長嶋茂雄さん、さようなら2025年06月03日 19時38分48秒

長嶋茂雄さん、さようなら
ぼくは1961年生まれ。
ぼくより若い世代はあまりよく分からないと思いますが、長嶋茂雄は国民的英雄でした。
なにしろ娯楽が野球しかなかった時代。
サッカーもバスケもラグビーもメディアで伝えられることはなく、毎晩、ナイター中継は20%以上の高視聴率でした。

ぼくが草野球をするようになったのは、小学3年生。
王・長嶋はスーパーヒーローで、「ベーゴマ」にも名前が刻まれていました(って何のことか分からないと思います)
毎年、巨人軍が優勝して、日本シリーズでも勝って、それが松永少年には「当たり前」のことでした。

だから、ぼくが中学1年生のとき、長島さんが引退すると聞いてびっくりしました。
当たり前が当たり前ではなくなったのですから。
そして監督に就任。
メチャクチャ応援しました。
ところが、長島選手のいない巨人軍はとても弱く、なんと最下位に沈みます。
悔しかったなあ。

地獄の伊東キャンプで若手を鍛え、さあ、これからという時に監督を解任されます。泣きました。

浪人生活が長く続きますが、2度目の監督に就任。そこからは恵まれた環境にあってリーグ優勝も日本一も経験します。
ぼくも全力で応援しました。

脳梗塞で倒れたときは、まさかと思いました。
あんなに体を鍛えた人でも病に倒れるのか。
復帰後の長島さんは、正直言って見るのがつらかったです。

「たった一人の人間が世界を変える」
これはぼくの恩師の科学者の言葉ですが、本当にそう思います。
長島さんは東京六大学リーグ出身(立教大学)ですが、その頃の野球って、大学野球の方がプロ野球より人気も実力も上だったんです。
そのプロ野球を国民的な娯楽にまで高めたのが長島さん。
スターという言葉がぴったりな輝く大輪の花でした。
大好きだった・・・長嶋茂雄。

日本人拉致(蓮池 薫)2025年06月08日 19時26分44秒

日本人拉致(蓮池 薫)
北朝鮮による日本人拉致を風化させないために書いたそうです。
当然それは大事なことですし、拉致問題のすべてが完全に解決することをぼくも切に願っています。
この本を読んで、北朝鮮に憤慨する人も、拉致問題に強く関心を寄せる人も多いでしょう。
でもぼくは、この本の文学としてクオリティの高さに感心しました。
24年間、拉致され異国の地で暮らす。
こんな経験のある人は、文明国では普通はありえません。
そこでの生活を静謐な文体、美しい日本語で、怒りを抑え込みながら淡々と綴る本作は、回想録の枠を超えた貴重な記録文学に昇華しています。
蓮池さんは1957年生まれ。記憶力も素晴らしいなと思いました。
現在、ベストセラー。おススメします。

『いのちは輝く〜わが子の障害を受け入れるとき』(中公文庫)2025年06月11日 16時04分03秒

『いのちは輝く〜わが子の障害を受け入れるとき』(中公文庫)
『いのちは輝く〜わが子の障害を受け入れるとき』(中公文庫)。

5年の時を経て、文庫本として再登場です。
6月20日発売。近くなったら、また宣伝しますね。
よろしくお願いします。

やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく(梯 久美子)2025年06月14日 20時41分54秒

やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく(梯 久美子)
現在、大ベストセラー中です。
評伝の名手、梯久美子さんの作品ですから、おもしろくないはずない・・・と思って読みました。
やっぱり、おもしろかったです。
ぼくは、アンパンマンに関する知識も、やなせたかしさんに対する知識もゼロ。
ああ、こういう人生なんだとしみじみと思いながら読みました。
家族の死、戦争の悲惨さ・・・そういうものが人生のバックボーンになっているのですね。

