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おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」(谷口真由美)2022年02月01日 22時09分48秒

おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」
いま話題の書です。
この本を暴露本と言ってしまえば簡単ですが、そういうことが本質ではありません。
ラグビー協会というウルトラマッチョな社会を通して、日本社会のジェンダー差別を強烈に批判しながら、あるべき未来への道標を照らしているのだと思います。

こういう本が書けるのは、まず、谷口さんが本当に一生懸命ラグビー協会の仕事をやったというプライドがあったから、そして「失敗の本質」を真剣に考えたから、そして最後に勇気があったからでしょう。
最後にハンナ・アーレントまで出てくるとは思いませんでした。
しかしまあ、こんなことだろうとは思っていましたが、日本ラグビー協会の体質の古さには・・・。
2019年のW杯で勝ったのがよくなかったのかもしれませんね。

ぼくの個人的な欲としては、最終章の「日本社会を蝕むおっさんたちの正体」をもっと膨らませて、さらに谷口さんの日本論を読みたかったです。
現在、アマゾンで入手困難ですが、流通が回復したら読んでみてください。
おススメです。

病理医ヤンデル先生に書評を書いて頂きました2022年02月02日 17時15分43秒

『ぼくとがんの7年』
病理医ヤンデル先生(市原真先生)が、書評を書いてくれました!

https://amzn.to/3uhjN3R

アマゾンの「商品の説明・出版社からのコメント」の欄に掲載されています。感謝感激です。ぜひ、お読みになってください。

山本健人(けいゆう)先生に書評を書いていただく2022年02月03日 12時42分54秒

山本健人(けいゆう)先生に、『ぼくとがんの7年』の書評を書いて頂きました。
めっちゃうれしい。うれしいことが続きます!

https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/111549#tab4

ぜひ、ご覧になってくださいね。

人生最後のご馳走(青山 ゆみこ)2022年02月06日 23時20分05秒

人生最後のご馳走
ぼくがまだ大学病院で働いていた頃。
毎年秋になると、ぼくたちは若い医学生を、小児外科に入るように一生懸命勧誘していました。
その日は、研究棟の屋上で、小児外科に興味を持つ10人弱の医学生を招いてバーベキューをしていました。
ぼくは小児外科の魅力を熱を込めて力説しました。
「大人のがんの医療は5年生存率が目安でしょ? でも小児外科は違う。生まれて0日の赤ちゃんを助けて、その子の人生を支えるから80年生存が目標なんだ」
するとそのとき、ぼくの後輩の医者がポツリと言うのです。
「でもね、先生、80年生きた人の最後の1年も大事なんですよ」
彼はふだんそういう気の利いたことを言う奴ではなかったので、ぼくは驚きました。
「せっかく学生を勧誘しているのに、そんな話をしたら台無しじゃないか」・・・そんなことを言ってみんなと笑いました。

あれから時間がたち、ぼくにも人生の終わりとは何かが次第に見えてきました。
ああ、あいつが言ったことは正解なんだなと思うようになったのです。
この本は、淀川キリスト教病院のホスピスが舞台です。患者さんには「リクエスト食」と呼ばれる、オーダーメイドの食事が出されます。
筆者の青山さんは、食をキーワードにして患者さんの人生を辿っていきます。
ああ、そうか。人って食を通して人生が語れるんだ。

ここに登場する患者さんは、もちろん誰もが無名の人、普通の市井の人たちです。だけれども、その人たちの語る話には、ものすごく奥行きがあって、読者の心に染み入るように深く広がっていきます。
人生とは何だろうとか、生きるとは何だろうとか、そういう普遍的な話へと通じていくのです。

読書には単に本を読んでよかったという時間のほかに、読み手の心を揺さぶるような時間を生み出すことがあります。
こういうふうな本にはちょっと出会えないな。
そんな時間を共にしました。

超えるべき壁〜神経芽腫2022年02月08日 20時40分36秒

神経芽腫は小児がんの中で未だに治療成績が悪く、すべての病気の中でも子どもの命をもっとも数多く奪う疾患の1つです。

この病気は腹部腫瘍として静かに増殖し、子どもが1歳を過ぎると全身の骨に転移します。骨転移による脚の痛みや原因不明の熱が続くことで神経芽腫は発覚します。つまり診断がついたときには、ステージ4になっていることが大多数です。1年以上に及ぶ集学的治療(手術・抗がん剤・放射線療法)を行なっても、完全寛解に至る例は高々40%くらいです。治ったと見えても再発を来すことも稀ではありません。
最近になって、新しい治療薬・抗GD2抗体が保険適用になりました。この抗体はがん細胞の表面に付着することで免疫細胞を活性化し、患者の体内に残っているわずかながん細胞を根絶させるとされています。この治療法に対する医師や患者家族の期待は大きいものがあります。

小児科医・小児外科医にとって神経芽腫は超えるべき大きな壁です。武器は一つでも多い方がいいことは間違いありません。これまでの常識を覆すような治療成績を待ち望んでいます。

