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「余命1ヶ月の花嫁」に疑問2008年08月08日 20時05分59秒

自著「命のカレンダー」が、どこの本屋さんでも「余命1ヶ月の花嫁」の隣に置かれているので、この本がずっと気になっていました。
もしやと思って、YouTubeを見ると、はい、見ることができました。
TBSで放送された「余命1ヶ月の花嫁」完全版。
良いドキュメントですよね。
泣けます。
感想を列挙すると、
1. なんと言っても千恵さんが可愛い。本当に可愛い人です。
24歳の人に可愛いと言っては失礼かもしれませんが、本当に可愛いと思いました。
2. 千恵さんの何と恵まれた環境。
友達とか、親戚の方とか、周囲の人たちに支えられて、これは闘病を送る患者としては最高に幸せな環境です。
3. これはね、「余命1ヶ月の花嫁の父親」の物語りです。
お父様の心境を思うと涙がハラハラと。
僕にも娘がいますからね。
娘に逝かれて天涯孤独になったら、、、。
僕はお父様の心境を思うと本当に切なくなります。

という意味においては、このドキュメントが多くの人の心を打ったということがよく分かります。
しかし、番組の制作上、非常に強い疑問があります。
それはモルヒネの使用についてです。

がんの疼痛を取るにあたって、番組では、モルヒネを使うと意識が無くなって話ができなくなる、、、と描かれています。
しかしこれは、100%間違いです。

モルヒネの副作用は、吐き気と便秘くらいで、がん性疼痛にはモルヒネを使うことは医療の常識です。
何十年も前から常識です。
しかし世間にはモルヒネに対する偏見があって、死期を早めるとか、意識が無くなると誤解されています。
そうではありません。

千恵さんが入院したのは、国立がんセンター。
ここの麻酔科の部長は下山先生。
千葉大出身の先生です。
僕も研修医のころ、下山先生から麻酔の技術を教わりました。
下山先生といえば、今や日本を代表する疼痛緩和の先生です。
その下山先生がいる病院で、モルヒネが使われなかったとはとても思えません。
現に、千恵さんが、デュロテップパッチを貼っている場面がありました。
あれはフェンタネストという合成麻薬。
つまりモルヒネと変りません。

影響力の大きい番組、そして本ですから、このあたりのことをTBSはちゃんと取材したのかと言いたくなります。
みなさん、決して誤解しないでください。
モルヒネは、がんの痛みに使うにあたって決して悪い薬ではありません。
「命のカレンダー」の中でも、モルヒネを使う場面が出てきます。

医療の原点というのは、患者の痛みを取ることです。
ある意味、除痛は究極の医療です。
千恵さんは手厚い医療を受けて痛みを感じないで旅立ったはずです。
僕はそう信じます。

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