しかし、梯さんはさらりと評伝を書きますが、案の定、参考文献は膨大でした。
そういうことを感じさせないで、軽いタッチで書けることが真骨頂ですね。
うらやましい。
とても真似できませんが、死ぬまでに1作くらいは評伝を書いてみたいです。

みなさん、ぜひ、どうぞ。

『いのちは輝く』、発売です!2025年06月21日 08時46分14秒

『いのちは輝く』、発売です!
  クリックで拡大 ↑

『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』、発売になりました!
今朝の朝日新聞にも広告が出ていました。

大切なことをたくさん書きましたので、読んでいただければ大変うれしいです。

ここから。↓

https://amzn.to/3Tn3j5H

どうぞよろしくお願いします!

出版不況のこの時代に2025年06月22日 17時28分38秒

出版不況と言われてから、もうだいぶ経ちます。
状況は好転する気配はなく、ますます苦しくなっているようです。
本というのは、初版に5000部印刷したとして、このうち70%くらいが売れれば損益分岐点を超えるようです。
重版になれば、それはもうお金を刷っているようなものですから、大きな利益がでます。

しかし重版になる本は書籍全体の20%くらいと聞いたことがあります。
出版不況になってから、出版点数はむしろ増えています。
ま、薄利多売という感じでしょうか。
村上春樹さんの本のようなメガヒットはなかなか出ないため、次から次に出版しているという具合です。

最近になって本の価格が上昇の気配を見せています。
このインフレ状況下で紙の価格も上がり、配送コストも上昇しています。
今までハードカバーで出していた本もソフトカバーになり、文庫本も600円代では買えなくなっています。

たしかに単行本1冊が1700円プラス消費税というのは、今の時代にはちょっと高額でしょう。
映画を自宅で観ようと思えば、1本2時間を400円くらいで楽しめます。
Amazonの有料会員ならば、無料動画も多数見ることが可能です。
書籍は苦しいと言えます。

電子書籍が広まると、今度は街の本屋さんが困ることになります。
やはり紙の本が売れて欲しいですね。
出版社はコスト削減に工夫を凝らすしかありません。
中央公論新社・角川春樹事務所・河出書房新社・筑摩書房の4社は文庫本の紙を共通化したそうです。
なるほど、スケールメリットが生まれますよね。

この状況を大転換する魔法のような方法はおそらくないと思います。
出版社はひたすら「いい本」を作り続けることが、最良で唯一の解決策だと思います。
本好きのぼくらは、期待しながら待っています。

潤日(ルンリィー): 日本へ大脱出する中国人富裕層を追う(舛友雄大)2025年06月26日 15時17分38秒

潤日(ルンリィー): 日本へ大脱出する中国人富裕層を追う(舛友雄大)
現在、大ベストセラー中です。
日本へ逃げてくる中国の富裕層。なぜ彼らは中国を脱出し、そして日本を目指すのか。
そして日本で何をやっているのか?
そういうことを描いたノンフィクションです。
今という時代をよく表していると感じました。

どうでもいい感想ですが、ぼくは晴海のタワマンなんかとても住みたいと思わないな。
なんだか、日本語が通じないような気がして(笑)。

よかったら、どうぞ。

2030―2040年 医療の真実-下町病院長だから見える医療の末路(熊谷賴佳)2025年06月26日 19時56分07秒

2030―2040年 医療の真実-下町病院長だから見える医療の末路(熊谷賴佳)
発売、即重版で現在ベストセラーです。
未来の医療年表をとてもリアルに描いていました。
また、厚労省が執念を持って医療費を削減しようとしており、民間の「病院」はどんどん赤字になっていく構造もよく分かりました。
厚労省は、病院をわざと潰して統廃合を進めようとしているのではないでしょうか?
大変暗い内容の本でした。

この本は、ブックライターさんが書いたのだと思われますが、いくらなんでももうちょっと良い文章を書いてほしかったです。
内容も整理されていませんし、読点の使い方など、ちょっと文章が拙かったと思います。
せっかくデータが充実していてよかったのに。