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秘伝「書く」技術(夢枕 獏)2022年01月05日 23時02分19秒

秘伝「書く」技術
「書く」技術に興味があり、読んでみました。
ただ、「書く」とは「小説を作る」技術のことであり、文章論ではありませんでした。
ベストセラー作家さんが、小説の作り方を指南する本ってけっこうあって、ぼくは好きでよく読みます。
ですのでこの本も結果としておもしろかったし、読んでよかったです。

でもね、獏さんの本を読んでベストセラー作家になれる人なんて、この世の中に数えるほどしかいない訳ですよ。
1年に1人いるかいないかという感じでしょう。
東大の医学部を出て医者になるよりはるかに難しい。
だからそういう妄想は抱かないほうがいいと思いますよ。
目指すなら、ぼくを目指してください。本業をしっかりと持っていて副業として本を書く。
ぼくはこれまで13年間に14冊の本を書きました。印税とか、賞金を合わせると、メルセデスベンツを何台も買える金額です。

いま医療情報サイトの m3.com に『開業医をやりながら作家もやってみた』という連載をやっています。
なかなか好評らしく、先日、編集部が特別回を企画してくれて、読者の声を募りました。
するとお医者さんで本を書いてみたいという人がけっこう多いんですよね。
実際ぼくの友人で「自分も書きたい」と言う人がいます。医者と物書きって相性がいいのかもしれません。

目指すなら、夢枕獏ではなくて「ぼく」でしょ?(笑)
ぼくくらいの物書きならば誰にでもチャンスがあります。
そういう指南書を書こうかな。タイトルは・・・そうだな、『非ベストセラー作家入門』。どうでしょう? どこかの出版社が出してくれないかな。

それにしても『餓狼伝』はどうなっているのかしら。新刊が出ているなら読んでみようかな。
やっぱりおもしろいですよ、獏さんの小説は。

開業医をやりながら作家もやってみた(番外編1)2022年01月08日 08時49分52秒

https://www.m3.com/news/iryoishin/999157?preview=true

m3.com 『開業医をやりながら作家もやってみた』番外編が公開されました。
新著『ぼくとがんの7年』に関するインタビューです。よかったらご覧になってください。

作家で億は稼げません(吉田 親司)2022年01月08日 17時50分45秒

作家で億は稼げません
これは面白くて一気読みでした。
松岡圭祐さんみたいには超有名な作家さんではありませんが、筆一本で生活している立派な作家さんです。
その努力、がんばりにちょっと感動してしまいました。
これまで書いた本は、100冊ちょっとだそうです。
書き続けるためには、ベストセラーを出すことも重要ですが、編集者を納得させる文章がないとどうにもなりません。

編集者は「売れない」と思う本は絶対に出版しませんから、編集者が「書いてください」と言ったということは、「売れる」可能性があるということです。
で、実際に売れるかどうかは時の運みたいなものです。
地道に売るのは、作家の仕事でもあり、出版社の仕事でもあります。
ある意味で、本は「売れる」ものではなく、「売る」ものという部分もあります。
幻冬社なんて、本当に必死に売ろうとしていますよね。

吉田さんは「架空戦記」というジャンルを書いているそうです。ぼくは、恥ずかしながらこの言葉を知りませんでした。
でも半村良の『戦国自衛隊』というSFは知っています。
あの系統なんですね。
ぼくが「架空戦記」をたくさん読んでいてこのジャンルに詳しければ、本書をもっと面白く読めたかもしれません。
ぼくが読むのはノンフィクションばかりなので、今後直接的に吉田さんを応援できないかもしれません。だけど、筆一本で生きる吉田さんにエールを送りたいと思います。
書いて書いて書きまくってください。がんばって!

