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安楽死を遂げた日本人(宮下 洋一)2019年06月24日 16時48分58秒

安楽死を遂げた日本人(宮下 洋一)
現在大変話題になっている本です。
売れ行きもとても好調のようです。
これだけ、評判がよく、ベストセラーになっているのですから、これ以上ぼくが何かを誉める必要はないでしょう。
ぼくなりの視点でちょっと書評を書きます。
文学はフィクションであれ、ノンフィクションであれ、本は幹の部分と枝葉の部分から成り立っています。
本書は幹の描き方がちょっと弱かったように思います。
つまりバルセロナに拠点を持っている作家が、日本(新潟)まで来て、細かく聞き書きをするのは至難の業だったでしょう。
その部分を安楽死(とここでは書きますが、正確には医師による自殺幇助)した女性の書いたブログで埋めていますが、やはりここは本当であれば、ブログの記事を元にしてインタビューを重ねていけば、もっと深い世界が描けたように思えます。
一方、枝葉の部分とは筆者の取材の舞台裏のことです。この本はけっこう「取材日誌」みたいになっている部分があって、そこをどう書くかは難しかったと思います。
沢木耕太郎さんはそういう部分の書き方がすごくうまいんですが、ぼく自身もこれは苦手です。
この本はこれで完成していると思いますが、ぼくだったら、安楽死した女性だけに話を絞って190ページくらいの本を作ったと思います。

大事なことがたくさん含まれていますから、みなさんもぜひ読んで、考えてみてはいかがでしょうか。