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『誘拐児』翔田 寛2008年08月28日 19時52分08秒

昨日、翔田 寛さんの『誘拐児』を買って、夜には読了しました。
今年度の江戸川乱歩賞受賞作ですね。
タイトルがなんだか興味深くて、書評などはチェックせずに店頭で買ったのですが、、、。

もともとね、ミステリーは好きなんです。
小学校6年生のころに「創元推理文庫」のヴァン・ダインとかディクスン・カーとかを何十冊と読んでいましたからね。
中学・高校のころは、推理小説マニアでした。

で、今でもこうして時々読む訳です。
その『誘拐児』ですが、一言で言うと、話が分かりづらくてストレスのたまる本です。
あまりにも分かりづらいので、僕は自分の頭が老化したのではないかと思いました。
ところが、読後にAmazonのレビューを読んでみると同じような意見が。
良かった、、、惚けたんではないのですね。

犯人を捜す刑事が、2組ペアで4人出てきます。
このキャラが立っていないので、これが分かりにくい。
2組がそれぞれ別のルートから犯人を追っていきますので、それを3人称で書かれると、何がどこまで解明されたのか、全然分かりません。
おまけに主人公の男女がそれぞれ事件の核心に迫っていきますから、3重、いえ、4重に話が進んで行く感じです。

おまけに場面転換がやたらに多い。
肝心なところで場面を換えるのは、ミステリーでは常套手段ですが、それを繰り返し繰り返しやられると、読んでいる方はどんどんフラストレーションが溜まっていきます。
どうも筆者が技に溺れてしまってるような気がします。

一日で読了したから何とか筋を追えたんだと思いますよ。
しかしこれを数日に分けて読んだら、とても内容を理解できなかったと思います。
筆者はすでにプロデビューしている人だと聞きます。
じゃあ、逆に1作にすべてを注ぎ込むような時間やパワーはないのではないでしょうか?
この1作にすべてを賭けるみたいなアマチュアの方が、良い作品を書くのではないでしょうか?

乱歩賞は賞金1000万円だそうです。
うーん、その価値がこの作品にあるでしょうか?
ちょっと厳しいようですが、残念ながら僕はこの本はおすすめしません。