アクセスカウンター
アクセスカウンター

それでも歴史は進歩する2009年09月01日 23時48分30秒

先日ここで書いた「サンダカン八番娼館」についてコメントが付いていたので、僕ももう少し解説しましょう。

この本が優れている点は、ルポには何も書いていないことが、ものすごい圧力を持って読者に迫ってくることです。

それは、歴史というのは進歩するということです。

現代の日本において、女性は差別される側にいることは間違いありません。
こういった差別は今後も力を込めて取り除いていかなければなりません。
しかし、それでは今まで歴史は進歩してこなかったのか?

いえ、そういうことは無かったし、これからもそうではありません。

現代の日本と戦前の日本を比べて下さい。
戦前の日本と明治の日本、そして江戸時代の日本と比べて下さい。
こうやって歴史を見ていくと、ゆっくりではありながら歴史は進歩していることが分かります。

もちろん反動政治家が、反民主的な行動や発言をすることもあるでしょう。
御用学者が体制を補強するだけの反民主的な思想を振りまくこともあるでしょう。
微視的にみれば、社会全体が右傾化することもあるでしょう。
しかし、そういった人物や思想は歴史の進歩の波の狭間に消えていきます。
人間がよりよく生きていこうと思う限り、歴史の進歩は誰にも止めることができません。

「サンダカン八番娼館」には、そういった歴史認識には一言も触れていませんが、底辺で生きる一人の女性の姿を描くことで、人類史の過去と未来が浮かび上がるようになっています。

福田衣里子さんが選挙で勝ったことを、民主党に吹いた風のせい、などと思っているようでは、歴史の流れから振り落とされてしまいます。

総理に向いている?2009年09月02日 20時14分22秒

毎日新聞を読んでいたら、「鳩山由紀夫 宇宙人の素顔」という特集記事が載っていました。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090902dde012040015000c.html

別に提灯記事という訳でなく、純粋に鳩山さんがどういう人か、友人から見た素顔に迫っていました。
大変興味深く読みました。

親友の言う、
「うそが言えず、悪口が得意じゃない彼は実務的な政治家には向いてない。でも、総理には向いている。」
という台詞に妙に感心してしまいました。

確かに弟さんみたいに「正義」という言葉を振りかざす人はちょっと怖い。
小沢一郎みたいなパワーはない。
麻生さんみたいな経営力はない。

でも、この人には「引くわぁ〜」というようなギラついた欲がないんですよね。
記事にもありましたが、細川護煕さんみたいにはなって欲しくはありませんが、大きな声がむしろ説得力の無いような今に時代に、案外、鳩山さん、向いているかもしれませんね。

今夜もゴロリ2009年09月03日 19時32分31秒

我が家は狭い寝室に親子4人がすし詰めで寝ています。
家内と娘二人は9時から10時にかけて眠ってしまいますので、僕は寝静まった深夜に寝室へ入って行きます。

僕が寝る定位置は敷き詰めた布団の一番奥なのですが、ここ最近は毎晩のように次女がそのスペースで眠っています。
次女を部屋の中央に向かって運ぼうとするのですが、次女は6歳、20Kgも体重があります。
僕も若い頃の馬力はありませんから、抱っこで次女を移動させると腰や肩を痛めるかもしれません。

そこで、娘をゴロリと転がします。

ところがこれが案外難しい。
転がされそうになった次女は、必ず手足を踏ん張って元の体勢に戻ろうとします。
そこで僕も工夫して、まず足を、そして腕を、といった具合に少しずつ体位を替えて、最終的にゴロリとやります。

さて昨日の夜。
深夜の1時に寝室に上がってみれば、やはり僕の場所を娘が占拠しています。
では、転がってもらいましょう。
起こさないように、そうっと、そうっと転がして・・・
「うーん。むにゃむにゃ・・・」
う、いかん。
目を覚ましてしまうかもしれません。
「むにゃむにゃ・・・」
「な、なに?」
「むにゃむにゃ・・・」
「え? 何? 何言ってるの?」
「転がさないで!」

目を閉じたまま注文をつけられてしまいました。

講談社「g2」2009年09月04日 23時48分48秒

g2
月刊現代の休刊を受けて、講談社から新雑誌「g2」が発刊されます。
月刊現代から脈々と続くノンフィクションDNAが形となった雑誌のようです。
「g2」の「g」とは「現代」の「g」でしょうか?
それとも「generation」という意味でしょうか?

