神経芽腫は小児がんの中で未だに治療成績が悪く、すべての病気の中でも子どもの命をもっとも数多く奪う疾患の1つです。
この病気は腹部腫瘍として静かに増殖し、子どもが1歳を過ぎると全身の骨に転移します。骨転移による脚の痛みや原因不明の熱が続くことで神経芽腫は発覚します。つまり診断がついたときには、ステージ4になっていることが大多数です。1年以上に及ぶ集学的治療(手術・抗がん剤・放射線療法)を行なっても、完全寛解に至る例は高々40%くらいです。治ったと見えても再発を来すことも稀ではありません。
最近になって、新しい治療薬・抗GD2抗体が保険適用になりました。この抗体はがん細胞の表面に付着することで免疫細胞を活性化し、患者の体内に残っているわずかながん細胞を根絶させるとされています。この治療法に対する医師や患者家族の期待は大きいものがあります。
小児科医・小児外科医にとって神経芽腫は超えるべき大きな壁です。武器は一つでも多い方がいいことは間違いありません。これまでの常識を覆すような治療成績を待ち望んでいます。
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