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ボーダー 移民と難民(佐々 涼子)2022年12月31日 16時05分43秒

ボーダー 移民と難民
日本には基本的に移民はいません。しかし技能実習生という形で3年間の「移民」を受け入れています。
受け入れているというか、来てもらわないことには、基盤産業が成り立ちません。
問題は将来にわたって技能実習生が来てくれるかという点で、経済成長がまったくできない日本は、東南アジアの人々からは魅力を失っている現実があります。
こういった人たちが来てくれないと、日本の産業は足元から崩れてしまうかもしれません。大変大きな問題です。

難民の問題はもっと大きくて、日本くらい非人道的国家は先進国の中ではちょっとないでしょう。
日本人には、いわゆる「非白人」に対する強烈な差別意識があり、そうした人権感覚が難問問題にもろに出ています。
ウシュマさんも死亡事故はあまりもひどかったので、世論を少し動かしたと思います。
ぼくもこの事件に関して知人の新聞記者にいくつか相談されましたが(詳しくは書けない)、虐待死のようなことが入管の中で起きていたと思います。

本書は、そういった今の日本にとって大切なテーマを扱っています。
他人事ではなく、自分の問題として本書を読んでみてください。

生きることの意味2022年12月31日 22時53分08秒

生きることの意味
人はなんのために生きるのか? 
それは、より善く生きるために生きるのではないでしょうか。
ぼくは人として欠点の多い人間で、他人を赦す能力に乏しかったり、最も親しい人に愛情をうまく伝えられなかったり、(大学時代ですが)後輩に対して思いやりのある言葉を発せられなかったりしました。

しかしどこか善の部分もあります。
患者に対してひたすら真面目に精一杯治療を行ってきた35年間に偽りはなく、責任感とか使命感は揺るがずに持っていました。
つまり自分の心の中には、善の部分と、そうでない部分が混ざっています。
より善く生きるとは、善の部分を膨らませ、育て上げて、自己実現をはかっていくことでしょう。

開業医という仕事は、なかなか自分を成長させられません。
大学時代の貯金を切り崩して診療を行っているようなものです。
ぼくが開業医になって本当に勉強した分野は「喘息」と「発達障害」だけかもしれません。
ただ、たとえ風邪を診るだけでも、家族からすればありがたいことかもしれないので、医療という労働によって、ぼくはわずかでも日々自己実現している可能性があります。

本を書くことになったのは、今から14年前で、これまでに14冊の本を作りました。
それぞれの本に思い入れがあり、書くたびに学びがありました。
特に障害児医療をめぐる医師の使命と倫理については、本を書くことで初めて目が開かれるような思いをしました。
執筆を通じて、自分がより善く生きることができるようになったのは間違いなく、この活動はこれからも続けていきたいと思っています。

「売れる本」を書くつもりはありません。書けないし。「善き本」を書きたい。
そうして自分の中の善の部分を拡大し、生きる意味を再確認したいと思っています。
若い頃のエネルギーはもうないけれど、残りの人生の中で今日が一番若い日です。
挑戦をやめることはしません。