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グラーグ57(新潮文庫) トム・ロブ スミス2009年10月01日 18時58分48秒

読みました。トム・ロブ スミスの「グラーグ57」。
大傑作の「チャイルド44」の後の作品ですから、書く方も大変だったと思いますが、読む方も心構えが大変でした。

いくらでも誉めることは可能なのですが、どうしても前著と比べてしまいす。
良くないですよね、比べるってことは。

それでも敢えて、この本の批判をすると、タイトルが良くない。
「グラーグ57」と最初に聞いた時は、興味をそそられて、「あ、良いな」と思いましたが、これは売るための新潮社の戦略だったようです。

原題は「グラーグ57」ではないようです。
そして、本を最後まで読んでみると、このタイトルは内容にふさわしくないことが分かります。

「チャイルド44」という存在を無視して、この本だけを詳細に分析して論じてみれば、トム・ロブ スミスという作家はやはり天才だと思います。

この後、三部作の完結編があるというではないですか?
多いに楽しみにして待ちましょう。

千葉市4ヵ月健診へ行く2009年10月02日 18時06分01秒

今日の午後は、千葉市の4ヵ月健診へ出かけました。

なぜか、今日はお見えになった家族が少なくて、お陰で楽をさせてもらいました。

3人の医師で健診を行っていくのですが、今日、一緒だった先生は、「あべひろきこどもクリニック」の阿部先生。

大学病院で共に働いたこともあります。
阿部先生は比較的若い時期に開業して、地域で大変評判な小児クリニックとなりました。
それはもう、伝説と言っても良いような、評判を博しました。

その頃は、「つばきこどもクリニック」も「沼澤小児科」も「そがこどもクリニック」もありませんでしたから、ものすごい数の患者さんがクリニックに殺到したのではないでしょうか?

ま、阿部先生の実力だけだけでなく、人柄もあったのでしょう。

僕なんかからすると及びもつかない「名開業医」です。

「子どもへの性的虐待」(岩波新書)森田ゆり2009年10月04日 23時46分37秒

森田ゆりさんの「子どもへの性的虐待」を読みました。

子どもへの性的虐待、それは人間が犯し得る最も罪の重い犯罪かもしれません。
もちろん、犯罪の軽重を比較することは不謹慎だし、不真面目にとられるかもしれません。
しかし敢えて言えば、殺人には「鬼畜のごとき犯行」から「正当防衛に近い犯罪」まで幅があるのに対して、「子どもへの性的虐待」には一切の情状の酌量の余地は無いでしょう。

森田さんはそういうところをきっちりを書き込んでくれています。
また、性犯罪者が刑期を終えた後に、犯罪者の氏名や居住地を公表するアメリカの法律の問題点も指摘しています。

こういった本は、岩波新書を読むような読者層だけでなく、それこそ「本を読まない人」にも読んでもらいたい。
活字離れの時代と言いますが、活字でしか伝えられないことってある訳ですから、出版・報道・学者・ジャーナリストのやるべきことはまだまだたくさんあるということでしょう。

森田ゆりさんという名前はどこかで聞いたなと思いましたが、1988年に「ノンフィクション朝日ジャーナル大賞」を受賞した方でした。
遠い昔の記憶が蘇りました。
「聖なる魂(デニス・バンクス)」を書いたんですよね。

「しつけと体罰」森田ゆり2009年10月05日 23時24分55秒

昨日のついでと言っては何ですが、森田ゆりさんの「しつけと体罰」を読みました。
パンフレットのような薄い本です。

書かれている内容は、いちいち「その通り!」と賛意を表したくなるようなものばかり。
子育てで悩んでいるママってこの世の中にたくさんいると思いますが、絶対に参考になる一冊です。

僕もクリニックでこういうことを若いママたちに伝えて行けばいいのかも知れませんが、残念ながらそういった時間的な余裕はありません。

しかしそれは「やる気」の問題なのかもしれませんね。
開業医という仕事は、若い母親たちへの教育といった社会運動の要素もかなりあります。
大学病院にいて、高度先進医療をやっていると、そういう努力はまず不可能ですからね。

この本の中で一番面白かったのは、いかにしつけを行っていくかという実践論ではなくて、なぜアメリカで児童虐待やDVが無くならないかという点に対する社会考察です。

それは、アメリカが国家として戦争という暴力を振るうからだと森田さんは分析しています。
なるほど、それは鋭い解釈ですね。
虐待を受けて育った子どもは、親になると自分の子どもに暴力を振るうと言います。
人間って自分の経験した世界の中で生きていますからね。

しかしこうして「しつけ」の問題を分析していくと、「親子」「夫婦」「家庭」「職場」「社会」「国家」そして「世界」と、暴力で他者を屈服させようとする世界がいかに醜いものか実感できます。