日本語作文術(野内 良三)2022年01月10日 20時30分31秒

日本語作文術(野内 良三)
ぼくが読売新聞オンライン・ヨミドクターに連載した『いのちは輝く』は、総計で1億900万PV を超えました。
障害や病気を持つ子どもに対して関心を持つ読者が多かったことが、それほどまでに読まれた理由だと思います。
ただ、ちょっと生意気なことを言わせてもらえば、ぼくの文章が悪くなかったことも理由の一部になっていると思います。
この連載では1回の話を約1500字で書いてほしいという注文が編集長からつき、ぼくは自分なりに懸命に文章を磨いて連載に上げました。

文章を磨くことは、本を書くようになってからずっと目指していることです。
いえ、医学生の頃から文章読本の類は好きで、よく読んでいました。たとえば岩淵悦太郎さんの『悪文』とか。
今でもよく読みます。
本書もそのうちの1冊です。

この本で一番丁寧に書かれていたのは助詞の「ハ」と「ガ」の使い分けです。
これはね、案外難しいんです。
ぼくなりの解釈を書くと、「〇〇について言うならば」のときに「ハ」を使います。
「〇〇こそが」のときに、「ガ」を使います。
複雑なのは、「ガ」は主語であることがほとんどですが、「ハ」はそうとは限らないことです。「主題」の提示として使われるんですね。

日本語は、「ハ」と「ガ」に限らず助詞の使い方がけっこう難しく、こういう部分に気を使うといい文章が書けます。

次の文章を見てください。
「今冬初めて焼酎のお湯割りを飲んだ」
これはどういう意味でしょうか?
1 今冬としては初めて飲んだ
2 今冬に、生まれて初めて飲んだ
ふたつの解釈がありますよね。
1 であれば「今冬初めての焼酎のお湯割りを飲んだ」と「の」を入れるのがいいでしょう。
2なら、「今冬に初めて焼酎のお湯割りを飲んだ」と「に」を補うのがいいでしょう。
細かいですが、大事な点です。

早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか(中嶋 彰)2022年01月11日 21時29分04秒

早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか
とても面白く読んだのですが、ほとんど理解できませんでした(笑)。
南部先生の発見は、「自発的対称性の破れ」。
これが理解できないので、どうにもなりません。
そもそも物理学って、どうやって新しいことを証明していくのでしょうか? 頭の中で考えるんですかね?
それにしても、先生が「自発的対称性の破れ」を発見して論文にしたのは、1961年。ぼくが生まれた年です。
ノーベル賞を受賞するまで50年もかかっています。なんじゃそりゃ。

日本の科学研究予算はどんどん削られていますから、あと10年もすると、ノーベル賞はアメリカ人と中国人の争いになるんじゃないですかね。
経済学賞は中国人には無理かもしれませんが、化学賞・物理学賞・医学生理学賞は日本人にはおそらく厳しくて、中国が一気に擡頭してくると思いますよ。

物理学が好きな方は、ぜひどうぞ。おススメします。

『開業医をやりながら作家もやってみた』番外編その22022年01月15日 08時50分27秒

https://www.m3.com/news/iryoishin/999158

m3.com に、『ぼくとがんの7年』に関するインタビューの後編が掲載されました。お時間のある方は、ご覧になってください。

連載記事、『開業医をやりながら作家もやってみた』もあと6回です。今後の展望も述べました。

プレジデント・オンラインに登場しました2022年01月16日 12時30分57秒

プレジデント・オンライン
プレジデント・オンラインに、拙著『ぼくとがんの7年』に関する記事が記載されました。
最終章でぼくが書いた死生観を中心にまとめられています。
よかったらご覧になってください。

↓からどうぞ。

「人間に自殺をする権利はない」医師が"ゆっくりした安楽死"の間で考えたこと 医師は死について悩みつづける存在 #プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/53711

選択的夫婦別姓制度に思う2022年01月19日 20時22分55秒

ヒトはほかの哺乳動物に比べて遺伝子のバリエーションが少ないことが知られています。それはなぜでしょうか?
その理由は、人の起源がかなり数少ない個体から枝分かれしたからです。
7万5千年前に起きたインドネシアの火山の大爆発は、地球上を火山灰で覆い尽くし氷期を招きました。
人類はあやうく絶滅するところでした。この時に生き残った人類はわずか1000人から1万人くらいと推定されています。
ですから人はこの時点で、遺伝子の多様性を失ったのですね。

