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話を聞かない医師 思いが言えない患者 (集英社新書) 磯部 光章2017年03月05日 17時56分20秒

話を聞かない医師 思いが言えない患者
医師と患者のコミニュケーションギャップを解き明かす本かと思いましたが(そういうことを意図したのかもしれませんが)、書かれている内容は医学・医療の不確実性に関するエッセイのような感じでした。

医学は科学の一部であると著者は書いています。そして生物学と統計学から成り立つと言います。
そうかもしれません。
ただ算数(数学)では1+1=2ですが、人の体では必ずしも2になりません。
最善の医療行為をおこなったにも関わらず患者が死亡した場合、訴訟になっても医師が必ず勝つのは1+1=2が成り立たないという司法の判断があるからです。
医学が統計学で成り立つと言っても、実際にお医者さんで統計学を学んだ人はほとんどいません。
僕は、カプランマイヤー曲線を書いて有意差検定をすることができます。しかしそんな医者は滅多にいないでしょう。

医者は医学の専門用語を使うし、経済学者は経済学の専門用語を使います。専門家以外の一般の人には、専門用語は通じません。
これは当たり前の話しです。
医師と患者にコミニュケーションの齟齬があるのは当然のことで、これは医療界だけのことではありません。

ですから、タイトルにあるように「話を聞かない医師 思いが言えない患者」というのは、もしこれが医療界だけのことであれば、その理由は医師と患者の関係が水平でないからです。
医師の力が強すぎるとパターナリスムに陥り、患者の力が強すぎるとコンシューマーリズムとなって医療の質が落ちます。
より良い医療を作っていくためには、患者も医者も努力が必要だと思いますが、医者にも患者にも努力などしたくないという人が大勢いますので、問題は簡単ではありません。

昔、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本を読んだ経験があります。
男女の違いの本質を突いていてとても面白いと思いました。
本書もその本のタイトルにあやかったのかもしれませんが、医師ー患者関係の本質に迫ることができたのかはやや疑問が残りました。

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