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日本語作文術(野内 良三)2022年01月10日 20時30分31秒

日本語作文術(野内 良三)
ぼくが読売新聞オンライン・ヨミドクターに連載した『いのちは輝く』は、総計で1億900万PV を超えました。
障害や病気を持つ子どもに対して関心を持つ読者が多かったことが、それほどまでに読まれた理由だと思います。
ただ、ちょっと生意気なことを言わせてもらえば、ぼくの文章が悪くなかったことも理由の一部になっていると思います。
この連載では1回の話を約1500字で書いてほしいという注文が編集長からつき、ぼくは自分なりに懸命に文章を磨いて連載に上げました。

文章を磨くことは、本を書くようになってからずっと目指していることです。
いえ、医学生の頃から文章読本の類は好きで、よく読んでいました。たとえば岩淵悦太郎さんの『悪文』とか。
今でもよく読みます。
本書もそのうちの1冊です。

この本で一番丁寧に書かれていたのは助詞の「ハ」と「ガ」の使い分けです。
これはね、案外難しいんです。
ぼくなりの解釈を書くと、「〇〇について言うならば」のときに「ハ」を使います。
「〇〇こそが」のときに、「ガ」を使います。
複雑なのは、「ガ」は主語であることがほとんどですが、「ハ」はそうとは限らないことです。「主題」の提示として使われるんですね。

日本語は、「ハ」と「ガ」に限らず助詞の使い方がけっこう難しく、こういう部分に気を使うといい文章が書けます。

次の文章を見てください。
「今冬初めて焼酎のお湯割りを飲んだ」
これはどういう意味でしょうか?
1 今冬としては初めて飲んだ
2 今冬に、生まれて初めて飲んだ
ふたつの解釈がありますよね。
1 であれば「今冬初めての焼酎のお湯割りを飲んだ」と「の」を入れるのがいいでしょう。
2なら、「今冬に初めて焼酎のお湯割りを飲んだ」と「に」を補うのがいいでしょう。
細かいですが、大事な点です。