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日本ノンフィクション史 - ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで (中公新書) 武田 徹2017年03月26日 21時56分06秒

日本のノンフィクションの黎明期にスポットが当てられています。
大宅壮一と沢木耕太郎に対する記述が多いのが特徴と言えるでしょう。

資料的価値の高い一冊と言えますが、日本のノンフィクション全体を俯瞰する解説的な娯楽性は追求していませんでした。

ノンフィクションとは何だろう? とこれまで僕はさんざん考え抜いてきて、自分なりに結論も持っています。
またそういうことを語ってきたライターも多数いました。

ノンフィクションはフィクション(虚構)の否定ですから、事実(のみ)が書かれていればすべてノンフィクションということになります。
しかしながら、わざわざノンを付けて否定しているのは、この分野がフィクションの亜型であることも示唆していると言えます。
事実に(取材に)基づいて物語を組み立てるのが、ニュージャーナリズムだとすると、この形式はまさに虚構の否定という断りをいれた実録小説のようなものであり、ピュアなノンフィクションとは言い難いでしょう。

結局のところノンフィクションは、未来に向かって書くルポルタージュか、過去に遡る記録文学に大別されるのではないでしょうか?
物語性が水増しされたノンフィクションは、やはりフィクションの一種だと思います。
当然のことながら、ジャーナリズムはノンフィクションのコアの部分に存在します。
評論はまたちょっと別の分野ではないでしょうか?

最近は良質なルポが減っているような気がします。
講談社g2も廃刊になったし、週刊金曜日もルポ大賞を中止してしまいました。
寂しいですね。