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ルポ 海外「臓器売買」の闇(読売新聞社会部取材班)2024年05月03日 17時50分33秒

ルポ 海外「臓器売買」の闇
おもしろくてすぐに読みました。
読売新聞では大きく報道されていたようですが、ぼくはフォローしていませんでした。
海外で臓器が売買されているという噂はよく聞きますが、ある意味、日本のNPOが堂々あっせんしていたというのだから、驚きます。

NPOの代表者には罪の意識はなく、ただ自分は困っている人を海外へ渡航させ、サポートしているだけと主張します。
間に入っている人間も、自分は病院に任せていますと主張し、誰も根本的な責任を認めようとしません。
ですが、関わる人たちはみんな、これが「臓器売買」と知っていたはずです。

臓器売買はウインーウインの関係だと開き直る関係者もいます。
貧しい国では腎臓1個を200万円くらいで売れば、生活が劇的によくなります。
日本人はトータルで2000万円くらい支払って、健康を手に入れるわけです。
しかしこれは典型的な「搾取」です。

読売新聞社会部取材班は国際的な取材を積み重ねて、事件の闇を明らかにしていきます。
報道は成果をあげ、新聞協会賞まで受賞したのですから、見事としか言いようがありません。
この本は、その取材内容だけでなく、取材の舞台裏も描いています。
つまり、記者たちの群像劇のようなドキュメントになっています。
迫力があって楽しめました。
また、公器たる新聞の役割をよく果たしたことが伝わってきました。
おススメの1冊です。

ちょっと追記しておくと、日本では移植医療が進まないという現実が背景としてあります。
脳死移植がとにかく少ないんですよね。
その理由は一つではないと思いますが、海外で移植を受ける患者がいる現実を踏まえ、日本がどういう道を選ぶのか、日本人自身が考える必要があると思います。

『開業医の正体』(中公ラクレ)、大きく展開2024年05月04日 11時45分39秒

『開業医の正体』(中公ラクレ)、大きく展開
『開業医の正体』(中公ラクレ)が、順調に売れています。

POP が立っていました! 大きく展開です。
@くまざわ書店・蘇我アリオ。

よかったら手に取ってみてください。

なぜこんな人が上司なのか(桃野泰徳)2024年05月05日 21時45分58秒

なぜこんな人が上司なのか(桃野泰徳)
リーダー論に興味があって読んでみました。
筆者は、国防ジャーナリストであり、さまざまな企業の経営に携わったキャリアがあるようです。
自分の経験に基づく話かと思って読み始めましたが、話が深くて驚きました。

もちろん自分の経験もありますが、本をたくさん読んでいる方で、実に博識なんですね。
そういった知識の中から、現代のリーダーに必要なものを論じていきます。
話に奥行きがあるので、説得力がありました。

文体はやや独特かなと思いました。
鉄鋼王カーネギーの話が一番おもしろかったかな。
やっぱり古典はちゃんと読まないとダメですね。
いい本でした。

起死回生:逆転プロ野球人生(中溝康隆)2024年05月08日 23時31分54秒

起死回生:逆転プロ野球人生(中溝康隆)
文字通り、逆転のプロ野球人生が綴られています。
この本は、あんがいビジネスパーソンが読んでいるのではないでしょうか。
人生はリトライの連続です。つまずいて、それで終わりではありません。
そういうことを教えてくれます。

ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢(松岡かすみ)2024年05月12日 15時32分24秒

ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢 (朝日新書)
日本の風俗嬢が、最近では海外へ行って稼いでいるそうです。
オーストラリアとか、ニュージーランドとか、アメリカとか、カナダで。
就労ビザを取得するわけでは当然なく、観光ビザで短期に渡航するのです。
そんな実態があるのかと驚きながら読んでみました。
筆者は文章も上手く、6人の風俗嬢に話を聞いていきます。

とくに1番目の女性の話が抜群に面白かったです。
惜しいのは、2番目以降の女性の話が、根本の部分で同じ話だったことかな。

第2部は考察です。なぜ彼女たちは海を渡るのか。
理由は別に驚くことではなく、日本では食えないからです。
要は海外の方が儲かる。
つまり出稼ぎに行く時代になってしまったのですね。
『サンダカン八番娼館』の時代です。
かなり前に読んだ本で、AV嬢ではもはや高給は取れないと書かれていましたので、なるほど、そんなもだろうと納得しました。

ちょっと気になったのは、「風俗をやっているから心を病むのではなく、心を病んだ女性が風俗をやる」という記述。
うつ病やパニック障害やひきこもりの人は、普通の仕事はできないけど、風俗ならできる・・・それってホントですか?
筆者はうつ病やパニック障害に苦しんでいる人を見たことがあるのかと、ちょっと疑問を抱きました。

おもしろい本なんですが、日本が貧しいから出稼ぎに行くっていうまとめ方は、少し当たり前すぎる感じがします。
1番目の女性の話を突破口にもっと、深掘りしていけば違う世界が見えたような気がしないでもないです。

ただ、ルポとしては十二分に楽しく読めました。

61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました(香山リカ)2024年05月15日 22時20分10秒

61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました
いや、とてもおもしろかったです。
香山リカさんは、ぼくより1学年上。
ぼくも文学青年で精神科医になりたくて医学部に行ったのですが、小児外科医になってしまいました。
香山さんはぼく以上に文系だったようで、でも、理科も好きで、いろいろあり、望まなかった医学部に行き、精神科医になりました。