いずれにしても一流作家のノンフィクションがたくさん読めるのですから、こんなにワクワクする本の発刊なんて、本当に久しぶりです。

「g2」はネットとも連動するといいます。
具体的には、本の内容をネット上に公開するそうです。
これは出版社としては、賭けかもしれませんが、ネットとは闘わないという姿勢は案外正しいのではないかと個人的には考えます。
ネットがいくら世界中に張りめぐらされようと、その数には必ず限界、頭打ちがあります。
そして「本好き」の人間は、絶対にこの世の中に一定の数が存在します。

「g2」、多いに楽しみです。
編集部さん、ぜひ、時間を忘れてグイグイ読んでしまうような、そんな面白い本を作ってください。
期待して、そして応援しています。

スティグマを消そう2009年09月05日 23時18分54秒

毎日新聞の社説に目を通していたら、ちょっと風変わりな言葉にぶつかりました。
「スティグマ」=「烙印」です。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090905k0000m070139000c.html
これは、現在話題になっている裁判員制度における性犯罪の問題を取り上げた文章です。

性犯罪の被害者には「スティグマ」が刻まれてしまうが、裁判員制度によって、被害者の肉声が多く世の中に届くのではないかという指摘です。

この記事の冒頭に、性犯罪被害者の精神的後遺症が述べられています。

「ドアを閉める音や廊下を歩く音を聞くだけで心臓がドクドクしたり、ブルブル震えたり、涙がひとりでに出てくる」
「道を歩いていると誰かにあとをつけられている気がして不安になる。また同じ事件に遭わないか心配で、何度も後ろを振り返ったり、怖くなってコンビニに入ったりしたことは数え切れない」

こういった文章を読むと、子どもに対する犯罪にも同様なスティグマが残るだろうと容易に察することができます。
また、犯罪とは言わないまでも、行き過ぎたしつけにも同じことが起こると思っています。

僕は別に子どもの教育に対して確たる哲学や考え方、そして専門的知識がある訳ではありません。
自分の子育てを振り返ると、僕がやってきたことは「溺愛」だけです。
もちろん、時には大声で子どもを叱ったりした時もあったけど、そういう時は怒鳴った自分に傷ついて、猛烈な自己嫌悪に陥ったりします。

自分の子どもに無償の愛を注ぎ込めるのは、子どもが小さいうちだけですから、一生分の愛情は子どもが幼い時にすべてやってしまえばいいと思います。

子どもに手を出す、なんてもちろん論外ですけど、言葉の暴力もいけません。
スティグマが残るという意味では、「体罰」も「言葉」もなんら変りません。

子どもは無限の可能性ある生き物です。
大人がスティグマを刻んで、その可能性に傷を付けるような真似はすべきではないと、僕は考えます。

新雑誌「g2」を読む2009年09月07日 23時49分54秒

講談社の新雑誌「g2」を早速買いました。
後書きを読んで知ったのですが、「g2」の「g」はゲンダイの頭文字だったのですね。

まず、紙の質の良さにびっくり。
そして広告の少なさ。
これは、雑誌ではなく、ムックだからということ?
雑誌に広告が多いことを嫌う人も多いですが、僕はけっこう好きですよ、広告。
貴重な情報源になりますからね。

すべてはまだ読んでいませんが、「講談社ノンフィクション賞」の選考の模様は、大変面白く読みました。
各選考委員の発言の一つ一つが、まるでノンフィクション作品そのもでした。
かつての「朝日ジャーナル・ノンフィクション賞」の選考の座談会記事を思い起こしました。
あちらにも、立花隆さんが入っていましたね。

元・公明党の矢野さんの手記も面白かった。
野に下った公明党は大変なことになりますね。

柳美里さんの「ドキュメント児童虐待」。
こ、これはちょっと、、、。

まだまだ読んでいない部分がたくさんあります。
読書は楽しい。
ノンフィクションはやめられません!

CO2削減25%2009年09月08日 22時59分56秒

地球温暖化対策として、鳩山さんが1990年比CO2削減25%を打ち出して大きなインパクトを各界に与えています。

当然のことながら、産業界からは反発の声が上がっています。

じゃあ、このままで良いんですか??

