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ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援 (ちくま新書) 慎 泰俊2017年03月03日 23時09分48秒

ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援
児童相談所、とりわけ、一時保護所に関するルポです。
小児医療をやっていると、児童相談所とはある程度関係を持つことになります。
僕も大学病院に在籍中、2回児童相談所に通報した経験があります。
しかしながら、その実態はなんとなくは知っているようで、実は詳しく知りません。
本書は、さまざまな児童相談所を取材することで、児童相談所の一時保護所を一律に論じることから逃れています。
まったく知らなかったことが多数報告されており、資料としての価値も、新書としての面白さもあります。
ですが、この本はルポでしょうか?
ルポルタージュも含まれていますが、筆者による資料の解説や、筆者の意見も多数述べられており、タイトルにあるルポという表現は適切ではないように思います。
僕は純粋にルポルタージュを読みたかったので、そういう点では期待に反していました。
ただ、いい本であることは間違いありませんので、児童福祉に関心のある方にぜひオススメです。

外科医の腕は何で決まるのか がん手術のすべてがわかる (幻冬舎新書) 羽鳥 隆2017年03月04日 17時13分04秒

外科医の腕は何で決まるのか
筆者の羽鳥先生は、僕とほぼ同じ年齢の外科医です。
東京女子医大消化器病センターで修行を積んだようです。
このセンターを作ったのは、千葉大第二外科が世界に誇る中山恒明先生です。ですから、僕と羽鳥先生は遠いところで繋がっているかもしれません。
本書にも、千葉大第一外科の教授の言葉「獅胆鷹目 行以女手」が出てきます。ですので、とても親近感を覚えます。
さて、外科医の腕前とは一体何でしょうか?
いろいろな観点から外科医の技術について書かれています。
一般の人が読むと、驚いたり感心したりするかもしれませんが、ま、一応僕も外科医だったので、特段珍しい指摘は無かったように思えます。
ただこの本を読んでいて、筆者はとても患者さんの意志を尊重する先生だなと感銘を受けました。
成人の医療とはそういうものかもしれませんね。
小児医療では(小児科でも小児外科)でも、医者のパターナリズム(父権主義)がとても強く、医者が親に代わって子どもを治そうと主導権を握ることが多々あります。
僕は開業医なので、もうそういうことはありませんが、大学病院などで難病の治療にあたる時など、医師が親を叱る場面があります。
子どもにとって最善の治療が何であるか、それを決めるのは親なのか、医者なのか、そのへんの葛藤は拙著「小児がん外科医」(中公文庫)にも書きました。

外科医の腕は何で決まるのか? 僕にも自説があります。再来月あたりにヨミドクターに書かせて頂こうと思っています。

「医師アタマ」との付き合い方―患者と医者はわかりあえるか (中公新書ラクレ) 尾藤 誠司2017年03月04日 21時34分58秒

「医師アタマ」との付き合い方
「医師アタマ」とは、石頭のことで、医者とはあまねく最高の医療を患者に提供しなければいけないと信じ込んでいる状態を言うそうです。
僕にとっては初耳でしたが、医療の世界では頑固な医師を揶揄して陰口のように使われる業界用語のようです。
患者と医師の、意志の疎通の問題には僕もとても関心があります。
この本は、そういうコミニュケーションの解決法を書こうとしたのだと思いますが、残念ながら僕にはあまりピンと来る部分がありませんでした。
なぜでしょう?
僕は長年大学病院で仕事をしてきました。スタッフの数は教授以下10名くらいですが、1年ごとに若手の入れ替わり(関連病院へ出向したり戻ってきたりする)があるため、一緒に仕事をした医師はかなりの数になります。
それぞれが個性豊かな面白い奴(女性もいた)ばかりで、この本で言うところの医師アタマの人は見たことがありません。
ま、自覚していないだけで自分も医師アタマなのかもしれませんが、ここで描かれている医者は、やはり成人の内科医の姿だと思います。
ですので、医師ー患者関係の良い指南書にはなり得なかった感じです。
「お金は二の次である」という部分などは、開業医のことを全然考えていないのかなと思います。
開業医の中には、「薬だけ」とか言って、患者さんを診察しないで薬を処方し再診料を取っている医者います。
これは法律違反のカネ儲けです。
ちなみに僕は、自分の診療行為がいくらなのかまったく知らずに診療をやっています。
でもたしかに大学病院の医者はコスト計算などまるでしません。
それは「二の次」という問題ではなくて、面倒なので、そんなことはしないのです。
つまりたとえば、超音波検査をしたのにコストを請求しないことすらあります。
「同じ診療内容なのに、今日は料金が違う」と大学にいた時に保護者からクレームをもらったことがありますが、それは毎回ちゃんと正規の金額を請求していないからです。
ま、要するに家族としては得をしていた訳ですね。
逆に医者の方は、国に対して背任行為をしていた訳です。

