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2018年!2018年01月01日 17時29分38秒

新春を寿ぎ、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨年は体調不良に苦しめられた年でした。
ぼくももう若くないので、あちこち不調なのは仕方がないのかもしれません。
しかし健康を害すると、いい医療はできませんので、なんとか健康を維持したいものです。

ぼくは開業して一年目の年に4−5回風邪を引きました。ま、患者さんに移される訳ですね。
この時は本当にもううんざりして仕事を辞めたくなりました。
しかしその後、免疫が付いたおかげと思いますが、めっきり風邪を引かなくなりました。
ところが、一昨年と昨年に一回ずつ風邪を引いてしまいました。

ぼくの免疫をブレークして感染するのですから、なかなか強烈な風邪で、喉から胸にかけて粘膜が浮腫状になってしまい、声が出ない状態でした。
発熱は無く、咳も大したことは無かったので、診療はおこないましたが、声が出ない。
おそらく患者さんからしたら、「説明が不十分」「声が聞き取りにくい」「無愛想」とイヤな印象を持ったことでしょう。

患者さんは自由に医者を選べます。
しかしながら風邪などの軽症で、わざわざ遠方の病院までは行かないでしょう。つまり近所のクリニックへ行く。
うちのクリニックへ来る患者さんの99%は、単に「近いから」という理由で来ていると思います。
ぼくが「いい医者だから」という理由で来る方は1%くらいじゃないでしょうか?

でも、せっかく来た以上は誰だってちゃんとした医療を受けたいですよね。
受診してみて、いい医者じゃなかったら、がっかりしてしまいますよね。
ぼくだって、その時にぼくが声を出せなくて、十分な説明ができないと、患者さんに本当に申し訳ないと思ってしまうのです。

なので、2018年の目標はシンプルです。
1 健康であること。
2 患者さんに親切にすること。

そして蛇足として・・・昨年は友人とあまり会えなかったので、
3 友人と飲みに出かけること。
この3つです。
みなさんもぜひ、いい年にしてください。

プライド(金子 達仁)2018年01月01日 23時28分16秒

プライド(金子 達仁)
もーれつに期待して読んでしまったので、この本の評価は微妙です。
筆者自身が言っているように、取材すればするほど「いい話」がたくさん聞けてしまって、本の全体の構成が難しくなってしまった。
そこで、プライド1(第一回大会)に話を絞ったのですが、その割りは無駄と思える記述が多い。
広島カープの話や、サッカーW杯の話は要らなかったのではないでしょうか?
寺尾関の話も微妙だと思います。
ヒクソンのインタビューは大変興味深いのですが、家族関係の複雑さは紹介する必要が無かったのではないでしょうか?

しかしながら、高田がどうすれば自分に勝てたかという問いに対するヒクソンの答えは見事でした。
「訓練とは経験」というのはいい言葉です。
筆者にはここを深く書いて欲しかった。
つまりプロレスラーはふだん演技をしているから、経験を全然積んでいない訳です。
そんな高田がなぜヒクソンと闘いたかったのか?
この本ではさらりと理由が3つほど挙げられていますが、その取材はちょっと表面的だと思いました。
ここをもっと掘り下げて欲しい。
ヒクソンは命を懸け、高田はプライドを懸けたと筆者は言います。ではそのプライドとは何でしょうか?

結局、「ヒクソンと高田」を描くならば、榊原さんを描く必要はあまり無かったと思うし、榊原さんの物語にするならば、「ヒクソンと高田」はここまで書く必要はなかった。つまり、当初の構想通り、プライドの立ち上げから崩壊までを描いた方がよかったと思うのです。

ついでに言っておくと、ちょっと文章も凝りすぎて上滑りしている印象でした。もっとストレートに書けばいいのにと思ってしまいました。

一番良くなかったのは「あとがき」です。エピローグの余韻を全部消してしまったと言わざるを得ません。
もしかして、照れなのかな?
カッコ良く終わりすぎたから。
これだけ文章もうまく取材力もあるのに、ちょっと惜しい気がします。

僕はプロレス好きですから一気に読みましたが、みなさんはどうでしょうか?