京都議定書の存在のために、何だか日本ってエコ先進国というイメージが一般の方の間にあるようですが、事実はまったくそういうことはありません。
今やアメリカとEUは、争うようにCO2削減に取り組んでいます。
オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策という言葉にもあるように、CO2削減は新しい産業を生み出す「芽」になろうとしています。

ところが日本は旧態依然。
財界の利益代表者である自民党は、ようするに「現状維持」としか言いません。
それを指して、責任ある政治とか、保守本流とか言っている訳ですから、要するに日本がこのまま沈没するのを見守ろうと言っているようなものです。

鳩山さんのメッセージを受けて、僕の大好きな自動車メーカー・ホンダは、社長さんが「かなり厳しい数字だ」とか言っています。

え? どういう感覚ですか?
自動車メーカーなんてチャンスじゃないですか?

現在、プリウスが大人気で納車が来年の春になるなんていうニュースを耳にします。
また、インサイトも大人気です。
しかしみなさん疑問に思いませんか?
なんでハイブリッドエンジンを全車種につけないのかと。

車という産業は、ある意味、過去数十年間、ほとんど進歩していません。
「椅子に座って、アクセルを踏むと、遠くまで移動できる」というコンセプトには、何の深化もないと言ってもいいかもしれません。
そんな便利な車には、石油を消費する、CO2を排出するという逃れられない負の側面がありました。
ハイブリッドエンジンは、もちろん、最終回答ではありませんが、車の未来を占う大きな指針になったことは間違いありません。
いまや、試作品ではありません。

そうであれば、自動車メーカーこそが、未来への道標になるべきです。
新車のすべてをハイブリッドエンジンにしようと、政府に言われなくても、自分たちからやっていけば、新しい芽が必ず育っていきます。

高度成長が終わって、バブルが弾けて、少子高齢化が進み、これから日本は世界に向かってどういうリーダー像を示していくんでしょうか?
それは、エコロジー技術であり、武器としての平和しかないと僕は考えます。

自民党は解党的出直しとか、世代交代とか、かけ声だけは立派ですが、どういう国家像を描こうとしているのか?
え? 君が代・日の丸?

保守本流というのは立派な道徳観念ですから、それはそれで大事にして欲しいと思います。
しかし観念だけで国家を維持しようとすると、いつか来た道になりかねません。

公明党の斉藤環境大臣は、鳩山さんのスピーチを高く評価していましたから、同じ与党でも党再生の道筋を、公明党は知っているのかもしれませんね。

なぜ司法の場に??2009年09月09日 22時52分32秒

医療ミステリー「チームバチスタの栄光」のミリオンセラーで有名になった海堂尊さんが、なんと東大の病理学の先生から名誉棄損で訴訟を起こされたそうです。

詳しい中身は僕は分かりませんが、医者同士の議論ならば、学会でやるべきだと思いますが、なぜ司法に持ち込まれたのでしょうか?
裁判で争うのは、代理人同士の法的技術ですから、医学の真実とは別だと思います。
海堂さんにはこういうことで、精神的に消耗して欲しくないと思います。

さて、先日、旧友の新生児科医のO医師と話をしていたら、こんな話しになりました。
僕とO医師は、高校の同級生なのですが、二人は共に大学受験で浪人生活を送りました。
駿台予備校です。

「医学部コース」は、市ケ谷校舎なのですが、本が大好きな僕はお茶の水校舎を選びました。
お茶の水校舎は、普通の「国立大学コース」で、ここから千葉大医学部に合格できる人間はほとんどいません。
しかし僕は、校舎なんて関係ないと思い、本屋街へ立ち寄れるお茶の水を選んだのでした。
ま、相当なへそ曲がりですね。

で、O君も僕と一緒にお茶の水を選択。
彼はへそ曲がりではないので、僕の様子が心配で親代わりの心境でお茶の水に来たのかも。
そして何と、普通は無理と言われている千葉大医学部に二人とも合格。
千葉大医学部同級生120人の中で、お茶の水校舎から来たのは、僕とO君の二人だけだろうと僕はずっと思っていました。

