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『絵はがきにされた少年』2007年02月12日 19時30分35秒

社会人になって20年もすると、中学時代、高校時代の友人との付き合いはほとんど無くなってしまいます。みなさんはどうですか?
僕は中学時代の友人と高校時代の友人がそれぞれ1人ずつ今でも交流があります。
中学時代の友達は毎日新聞の藤原章生君です。
彼はどんな人かと言うと、「世間体や俗世間の価値観に左右されず、自分の中に羅針盤を持っている人」ということになります。

中学時代から、理科や算数が得意な藤原君。国語や英語が得意だった僕。ところが、なぜか運命は、僕が医者で彼が新聞記者。こんな人生は誰も予測しなかったでしょう。

毎日新聞に入社して最初に異動した地が長野県。当時、河原崎先生(現・自治医大教授)が信州大学で生体肝移植を次々と成功させ、彼がそれを記事にしていました。専門用語が飛び交う世界ですから、記事を書いている本人にも難しい言葉があり、その意味を彼から聞かれたりしました。

メキシコ、南アフリカに特派員として長期滞在し、帰国後、本を書きます。
『絵はがきにされた少年』です。
いくつも出版社を廻って、断られ続けた本書は4年目に日の目を見ます。第三回開高健ノンフィクション大賞の受賞です。
受賞から1年が経っていますが、昨日、僕はようやく手にしました。
面白かった!
これは広い意味でのノンフィクション、具体的には「取材に基づくエッセイ」になると思います。これは彼でなければ書けない。そんな内容です。
本書に対する評論は色々な角度から可能と思いますが、僕には「インクィジティブ」=「知りたがり」という言葉が一番印象的でした。アフリカの人たちは日本人や欧米人みたいに「知りたがり」ではないと、アフリカの老人は言います。第二次世界大戦が起きたことはニュースで知っていたけど、それほどの関心は無かった、、、らしいのです。

Googleに依存して生きている僕たちとはまさに文化が違います。僕たちの文化、僕たちの論理、僕たちの意味で『援助』をしても通じませんよね。
久しぶりに、読み進めて行くうちに読了するのが残念な気持ちになる本に出会いました。Amazonでもどこでも手に入りますよ。みなさん、いかがですか?