説明と同意の問題はなかなか奥が深く、現在の医療でこれを抜きに医療が成り立たないのは間違いありませんが、医師と患者の相互理解の一手段になっている一方で、溝を作る要因になりかねないリスクも内包しています。
医師と患者(家族)のより良い関係については、今後も考えていきたいと思っています。
ヨミドクターでもいずれ書かせて頂きたいと原案を練っています。

話を聞かない医師 思いが言えない患者 (集英社新書) 磯部 光章2017年03月05日 17時56分20秒

話を聞かない医師 思いが言えない患者
医師と患者のコミニュケーションギャップを解き明かす本かと思いましたが(そういうことを意図したのかもしれませんが)、書かれている内容は医学・医療の不確実性に関するエッセイのような感じでした。

医学は科学の一部であると著者は書いています。そして生物学と統計学から成り立つと言います。
そうかもしれません。
ただ算数(数学)では1+1=2ですが、人の体では必ずしも2になりません。
最善の医療行為をおこなったにも関わらず患者が死亡した場合、訴訟になっても医師が必ず勝つのは1+1=2が成り立たないという司法の判断があるからです。
医学が統計学で成り立つと言っても、実際にお医者さんで統計学を学んだ人はほとんどいません。
僕は、カプランマイヤー曲線を書いて有意差検定をすることができます。しかしそんな医者は滅多にいないでしょう。

医者は医学の専門用語を使うし、経済学者は経済学の専門用語を使います。専門家以外の一般の人には、専門用語は通じません。
これは当たり前の話しです。
医師と患者にコミニュケーションの齟齬があるのは当然のことで、これは医療界だけのことではありません。

ですから、タイトルにあるように「話を聞かない医師 思いが言えない患者」というのは、もしこれが医療界だけのことであれば、その理由は医師と患者の関係が水平でないからです。
医師の力が強すぎるとパターナリスムに陥り、患者の力が強すぎるとコンシューマーリズムとなって医療の質が落ちます。
より良い医療を作っていくためには、患者も医者も努力が必要だと思いますが、医者にも患者にも努力などしたくないという人が大勢いますので、問題は簡単ではありません。

昔、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本を読んだ経験があります。
男女の違いの本質を突いていてとても面白いと思いました。
本書もその本のタイトルにあやかったのかもしれませんが、医師ー患者関係の本質に迫ることができたのかはやや疑問が残りました。

ヨミドクター、連載18回目2017年03月06日 12時13分08秒

単なる風邪が、肺炎に進展します。なぜそうなるか解説してみました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170219-OYTET50000/

「肺炎」=「入院」ではありません。重症度を見極めましょう。
ぜひ、お読み下さい。

医者と患者のコミュニケーション論 (新潮新書) 里見 清一2017年03月08日 16時50分35秒

医者と患者のコミュニケーション論
まるで漫談でも読んでいるかのような作品でした。
面白いという意味ではなく、悪い意味でです。
この先生は明らかに「何かの才能」がありますが、その才能は文章を書くことでも、医療に関してでも無いでしょう。
医者として一流でない、と言っているのではなく、この文章から医者として優れていると想起させるものはないということです。
別の言い方をすると、僕が患者だったらこの先生の治療を受けたいと思いません。

こういう文章を書く医者はとても珍しいと思います。
医師ー患者関係を考える上で、参考になった点は皆無でした。
でも、何冊も本を書いている先生なので、そして現役で東大医学部を卒業している先生なので、きっと「何かの才能」があり、ファンもたくさんいるのでしょう。
興味のある方は読んでみてください。

書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書) 池上彰, 竹内政明2017年03月10日 21時58分49秒

書く力 私たちはこうして文章を磨いた
めちゃくちゃ面白い本でした。
池上彰さんの名前は誰でも知っているでしょう。
竹内政明さんは、読売新聞の一面コラム、編集手帳を書いている人です。
竹内さんの文章はとてもうまく、「名文どろぼう」「名セリフどろぼう」(共に文春新書)も大変面白く、文章テクニックの妙技にうなったものです。
本書の対談では、主に池上さんが竹内さんから文章テクニックを聞き出すという構成になっています。
池上さんの文章・語りは「わかりやすい」とすれば、竹内さんは本当に「うまい」。
そのうまさの秘訣を池上さんが掘り下げていくのですが、池上さんは決してただのインタビュアーになっておらず、竹内さんの振り下ろす真剣を、やはり真剣で受け止めるという勝負になっています。

竹内さんの文章は上手すぎて、これはもう一般の人には絶対にマネができません。
ま、一般の人は素人で、竹内さんはプロなのだから、それは当たり前の話かもしれません。
うまい文章にはたくさんの技が仕込まれています。
僕も文章を作る時に、技を入れ込むときがありますが、基本的には技に溺れないように自戒しています。