ところが、O医師によると、同級生にもう一人いると。
それがなんと海堂尊さん。
あ、そうなんだ。
知りませんでした。

もしかして彼も、本に惹かれてお茶の水校舎に通ったのかも知れないな。

もっと学んで! 学校の先生!2009年09月10日 20時47分07秒

インフルエンザのグラフ
新型インフルエンザが猛威を振るい、クリニックは発熱の患者で大混雑・・・。
なんてことはまったくありません。
今日は1年を通じて1番クリニックがすいていたかもしれません。
明日はもっとすくかも。

グラフを見てください。
千葉県のインフルエンザの増加を表すグラフですが、冬季の流行に比べれば、全然たいした数ではありません。
あちらこちらインフルエンザが蔓延しているなんて、デマ・ウソ・流言飛語です。

千葉県の中でも千葉市はそれほど多くありません。
そして千葉市の中では中央区だけがやや患者数が多い。
若葉区は流行のレベルではありません。

そんなうちのクリニックにお見えになる患者さんの多くが、「インフルエンザでは?」と聞いてきます。
「検査して下さい」とも。
聞けば、幼稚園や学校の先生が「早めの受診」や「インフルエンザの検査」を指示しているようです。

学校の先生たち。
よく聞いて下さい。
インフルエンザの検査をやるか、やらないかと決めるのは「医者」です。
学校の先生ではありません。
こんなことを言うと傲慢な医者だと思われるかもしれませんが、そうじゃありません。
インフルエンザの検査は何回でも無限にできる訳ではないんです。
複数にわたる検査は保険が効かないんです。

医療はただではありません。
日本は国民皆保険ですから、保険制度の上に医療が成り立っています。
ですから、検査の必要性を決めるのは医者なんです。

幼稚園・学校の先生はもっとインフルエンザのことを勉強してくださいね。
「早めの受診」には意味はありません。
体調が悪いたびに「インフルエンザの検査」をすることは、制度上許されません。

ではどうすればいいのか?
普通が一番です。

手洗い・うがいをすること。
発熱して「咳やくしゃみ」がある人はマスクを着用すること。
それだけです。

発熱があっても具合のいい人は、一日家で様子をみる。
呼吸困難や意識障害のある人だけ、すぐにクリニックに行く。
簡単なことです。

さて、季節型インフルエンザの予防接種の予約受付を現在、停止しています。
短期間に大勢の方が殺到したため、ワクチンの確保に自信がなくなったからです。
今後の情報はホームページを見て下さいね。

復活! スティーブ・ジョブス2009年09月11日 21時13分39秒

復活! スティーブ・ジョブス
昨日、サンフランシスコでアップル社の新製品の発表会があり、iPODのニュー・バージョンなど様々なプレゼンが行われました。

驚くような数々の新製品。
しかし僕がもっと驚いたのは、プレゼンされた製品ではなくて、プレゼンした人、その人自身でした。

そうです、スティーブ・ジョブスが帰って来たのです。

ジョブスは、2004年に膵臓がんで入院となり、手術を受けました。
膵臓がんという病気は大変予後が悪く、早期発見されることはまずありませんから、手術を行っても完治するということがなかなか期待できません。
しかしジョブスは見事に手術を乗り越えて戻ってきました。

しかし、今年の1月になって体調を崩し再入院。
げっそりと痩せていましたから、僕はとても暗い気持ちになってしまいました。

公の舞台から姿を消したジョブス。
ところがニュースが少しずつ流れてきました。
なんと、ジョブスは肝臓移植を受けたというのです。
やはり膵臓がんは再発し、肝臓に転移していたのです。
そこで思い切って、肝臓を丸ごと摘出し、交通事故で脳死になった青年から肝臓の提供を受け、これを移植したのです。

しかしそれって、大丈夫なの?
うまくいくの?

僕の不安は尽きませんでした。
ところがいきなりジョブスは昨日姿を現しました。
体重は戻っていないようで、すっかり痩せたままですが、1時間堂々とプレゼンしたと言うではないですか?

スティーブ! あなたは不死鳥か!?

人生に夢というレールを敷いて未来に向かって走っていくジョブス。
まだ、54歳。やりたいことは一杯あるのでしょう。
しかし無理は禁物です。
体調を崩せば、心配するファンが世界中にいるということをどうか忘れないで下さい。

走らないで、歩く人生もいいですよ。