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ルポ 死刑 法務省がひた隠す極刑のリアル(佐藤 大介)2022年03月04日 11時07分30秒

ルポ 死刑 法務省がひた隠す極刑のリアル
思った通り、Amazonのレビューを見ると、死刑賛成の人間からの悪罵が並んでいました。
死刑を継続する国、日本。
世界の中では超少数派になってしまいました。
主要国で死刑を前向きに行なっているのは中国と日本だけです。
鯨も殺す国だし、日本が世界から尊敬されるということは、あと100年、200年経ってもないでしょう。
殺人に対しては死をもって償うと言いますが、それは江戸時代とか明治時代の発想です。
欧州などの国々がそうした観念をどうやって乗り越えてきたのか、考えてみることが大事でしょう。

別の本を読んだとき、どうすれば死刑を廃止にできるかについて、こう書いてありました。
それは、、、政治家が決断してしまえばいい。そうすれば国民もしだいに納得すると。
そうかもしれません。
でも日本では無理ですよね。
自民党の中の保守派が反対するからです。この連中は拒否権みたいなものを持っていて、選択的夫婦別姓にも反対します。
夫婦同姓も世界で一つの国になってしまいました。
本人たちは愛国者のつもりなんでしょうが・・・。

死刑制度にしろ、夫婦別姓にしろ、日本維新の会は「それは昭和の考えだから、令和に時代に合うように変えろ!」となぜ言わないのでしょうか? 核保有は言うのに。
結局政治の貧困が日本を世界の二流にしているのだと思います。

よくまとまっていますので、おススメします。

19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと(石井 洋介)2022年03月05日 17時32分18秒

9歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと
石井先生の本を読みました。
タイトルの通り、先生は19歳で大腸を摘出し、人工肛門となります。高校生活は病気と自己肯定感のなさから、まともに学校に行かず、偏差値30の状態でした。
その青年が人生の目標を設定し、みごと医師になります。
しかし実は、医師になることがゴールではなく、そこから石井先生の人生が始まっていくのです。

研修医→外科医→厚労省→在宅医療→開業医&クリエイター。
ひとつハードルをクリアするごとに、次のゴールを設定し、遠くへ遠くへ進んでいく姿勢は見事としか言いようがありません。
偏差値が30だったのはもちろん病気のせいで、先生ほど才能に恵まれている人はそうはいないでしょう。

そして現在の先生が一番大切にしているものはなんでしょうか。
それは仲間かな。
いい仲間と共にあることが、善く生きることだと深く学ぶことができました。
そういう過程を経て、自己肯定ができるようになっていったのでしょう。

ぼくは、意外に思われるかもしれませんが、大変自己肯定感が低い(笑)。
育ちの問題もあるし、大学病院というブラック企業(今は違う)で働いたことも関係あるでしょう。
現在でも、自分をあまり価値ある人間と思うことができません。

だけど、一生懸命働いている理由は、こんなぼくでも頼りにしてくれる患者さんがいるということ、それから長女と次女が一生懸命生きているのを見て、自分も頑張ろうと思うからです。
石井先生とは、目指す志のレベルが低過ぎるかもしれませんが、これはこれでありかな、こういう人生もありかなと思っています。

自分の生き方を見つめ直し、自分を認めてみたいと思っている方は、ぜひ、読んでみてください。

生殖技術と親になること――不妊治療と出生前検査がもたらす葛藤(柘植あづみ)2022年03月05日 21時52分04秒

生殖技術と親になること――不妊治療と出生前検査がもたらす葛藤
生殖補助技術・出生前診断・子宮移植について書かれた大著です。
生殖補助技術について、ぼくはこれまで書籍でも、このブログでも一度も触れたことがありません。
というのは、ぼくの感覚が世間の常識とずれているかもしれないという危惧があるからです。
「無理が通れば道理引っ込む」という諺がありますが、生殖補助技術の一部にはかなりの無理があるのではないでしょうか。
出生前診断に関しては、これまでいろいろなところで問題提起をしてきましたが、その考え方は変わっていません。
子どもを持ちたいという気持ちは、ぼくも親なので、よく分かります。
しかし同時のこの世の中には願っても叶わないことがたくさんあるということを、ぼくは医師としてたくさん見てきました。
子どもを持ちたいという気持ちは人間にとってきわめてプリミティブな感情でしょう。
そういう感情はなかなか制御が難しく、マーケットの論理が忍び寄ってくると、道理のないことが起きうるのだと思います。