家族(村井 理子)2022年02月09日 20時39分28秒

家族
夢中になって読みました。
家族ってなんでしょうか?
家族は自分という存在の拠り所であり、同時に窒息しそうになる人間関係の坩堝みたいなものではないでしょうか?
村井さんは、家族を愛し、また遠ざけ、ときに裏切られ、それでも赦すという関係を持ち続けていました。
抜き差しならぬ、とても濃い関係があったことが見てとれます。

『兄の終い』を読んだとき、村井さんは単に兄を嫌っていたと、読んだぼくは思い込みましたが、そういう単純な関係でなかったことがこの本でよく分かりました。
家族に対してそこまで強い「想い」を持てるというのは素晴らしいことだと思います。

この世の中には、さまざまな家族の形があって、どの家族が幸せとか、どの家族がそうでないとか、それは誰にも分からないことです。いえ、当人たちにも分からないことだと思います。
一緒にいて幸福とか不幸とか、そういうものを超えて、一緒にいなければいけないのが家族なんだと思います。

ぼくは『ぼくとがんの7年』で家族のことを少しだけ書きました。なぜ「少しだけ」かと言うと、少しだけしか書けなかったからです。
ぼくの両親に対する想いは、複雑すぎるため、筆を走らせることに限界があったのです。
何十年と言う家族の歴史の中に、たとえどんなことがあったとしても、やはり家族は家族で、その関係性は断ち切ることはできないし、死別してもいつまでも想いが残り、引きずるものなのでしょう。
ぼくは、重く引きずっています。いいとか、悪いとかでなく。

この本をどう読むかは人によってさまざまだと思います。
いろいろな意見があるでしょう。
ぼくにとってこの本は、ぼくの心の奥の深い部分に収まっていくような作品でした。
みなさんもぜひ読んでみてください。お勧めします。

超えるべき壁〜胆道閉鎖2022年02月10日 16時41分48秒

母子手帳の中に入っている便色カードは、あまり有効に使われていないようです。これは便の色をチェックすることで胆道閉鎖を早期に発見するためのツールです。

胆道閉鎖はたいへん難しい病気で、生直後に胆道が消失するために、胆汁が肝臓に滞り、たちまち肝硬変に陥ります。手術を行なっても、胆汁がきちんと流れるようになる患者は2/3程度に留まります。1/3の子どもには肝臓移植が必要です。
さらに治った思える子どもたちも、成人になるまでに肝硬変が進行します。すると結局2人に1人は肝臓移植が必要になります。肝臓移植は命懸けの大手術です。手術が行える病院も限られています。臓器を提供する親にも大きな影響を及ぼします。

この病気は生後60日以内に診断がつけば、肝臓移植になる可能性が下がります。便色カードをぜひ有効活用してください。

HONZ に登場2022年02月11日 09時12分18秒

HONZ に登場
HONZ といえば、ノンフィクション系書評サイトとして大変有名。
ぼくもよく読んでいます。
書評の「プロ」である大阪大学・病理学教室教授の仲野徹先生が書いてくれた、拙著『ぼくとがんの7年』に対する書評が、HONZに転載されています。

https://honz.jp/articles/-/50918

ぜひ、ご覧になってくださいね。
この本は、いろいろな方から「一気読みした」とお褒めの言葉をいただいています。人が病むとはどういうことなのか、じっくりと描きましたので、よかったら手に取ってください。
こちらから。↓

https://amzn.to/3HKLx4O

書く仕事がしたい(佐藤 友美)2022年02月12日 11時09分07秒

書く仕事がしたい(佐藤 友美)
どうしたらライターになれるかを書いた本です。

この本の一番いいところは面白いことです。
つまり本にとって一番重要なことを達成しています。
ぼくは別にライター志望ではありませんが、それでも一気に読んでしまいました。

そして目につくのは文章のうまさです。
本人は、別に文章は上手でないと謙遜していますが、いえいえ、十分にうまいです。さすが売れっ子ライターですね。
もう一つ目立ったのは、仕事に対する真剣さとか誠実さです。
とても一生懸命なんですよね。
好きだから一生懸命になれるという面もあるかもしれませんが、一生懸命仕事をするから成果が出て、その結果仕事が面白いという好循環もあると思います。

ライター志望という、ある意味で狭いターゲットに合わせて書いた本がよく売れるということは、その層の核心をついたということです。
そういう本ってあんがい普遍性があって多くの人に読まれるんですよね。
これからもたくさん書いてくださいね。

みなさんにもオススメです。

開業医をやりながら作家もやってみた・第20回2022年02月13日 11時19分43秒

m3.com 連載の『開業医をやりながら作家もやってみた』第20回
が掲載されました。

https://www.m3.com/news/iryoishin/1012735

今回は、ヨミドクターに連載した『いのちは輝く』がバズり、40回の連載で総PVが1億900万に達した話です。

よかったら読んでみてください。