忘却の引揚げ史《泉靖一と二日市保養所》 下川 正晴2018年01月02日 23時15分26秒

忘却の引揚げ史《泉靖一と二日市保養所》
二日市保養所というのは、かなり前に優生保護法との兼ね合いで何かで読んだ記憶があります。
しかしきちんとした書物で読むのは初めてです。

本書の大きなテーマは、満州・朝鮮からの引き揚げと、その過程で起きたソ連兵などによる女性への性暴力です。
佐世保に引き揚げてきた女性の中には、性病に感染したり、妊娠してしまったりしていた人が多数いたのです。

当時の国家(敗戦と同時に瓦解していますが)は、人工妊娠中絶を法的に認めていませんでした。
そこで、超法規的措置として、二日市保養所で中絶手術を国が許可したのです。
やがて優生保護法が成立しますので、二日市保養所は役目を終えることになります。

戦争の悪、それは勝者が敗者を殺し、強姦することです。
この本でも触れられていますが、なにも日本は一方的な被害者だった訳ではありません。
日本が中国戦線で「勝者」であった時期には、現地で、殺し、奪い、暴力を振るっていたのです。
それが敗戦と同時に立場が入れ替わったということです。

歴史に学ばない人間は愚かです。
学んだ上で、修正を加える人間は罪が深いと言えます。
70年以上前の日本は、多数の人間を殺し、そして殺されていた。
そして戦後70年、誰も殺していないというのは立派なことだと思います。
これからも誰も殺さない国家であって欲しいと心底願います。

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実 (阿部 岳)2018年01月05日 22時51分43秒

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
薄い本なんですが、内容は極めて重く大事なことがぎっしりと詰まっています。
Amazonのレビューには☆一つの悪評が多数並んでしますが、その悪口を読めばこの本がいかに重要な作品か理解できるでしょう。

狭い沖縄には、在日米軍の70%が集中しています。
つまり日本はまだ独立国家ではないということです。
この問題をどうやって解決すればいいのでしょうか? ぼくには答えが見つかりません。日米安保を破棄して、真に日本が独立するなら、日本は軍隊を持って核戦争に対峙できるようにする必要があります。
それを望む日本人は少ないので、本土の人間は沖縄の状況を見て見ぬ振りをするのではないでしょうか?
ただ、見ることさえしない日本人もたくさんいると思います。
本書は沖縄の基地問題を理解する上でとても大切な作品なので、関心の薄い方にこそぜひ読んで頂きたいと思います。

本編のルポも良かったけど、エピローグ(あとがき)が良かった。
オススメします。

いのちは輝く〜障害・病気と生きる子どもたち(8)2018年01月11日 12時15分28秒

2018年最初の原稿を掲載しました。ダウン症の彩香ちゃんの話です。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171218-OYTET50016/

ぜひ、ご覧になって下さい。

おクジラさま ふたつの正義の物語(佐々木 芽生)2018年01月11日 23時37分19秒

おクジラさま ふたつの正義の物語
これは大変いい本でした。
面白いし、非常に深く考えさせられる。
クジラ・イルカを捕って食べることは、正義なのか、悪なのか?
筆者は言います。
正義の反対は悪ではない。もう一つの正義である。
本当ですね。

でも日本語にはこういう言葉があります。
「どっちもどっち」
「喧嘩両成敗」
つまり悪の反対は悪という考え方です。

日本人でイルカ・クジラを食べたいと日頃から考えている人なんてほとんどいないのだから、食料としての捕獲はもうやめてもいいと思います。
太地町は、漁ではなく研究に方向性を変えていくのがいいでしょうね。
問題を複雑にしているのは、やはり白人活動家だというのが僕の意見です。
高等動物だから殺してはいけないという考えは、明らかな優生思想です。また、日本人を見下す人種優越思想が見え隠れするのも気になります。

根深いですね。
しかし、ピーター・シンガーの思想がここで大きな影響力を持っているとは知りませんでした。
オススメします。

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) 鴻上 尚史2018年01月13日 22時29分48秒

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか
大変面白い本でした。
9回出撃し、9回帰還した特攻隊の兵士を取り上げています。
ただ、本当に興味深く読むことができたのは、この特攻兵の話から離れて、大日本帝国の軍隊における特攻隊の意味を分析した後半です。
これを読むと、自ら志願して特攻兵になる人間など例外的なんだと分かります。
そういう意味では、9回出撃し、9回帰還した兵士は普通だったのかもしれませんね。

特攻を命ずる側の無責任さがとてもしっかりと分析されていました。
ダメなリーダーは精神論しか語らず、リアリズムがないとの指摘はまったくその通りだと思います。
そしてそういうリーダーに従ってしまい、集団行動をとる日本人の特性についても解説がありました。
空気と世間に従う国ですよね、わが祖国は。

良い本ですよ。オススメします。

戦争調査会 幻の政府文書を読み解く (講談社現代新書) 井上 寿一2018年01月14日 21時31分22秒

戦争調査会 幻の政府文書を読み解く
これも面白い本ですぐに読んでしまいました。
なぜ、日本は日中戦争・太平洋戦争に突入してしまったのか?
そしてあれだけの被害を出しながら、なぜ戦争をやめられなかったのか?