なお、本書でお二人は大江健三郎さんの文章を評価していませんでしたが、その部分に関しては僕は同意できません。
「死者の奢り」の文章がどうして分かりにくいのでしょうか?
大江さんが文体を変えたのは、「万延元年のフットボール」以降であり、初期の作品群は、クセはあっても分かりにくいという指摘は当たらないと思います。

竹内さんは「自慢はしてはいけない」と戒めていますが、「対談を終えて」の文章を読むと、文章全体が「してやったり」になっていて何だか笑えます。本当に名文家ですね。

鬼手仏心 (高崎 健)2017年03月14日 22時08分53秒

鬼手仏心
千葉大学医学部が世界に誇る中山恒明先生の評伝です。
筆をとったのは、お弟子さんの消化器外科の先生。
中山恒明先生というのは、日本の、いや、世界の食道外科の基本を作った先生です。
先生が千葉大にいた当時、全世界の食道癌の成功例の半数は中山先生による手術だったとされています。
千葉大医学部の正門の前には旅館がずらりと並んでいました(この20年くらいで消えてしまった)。
それは、全国から中山先生の手術を希望して患者さんが千葉に集まってきたからです。
山崎豊子の「白い巨塔」の主人公である財前五郎が中山先生をモデルにしていたのは、この業界では有名な話です。

さて、先生がご立派だったのは、弟子を育てたことに尽きると思います。
手術の方法に工夫をこらし、誰もが簡単に確実に成功する手術方法を開発し、それを日本中、世界中の外科医に惜しげもなく教えたのです。
この姿勢は研修医に対するトレーニングにも通じていて、先生は何千人という新人外科医を教育しました。

この本には書かれていませんが、先生は患者の死亡時刻を18時間ずらすという事件に関わりました。ずれた18時間の間に内縁の妻が、患者さんと婚姻の手続きをして財産の相続をしたのです。
結果、千葉大学を辞し、東京女子医大に移って消化器病センターを作ることになります。
千葉大第二外科では、第2代教授をつとめていましたが、二外科の骨格を作ったのは中山先生と思われています。
そして二外科の伝統を、良い意味でも悪い意味でも最も色濃く引き継いだのが、僕の所属した小児外科教室と言われています(今はもう違うかもしれないけど)。

ですが本書を読むと、患者中心主義とか、若手を育てるとか、そういう中山スピリットが小児外科教室に脈々と生きていたかは少し疑問に思いました。
なにしろ小児外科初代教授先生は、「オレは教えない。盗め!」と広言していましたから。

さて、時代の流れとは残酷なもので、中山先生が開発した手術のうち今日でも残っているものはあるのでしょうか?
ビルロートの手術とか、葛西の手術のように、歴史に名を残すものは存在していないようです。
その時代の中で最先端のことをやる事と、未来を切り開く事はちょっと違うようですね。

先生は2005年に94歳でお亡くなりになっています。僕は、77歳の先生にお会いしたことがあります。長身で背筋がピシッと伸びていて、とてもカッコいい立ち居振る舞いでした。

日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス (朝日新書) 原真人2017年03月18日 22時39分14秒

日本「一発屋」論
タイトルに惹かれて読んでみましたが、ある意味、面白かったのはタイトルだけでした。
要は、アベノミクスに対する徹底的な批判の書です。
僕は経済には詳しくないので、こう言われればそういうものなのかなと思います。
多分当たっているのでしょう。

大衆迎合的な政治を衆愚政治と言いますが、政治とはそれが本質だと思います。
日本人もアベノミクスを心から良いと思っている訳ではなく、「無策よりマシ」と思っているのではないでしょうか?
ま、一応株価は上がっていますから、雰囲気としては良いなと感じているのかもしれません。
民主党の「財源無き子ども手当」より全然良い政策と判断している部分もあるでしょう。

リフレとは、人為的にインフレを起こすことです。つまりデフレからの脱却ですね。
著者によれば、リフレ派の人たちは「雨乞い」理論を使うそうです。
たまたま雨が降れば、「ほら、雨乞いの効果があったでしょ?」と言い、雨が降らなければ「祈りがまだ足りない」と言い張る訳です。
アベノミクスは道半ば、などと言えば、安倍政権は半永久的に続くことになりますね。
ま、野党がへなちょこ過ぎるので、それもあり得ると思います。

だけどそれにしたって、「一発屋」はレッテル貼りに過ぎるのではないでしょうか?
あ、これは安倍ちゃんの好きなフレーズでしたね。

ヨミドクター、連載19回目2017年03月21日 12時32分44秒

夜尿症について書きました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170224-OYTET50027/

昔は、「いつかは治る」という理由で放置でしたが、最近は積極的に治療する開業医が増えています。
悩んでいる方は、ぜひお読み下さい。