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ストーカーとの七〇〇日戦争(内澤 旬子)2019年06月16日 21時03分20秒

ストーカーとの七〇〇日戦争(内澤 旬子)
内澤さんには、数年前講談社g2でインタビューしましたので、お会いしたことがあります。
ハッとするくらい美しい人でした。
内澤さんの作品はいくつも読んでいますが、どれもが文章がうまい。講談社エッセイ賞を受賞しただけのことはあります。
こういう文章を読むと、羨ましくなってしまいます。

さて、本作は週刊文春で連載されていた記事を書籍化したもの。連載当時から記事に目を通していましたが、やはり書籍になると圧倒的な迫力があります。

筆者はネットで知り合った男性と交際を開始。しかし8カ月後、この人とは無理と思い至り、別れ話を持ち出します。
ここでこの男は急変。激怒して脅迫行為に及びます。
タイトルがストーカーだったので、つきまとい・待ち伏せなどかなと思ったのですが、そうではありませんでした。
Line を通じて怖いことを言ってくる訳です。

こういうとき、わたしたちはどうやって防御すればいいのでしょうか?
それが本書のテーマでもあります。
警察・検察・弁護士・カウンセラー・裁判官・保護監察官。
いろいろな人が出てきます。
しかし彼らには彼らなりの役割しかないため、ワンストップで被害者を守ってくれるシステムがない。
ここが問題ですね。
そして今の時代のストーカーは単純に暴力を振るうのではなく、2チャンネルに読むに耐えないことを書き込んだりします。
つまり名誉毀損ですね。
こうした男から、「お前の所に行くぞ」と言われれば、怖くて日常を過ごすことはできません。
転居も必要だし、車だって買い換える必要があります。
そして仕事だってできなくなりますから、その被害の大きさは、肉体的な暴力とは別次元で大きなものがあります。

結局、ストーカー行為とは薬物中毒と同じように「病」の一種なんですね。
だから牢屋に入れて罰すれば終了という訳ではまったくないし、再犯となれば標的は内澤さん一人だけなんですね。そこが怖い。

しかしこれだけ恐怖のどん底に落ちながら、よくぞこの連載を書ききったと感心します。
ぼくだったら? 書けないと思います。そのときの恐怖をもう一度頭に思い浮かべることができない。
それを書いたというのは、内澤さんの使命感みたいなもので、ストーカー被害に遭ったときにどう対処すればいいのかを伝えたいという公益の面から考えた部分があるでしょう。
しかしそれ以上にモチベーションになっているのは、文筆家としての業のようなものではないでしょうか?
これだけの経験をして、それを文にしなかったら、この先、文筆家として生きていけないと思います。
そういう本能が内澤さんにこの本を書かせたのだと感じます。

文章は例によって、一見軽そうですが実に深い。体の中に広がる恐怖の黒い雲を、これでもかこれでもかと描ききっています。
読んでいて愉快ということはなく、筆者と一緒に憂鬱になる本です。
そういう意味では万人にオススメという訳ではないのですが、やはりエッセイ文学としては大変レベルの高い1冊です。
この本を書いたことで、内澤さんが被害に遭わなければいいなと、それだけを祈ります。