高い雑誌(Journal of Pediatric Surgery)でも、インパクト・ファクターは1点くらいしかありません。新聞で時々見かける『ネイチャー』とか『サイエンス』は、30点くらいあります。
かつてこんな俗説がありました。インパクト・ファクター1点の論文を書くには100万円の研究費が必要だと。。。
僕のインパクト・ファクターは、筆頭著者、共著者を含めて109.5です。そうすると、僕の研究価値は1億円ということになります。まあ、それはないでしょう。しかし、遠からずとも言えます。と言うのは、僕が大学時代に得た公的な研究費は全部で数千万円だったはずですから。
インパクト・ファクター100点というのは、基礎医学の先生や成人領域の内科や外科といったメジャーな世界ではたいした数字ではないでしょう。
でも小児外科という最も臨床が忙しい医者の世界においては、それなりに意味ある数字であると言えると思います。僕を含めた僕より若い世代の中では、間違いなく日本の小児外科でトップレベルの数字と思います。開業医になるとインパクト・ファクターはもちろん、何の意味も持ちませんが、僕はこれを自分史としてとても大事に思っています。