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「自動車絶望工場」(講談社)鎌田慧2009年07月18日 20時04分47秒

鎌田慧さんの「自動車絶望工場」を読みました。
この本が書かれたのは1973年ですから、今から36年前ですね。
僕が10歳の時です。

僕はこの本をかなり昔から、そう、大学生の頃から知っていました。
それは本多勝一さんが激賞していたからです。
時は流れ、今やルポルタージュの古典となりました。
今回、気が向いて初めて読んでみることにしました。

内容に関しては、読んでいて楽しくなるような本ではありません。
人間という存在は労働を通じて自己実現していき、成長していくと僕はずっと思っていますから、こういった「搾取」される人たちの姿を描写されると正直辛くなります。

この本に描かれているのは36年も前の労働者の姿であって、現代ではこうでない。
果たしてそうと言い切れるでしょうか?
小泉改革によって新保守主義が日本を席捲し、低賃金で働く日本人労働者の生活は、かつて「一億総中流化」と言われた時代よりもはるかに厳しくなったと言われています。

そういった政治の被害者たちが心情的に右傾化し、いまだに自民党を支持しているあたりは、この国の統治態勢が崩れていないことを示しています。
民主党が政権を奪うのは、言われているほど簡単ではないかもしれませんよ。

この本は1983年に講談社から文庫化されて、現在までに31刷を重ねています。
素晴らしいですね。
歴史の淘汰に耐えるということは、そこに普遍的な価値があるということです。