ある程度年齢が行ってから、人生の進路を変更するってものすごくエネルギーを使うんですよね。
医療過疎地で医者をやるって、なかなかできることではありません。
中村哲先生の「一隅を照らす」という言葉に導かれたようですね。
ぼくもこの言葉が大好きです。

とての楽しい本でした。
穂別での生活やアイヌの人たちのことをもっとたくさん書いてほしかったな。

毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」(井出智香恵)2024年05月18日 21時27分46秒

毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」(井出智香恵)
いや、これは強烈でしたね。
国際ロマンス詐欺の体験記です。
終章では、なぜ騙されたかを自己解説していましたが、、、うーん、やっぱり「恋は盲目」ということなんでしょうか?
実際に一度も会ったことのない外国人に7500万円を騙し取られるって・・・。
一度に7500万円ではなく、数十万〜数百万円を、何度も何度も送金してしまうんですよね。

こっちは読みながら「早く気づけ〜〜」と思っているわけですが、筆者は全然その気配もなし。
徐々に泥沼にハマると言うよりも、最初からハマったという感じでした。
借金返済、大変だと思いますが、この本と漫画がベストセラーになってくれるといいですね。

文章は上手とは言えませんが、騙される側の迫力がヒシヒシと伝わる力作でした。
面白かったと言ったら、不謹慎ですね。
そういう一作です。

家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで(石川結貴)2024年05月23日 19時46分24秒

家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで
これは大変すばらしい作品でした。
在宅で高齢者が死を迎える。それって今の時代、全然珍しいことではありません。
いくらでもあるテーマです。
それをいかに描くか。この本は見事なドラマを成り立たせていました。

妻に先立たれた高齢のお父さん。めちゃめちゃ頑固で、医療や介護が大嫌い。
著者が心配して、いろいろなケアの手配をしたり、クリニック・病院に連れて行っても、断固我が道を行きます。
要は、「俺は元気だ! 大丈夫だ! 医者なんて、介護なんて必要ない!」

ですが、お父さんは末期の腎不全なんですよね。
ひとり暮らしのお父さんを、著者は全力で支えます。
お父さんに対して、腹も立つし、意見がぶつかって喧嘩もするけど、やっぱりお父さんが好きなんですよね。
読んでいて、ホロリとしてしまいます。

最後、お父さんは自宅で亡くなりますが、それは平穏死とか、自然死とか、そういう気楽なものではありませんでした。
医者や看護師やヘルパーさんや、あるいは近隣の方々を含めた総力で、人は自宅で死ねるのです。
けっしてやさしいことではありません。そういうことが描かれていました。

筆者は、(当然ですが)文章もうまく、お父さんのキャラを的確に表現しており、在宅死に至るまでの困難をつぶさに描きます。
その筆運びは見事としか言いようがありません。
言ってみれば「ありきたり」のテーマに対して、ここまでおもしろいドキュメントを書けるというのは、並大抵の筆力ではないと思います。

ただ、途中に解説が出てきます。介護施設とは何かなどの説明。
こういう情報が読者に必要なのは分かるんですが、ちょっと話の腰を折られるんですよね。
そういう解説は、巻末にまとめて掲載してもよかったのでは?と思います。

本作品は、今年度の大宅賞の候補作。
いや、受賞作に選んでもよかったのではないでしょうか。それくらい優れた一作です。
おススメします。みなさんも読んでみてください。

『開業医の正体』(中公ラクレ)6刷です!2024年05月25日 19時18分40秒

『開業医の正体』(中公ラクレ)6刷です!
6刷になりました! (クリックで拡大します)

昨日は毎日新聞、本日は朝日新聞に半5段で広告が出ました。

Amazonは現在、機能が麻痺していて、売れ筋ランキングが一昨日から更新されていません。
よって、順位は不明ですが、たぶん・・・売れていると思います。(希望的観測)

ぜひ、応援してください。未読の方はぜひ、どうぞ。

小説編集者の仕事とはなにか? (星海社新書・唐木 厚)2024年05月26日 21時47分07秒

小説編集者の仕事とはなにか? (星海社新書・唐木 厚)
本書は若い編集者に向けて書かれた作品かもしれませんが、「本」というジャンルに興味がある人であれば、誰が読んでも興味深いのではないでしょうか?

筆者は講談社の編集者。もう第一線では仕事をしていないようですが、これまでたくさんの業績を上げてきた方です。
その専門は「新本格ミステリ」。
ぼくは、中学・高校で「古典本格ミステリ」を好んで読んでいました。
ですので、「新本格」には詳しくありません。
でも十分におもしろく読めました。

京極夏彦さんとの出会いとかは、事実は小説より奇なり、そのもので、こんなふうに新人作家が誕生するのかと驚きました。
また、メフィスト賞をめぐって編集者たちが熱く燃えていたのも読んでいてワクワクしました。

2000年頃にインターネットが常時接続の時代になり、2010年頃にスマートフォンが広がり、私たちの世界は書き言葉で溢れている・・・という指摘はまったくその通りだと思います。
そして、この書き言葉の限界について触れた最終章は、編集者の仕事の舞台裏とは無関係なのですが、大変興味深かったです。

本がなぜ読まれなくなったのか? 
若い人たちは、毎日ものすごい数の「言葉」に接し、また書いています。
どこかでブレークスルーを見つけないと、本は万人の娯楽ではなくなっていくかもしれませんね。

楽しく読ませていただきました。