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現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス) 岸本 忠三, 中嶋 彰2016年04月03日 22時45分47秒

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病
今日はこういう本も読みました。
第2章に「制御性T細胞」の話が出てきます。
この細胞について語るには、「抑制性(サプレッサー)T細胞」について触れない訳にはいきません。
「抑制性T細胞」の概念を提唱したのが多田富雄先生。
この研究は、千葉大の谷口教授に引き継がれました。

ぼくが大学院に進学したのが1989年。この時にはもう、谷口先生は「抑制性T細胞」という言葉は使っていませんでした。
そういう細胞はおそらく存在せず、ただ、「抑制因子」は存在すると考えていたようです。

そしてその抑制因子を何年もかけてクローニングしたところ、免疫現象とは関係のないマウスのがん抗原が取れたと、ぼくは理解しています。
今日では、「抑制性T細胞」などは存在しないとみんなが考えていることは本書でも書かれている通りです。

あの頃、他大学の先生から「千葉大の免疫グループの先生はノーベル賞を取るのでは?」などと聞かれ、クローニングの結果を知っていた僕は答えに窮したものです。

サイエンスとはこういうものです。
最高の頭脳を持った人たちが何年もの時間をかけて、何億というお金をかけてもすべて無駄ということもあり得る訳です。
現在の政府は、役に立たない文系の大学を縮小して、役に立つ理系に重点的に予算を配分しようとしているように見えますが、そんなことをすれば、「捨てるお金」もまた増大します。

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