ここにかかれていることがすべての答えではないと思いますが、敗戦直後に自分たちでその原因を解明しようとしたプロジェクトがあったというのは驚きです。

ああした世界規模の大戦は今後起こることはないでしょう。
なぜならば、今の時代には情報があるからです。国と国が全面戦争になれば、どういう結果が待っているか、あの時代には予測もつかなかったのでしょう。
しかし今はそうではありません。偶発的な衝突は起きても、和平を探る動きはすぐに起きるのではないでしょうか?

もちろん、現在の地球上にはたくさんの紛争・内戦・テロがあります。ですが、国境線で囲まれた国家に一定のガバナンスがあれば、全面戦争にはならないというのがぼくの私見です。
ま、もちろん希望ですが。

NHKスタジオ探訪記2018年01月17日 17時42分04秒

NHK放送センター
昨年11月、NHKのディレクターさんから連絡を頂き、「ラジオ深夜便」への出演を打診されました。
まず、電話でお話しし、その後クリニックへ来て頂き、話を重ね、お互いが目指しているものが近いことを確認して出演を決めさせて頂きました。
そして今日、休診日を利用して渋谷のNHK放送センターに足を運びました。

HNKに伺うのは2度目。2008年に「命のカレンダー」を上梓した時にも「ラジオ朝一番 著者に聞きたい本のツボ」という10分くらいのコーナーに出演させて頂いています。
あの時も「生放送」ではなく、「録音」だったのですが、編集無しで一発で決めるというスタイルで、とても緊張感がありました。

今回の「ラジオ深夜便」。僕はテレビ・ラジオに疎いのですが、HNKの看板番組の一つだそうです。Wikipediaを読むと、リスナーは毎日200万人と書かれています(365日やっている番組です)。
知人の編集者に聞いたところでも、大きな反響のある番組とのことでした。

僕が出演するのは午前4時に放送される「明日へのことば」というコーナー。40分にわたるインタビューです。
テーマは「授かりものの命を支える」。
2013年に上梓した「運命の子 トリソミー」が番組の企画のきっかけになっています。

今日はスタジオにお邪魔して、ディレクターさんから1時間18分にわたって会話のやりとりをしました。「運命の子」はもちろん、「呼吸器の子」で学んだことも喋ってきました。
ただ僕はもう56歳になっており、2008年の時と比べて話がずいぶん下手になったなと感じます。語彙が少なくなっているし、表現する力も弱くなったような。しかしまあそれは編集でどうにか調整してもらいましょう。
1時間18分の会話が40分にまとめられることになります。

放送は2月9日(金)の朝4時。みんな寝てますよね(笑)。
でも、興味のある方は、「ラジオ深夜便」のホームページから聴いてください。
http://www4.nhk.or.jp/shinyabin/
後日、アップされますので、録音を聴くことが可能です。

僕のとっちらかった話を整理して頂かなくてはならず、ディレクターさんには大変申し訳ない気持ちです。
仕事を増やしてしまって申し訳ありません!

「空気」と「世間」 (講談社現代新書) 鴻上尚史2018年01月19日 21時47分14秒

「空気」と「世間」
ロングセラーですね。
「空気」とは何かを考えた著者が「世間」との関係性に注目した作品です。
結論として、「空気」とは「世間」が流動化したものということになります。
鴻上さんは、とても分かりやすく書いたよと言っていますが、ぼくの頭では理解できない部分がいくつもありました。
日本人にとって「世間」という概念は、自身の文化を考える上でとても重要なキーワードだと思います。
たぶん「世間」をうまく翻訳できる欧米語は無いのではないでしょうか?
そんな期待をたくさん持って読み進めた本でしたが、まだまだ自分は勉強不足と知らされました。
以前に、
「世間」とは何か (講談社現代新書)  阿部 謹也
を読んだ時も、宿題を抱えたような気になりました。
おそらく今後も日本人論とか日本文化論について類書を読んでいくと思います。
もうちょっと修行を積みましょう。