考えるヒントが満載な1冊ですので、自分の考えをよく整理してみたいと思います。
みなさんもぜひ読んでみてください。
いのちが誕生するってどういうことなのか、ぜひ考えてみてください。おススメします。

交通誘導員ヨレヨレ日記――当年73歳、本日も炎天下、朝っぱらから現場に立ちます(柏耕一)2022年03月07日 22時36分07秒

交通誘導員ヨレヨレ日記――当年73歳、本日も炎天下、朝っぱらから現場に立ちます
ちょっと前の本ですが、事情があって再読しました。
フォレスト出版さんは、ちょっとマイナーな職種についている人の体験記を次々に書籍化しています。いずれもベストセラーになっているようです。
これは企画の勝利とも言えますが、実は本を作るときのヒントになっていると思うのです。
人には誰にでも人生のドラマがあります。それは何も、医者や弁護士だけの話ではありません。
自分の仕事は自分にとって常識でも、他人から見れば非常識なんです。
そういう意味で、誰にでも人生1冊の本が書けるというのがぼくの持論です。
この本もそういう意味で、われわれが知っているようで知らない世界を教えてくれます。
売れる本を作るときの企画の重要性をこの本は明示しています。

そのエビデンス、妥当ですか? システマティック・レビューとメタ解析で読み解く 小児のかぜの薬のエビデンス(大久保 祐輔, 榊原 裕史)2022年03月11日 10時51分47秒

そのエビデンス、妥当ですか? システマティック・レビューとメタ解析で読み解く 小児のかぜの薬のエビデンス
小児の風邪に効く薬がないことを科学的に書いた身も蓋もない本です。
この本では、システマティック・レビューとメタ解析で、そのことを証明しています。
しかしながらそんな大それたことをしなくても、ぼくは自分の経験ですでに知っていることでした。

ぼくが以前に出した本『子どもの病気 常識のウソ』の帯のセリフは「風邪に効く薬なんてない」でした。

だから、ぼくはいつも環境整備、暖衣飽食、睡眠、衛生の重要性を説明しています。
投薬は最小限として、飲めないお子さんには無理に飲ませなくていいと説明しています。

そういう意味で、驚くようなことは何も書かれていなかったと思います。
多くの小児科医/耳鼻科医/内科医がこの本を読んで、不要な処方をやめてくれればいいなと思います。

開業医をやりながら作家もやってみた 22回2022年03月13日 12時16分19秒

m3.com 連載、『開業医をやりながら作家もやってみた』
第22回が掲載されました。
小児クリニックでは、育児相談も受けるし、発達障害も診るし、この仕事にマンネリはないという話です。
よかったらご覧になってください。

https://www.m3.com/news/iryoishin/1023928

連載終了まであともう少しです。1年って本当に早い。

わたし、ガンです ある精神科医の耐病記(頼藤 和寛)2022年03月21日 09時12分33秒

わたし、ガンです ある精神科医の耐病記
ちょっと古い本なんですが、読んでみました。
著者は進行性の大腸癌。周囲に浸潤していますから手術だけでは完治しません。
抗がん剤治療が必要です。しかし著者は化学療法をどうも完遂しなかったようです。
直接的な言葉は出てきませんが、死を覚悟し、死を受け入れたようです。
中盤はメディカルエッセイ的なんですが、終盤になると思索をどんどん深めていきます。
なにか、こちらとあちらの境界のような領域に行ってしまったようにも読めます。
深い話が連続し、こちらもしんみりしてしまいました。

ぼくが『ぼくとがんの7年』を書いた理由は、自分は死なないと思ったからです。
ですが、人はいつか死ぬわけで、死ぬことを自覚し準備する時ってくると思います。
だから今度は、自分が何かの病気になって、ああ、これはもうお終いだなと感じたら、もう一度、闘病記を書きたいと思っています。
「まえがき」の出だしは、「ぼくはこれから死にます」という感じで。
死は人生に一度しかありませんから、そのとき自分がどういう思索に入っていくか、興味があります。

中学英語「再」入門-日本語と比べて学ぶ14講(澤井 康佑)2022年03月23日 22時50分52秒

中学英語「再」入門-日本語と比べて学ぶ14講
なんだか非常に期待して読み始めました。
ああ、こんなこと、習ったかな? みたいなことがあるかなと期待して。
でも、そういう部分はほとんどなくて、ちょっと拍子抜けという感じでした。
ま、一応ぼくは大学入試のとき、英語が非常に得意だったので、中学英語のレベルでは、特に難しいと思える部分はなっかったということでしょう。
こういう本で、高校英語「再」入門を作ったら、そっちの方が面白いのではないでしょうか?

