先天性横隔膜ヘルニアは、横隔膜に孔があり腸が胸の中に入ってしまう先天異常です。肺が圧迫されるので呼吸困難になります。治療は手術で孔を閉じることなんですが、実はそんな単純なことではありません。
肺が圧迫された状態で胎児期を過ごしますので、肺が育つことができません。すると肺高血圧という状態で生まれてきます。血液が胎児循環のまま、酸素化されない血液が全身を回りますので、全身チアノーゼになります。
胎児超音波によって病気を早期に見つければ、母体搬送で治療成績が向上すると考えられた時期がありました。ところが実際は逆でした。つまり死産になる運命だった子が治療を受けるようになったため、日本全体で治療成績が悪化したのです。
ところが最近、グループスタディーの努力によって、この病気に対して新しい呼吸器の使い方が開発されてきました。その結果、ECMOの適応も減っています。さらに治療成績が良くなることを願っています。
最近のコメント