日本は、結婚後に夫婦同姓であることが定められた世界で唯一の国です。1996年には、法務大臣の諮問機関が、希望する夫婦には別姓を使用できる「選択的夫婦別姓」を盛り込んだ民法改正案を答申しました。
しかしながらこの制度は未だに実現していません。最高裁の大法廷でも「違憲」という判断は出ませんでした。
2020年に早稲田大学の研究室などが行なった世論調査では、70%を超える人が「選択的夫婦別姓」に賛成しています。
では、政治はなぜ民意を反映しないのでしょうか?
この制度に反対、または慎重な姿勢をとっている政党は自民党と日本維新の会だけです。自民党は明らかに反対しています。ただし自民党も一枚岩というわけではありません。
党内の保守派が強硬に反対しており、自民党が意見を集約できないという実態があります。

「選択的夫婦別姓」には賛成派・反対派からそれぞれ意見の表明があります。意見の違いがあること自体は健全と言えるでしょう。しかし、自民党保守派議員に朝日新聞がインタビューしたところ(2021年1月29日)、(夫婦同姓が)「日本の美徳なんだ」と答えたそうです。
「美徳」という言葉を持ち出されると、ちょっと議論にはなりにくいのではないでしょうか?

私たちの社会は、働き方もライフスタイルもジェンダー意識も人権感覚も大きく変化してきています。
理不尽なことや不条理なことは、まだまだ残っているとはいえ、昭和の時代と比べてずいぶん少なくなりました。かわって多様性が大事にされるようになってきました。

人類滅亡の危機からもう7万5千年経っています。遺伝学的多様性が豊かでなくても、私たちの心には多様性を重んじる価値観が育っています。人や国が滅びるのは、天災よりも文化からかもしれません。

朝日新聞WEB論座2022年01月20日 18時10分17秒

『ぼくとがんの7年』を書いて、感じたことを朝日新聞WEB論座に書かせていただきました。

https://webronza.asahi.com/national/articles/2022011900003.html?fbclid=IwAR2tU1ri92fxyIwRoqwuVdXptfgf5mxP0UkgHgbnhZyDK3D1R0rm6Iic-Xg


ぜひ、ごらんになってください。明後日まで全文無料で読めます。

国土交通省の統計不正2022年01月25日 10時20分46秒

コロナ禍の中、今年も大学入学共通テストが終りました。
若者には人生で最初の厳しい試練かもしれません。それだけに試験に不正行為があったことがときどき報道されます。

テストが大学入試センター試験と呼ばれていた頃、国語のテストで不正事件がありました。
その受験生は文章を読む際に定規を文字列に当てていたそうです。読みやすくするためです。

定規の使用は禁止事項のため、受験生は全科目無効になったといいます。
「定規で失格」は「杓子定規」にも思えますが、ルールは守らなければならないでしょう。
ましてやそれが国家レベルとなると、その重大さは桁違いになります。

国の基幹統計「建設工事受注統計」の不正の全貌がまだ見えません。
国土交通省の職員が統計不正操作を行ったことで、2020年度の統計が4兆円過大になっていた疑いが浮上しています。
これは実績全体の5%に相当し、巨額な訂正が必要になってくる可能性があります。

統計は政策立案の基本ですし、GDPを計算する際の基礎データです。
あってはならないことで、全貌解明が必要です。なぜこうした不正が行われたのでしょうか?
国土交通省は早々と事務次官ら10人の訓告や減給などの処分を発表しました。官僚組織はこういう対応は実に「ちゃんと」していて、処分が素早いですよね。

しかし問題の本質は処分をどうするかではありません。
そういうお決まりのような処分の「杓子定規」は要りませんから、不正の「何故」をつまびらかにしてほしいものです。