今の学生はヒアリングも上手だし、けっこう喋れるし、ぼくの時代とは大違いですね。
大学共通テストの英語は、たしかヒアリングが50%くらいの配点になっていたような気が。
ぼくはヒアリングが全然ダメなので、今の時代の共通テストを受けたら、まったくいい点が取れないでしょうね。

この本を読んでいると、中学英語って、イコール英文法なんだなと再認識させられます。
文法は暗記で身につけるのかもしれませんが、センスも大事だと思うのですよね。
前置詞の使い方なんて、特にそう。
on とか in とかこういう単語には、日本語訳が複数あり、著者は覚えなければならないかも・・・と言っていますが、そうではない。
for なんていろいろ意味がありますが、日本語訳で覚えるのではなく、イメージとか映像で前置詞を掴まないと理解できないでしょう。
そういうのがぼくは得意でした。

大昔に『日本人の英語』(岩波新書)を読んで、ものすごく感激したことがあります。
たしか、大学院のときに、ウイルス学の教授が「読んでみなさい」とプレゼントしてくれたんですよね。
あの本の印象が強烈なのか、また、はっとするような英語の本を読んでみたいな。

キッパリ!―たった5分間で自分を変える方法(上大岡 トメ)2022年03月24日 19時49分41秒

キッパリ!―たった5分間で自分を変える方法
ぼくのお師匠さんの仲野徹先生が、この本を読んで「自分が変わった」と言っていたので、読んでみました。
この本は何10万部も売れたそうです。
なるほどー。ベストセラーはどこにあるのかよくわからないですね。
この本を読んで「たった5分で自分を変える」ことができるか否かは、読者の感受性にかかっているんじゃないかな。
読書ってなんでもそうですが、面白いと思える感性がないとアカんのですよ。
だって、どんな本でも、編集者は「これは面白い、これは売れる」と思って本を出しているわけですよね。
だからすべての本は面白いはずなんです。
年齢を重ねるとそういう感受性が鈍くなって、面白く感じることができなくなったりしますが、それは心が老けている証拠。
もっと心を磨かないといけませんね。

この本を読んでヒントになった言葉を、ぼくも実践して少しでもいい生活を送りたいですね。
「急いでいるときこそ、ていにねいに字を書く」ってよかったな。
最近、字が雑でね。雑に書くと、字が下手になるんです。で、悪循環になる。おもけに雑な字をみて、イライラしちゃう。
還暦を過ぎたのだからこそ、丁寧に字を書こうかな。

ソ連兵へ差し出された娘たち(平井 美帆)2022年03月25日 09時31分03秒

ソ連兵へ差し出された娘たち
この本はノンフィクションとして立て付けがよくないと思います。
それは視点のブレがあるからです。
文献の紹介をしたり、現在高齢者となった当時者のインタビューをいれたり、1946年の話を「彼女は頭の中が真っ白になった」などと、想像で書いているのではないかと疑わせる「神の視点」がでてきたりします。
視点が動くと、本の流れが散らかった印象を受けます。
「ねえ、ちょっと」と呼び止められた、、、などと70年以上の前の会話を「 」で表現するのはどうなんでしょうか?
ちゃんとした資料の裏付けはあるのでしょうか?

視点がブレるので、語る力も弱くなっています。どこかに視点をしっかりと固定して雄弁に語れば、この本はもっとよくなっていたと思います。
開高健賞を受賞して、現在ベストセラーのようですが、ノンフィクションをどう書くか、根本の部分で再考した方がいいと思います。

でもね、本を書いて批判を受けるのはしかたないと思いますよ。
ぼくも『運命の子 トリソミー』を書いたとき、審査審の先生方からけっこう厳しく批判されました。
当たっているなと思った部分もあったし、納得できなかった部分もありました。
あとは本人がどう考えるかでしょう。