僕は今、開業医になって、誰も屈服させようと思っていないし、誰からも屈服させられていませんので、それは本当に良い環境に住んでいるのだと思います。

忘れないように、草深先生2009年10月06日 23時51分01秒

先日、日大・小児外科の教授、草深先生の訃報に接し大変なショックを受けましたが、その思いは時が経っても薄れることはありません。

草深先生とは「飲み友達」でも無ければ、「個人的な悩みを打ち明ける友人」でもありませんでした。
しかし同世代・同年代として、共に小児がんに立ち向かった仲間ですから、言って見れば「戦友」でしょう。

日本小児外科学会に所属する2500人の医師のうち、いわゆる「名誉会員」という称号を得ている方は、お亡くなりになると追悼記事が学会誌に掲載されます。
しかし草深先生のように年齢の若い現役バリバリの先生にまさかのことがあっても、学会から我々会員に連絡が来るなんてことはありません。

そういったことは、日本外科学会でも日本小児科学会でもやっていないでしょう。
しかし小児外科学会なんて、こんなにも小さな学会なんだから、全会員にメールで訃報を送れないものでしょうか?

僕はお線香をあげることができなかったこともショックでしたが、日本中のほとんどの小児外科医に知られずに先生があの世に旅立たなくてはならなかったことも辛かった。
研修医だろうが教授だろうが、人の記憶に刻まれないというのは何とも切ない。

改めて草深先生のことを記したのは、つい先日、1通の手紙をもらったからです。
差出人は、僕が直接には知らない人。
その方は、僕の書いたブログでの追悼文を読んで、心に感じるものがあり手紙をくれたそうです。
草深先生を偲んでいる人は、この世にいっぱいいます。
せめて僕は、ずっとずっと忘れないようにしたいと思います。

同窓会誌に掲載2009年10月07日 23時40分41秒

「命のダイアリー」が発売されて1週間が過ぎましたが、売れ行きは、ま、そこそこのようです。

流行作家ではありませんから、発売と同時にヒット! なんてことはあり得ません。
しかし前著「命のカレンダー」もこんな感じだったので、静かに長く売れてくれれば嬉しいです。
全然売れなければ講談社さんに大迷惑をおかけしますから、それだけはなんとか回避したいですね。

前著と言えば、Amazonを見ると、何故だか最近になってけっこうが売れています。
今回の作品に引きずられてということなら分かりますが、どうも前著の方が売れ行きが良いみたい。
本屋ではもう手に入らないからAmazonで売れているということでしょうかね?

さて、今回の作品も「千葉大医学部・同窓会誌」に紹介文が掲載されることになりました。
今夜はその原稿を書きましょう。

明日は大型台風が上陸との予報。
色々な面で心配ですね。

新型インフルエンザワクチンは、まだ2009年10月08日 23時49分50秒

新型インフルエンザワクチンの接種が、もうそろそろ始ろうとしています。
現在、日本中でその準備が動き出しています。
おそらく、うちのクリニックでも接種することになるでしょう。
まだ確定ではないですけど。

最新情報はホームページやブログを通じて広報していきます。
毎日電話による問い合わせがいくつも来ますが、これにはとても困っています。
通常の医療業務に影響があるからです。

電話よりも、ホームページを見て下さい。
新しいことが分かり次第、報告しますね。

ワクチンに期待しないで2009年10月09日 23時51分16秒

9時のNHKニュースを見ていたら、新型インフルエンザワクチンの話題にからみ、受験生がなぜ接種対象者にならないのか、大きく報道されていました。

これは大変理解の底が浅いニュースでした。

新型インフルエンザワクチンの効果は、現時点で誰も知りません。
この予防接種を受ければ、感染しないという保証は全然ありません。
接種すれば重症化が避けられることが期待されているに過ぎません。
ですから、基礎疾患を有する人や妊婦さんが優先されるのだし、この病気の治療にあたる医療従事者が優先されるのです。

高校生や受験生が後回しになるのは当たり前ではないですか?
若いし、健康だし、元気だし。

大学受験というのは、「優秀な人間を選ぶ」ために大学が行うのではありません。
優秀な人間なんてこの世の中に掃いて捨てるほどいます。
そうではなく、「優秀でない人を落とす」ために行うのです。

大学受験の浪人生などは、入試の直前はただ自宅で勉強だけをしている訳でしょ?
それで、インフルエンザに感染するなんて体調管理がよっぽどできていないことになります。

優先順位が妊婦さんと比べて後回しになるのは、あったり前の話です。
大学入試という人生の関門に挑む若者は、体調管理を自分でしっかりやってください。

インフルエンザにかからない方法2009年10月13日 20時39分15秒

新型インフルエンザの予防接種は、妊婦さんや基礎疾患を持つ方が優先され、高校生は後回しになります。
大学受験の浪人生はさらに後回しになります。
と言うか、優先のリストに入っていません。

これはなぜか。

新型インフルエンザは、いずれ季節型インフルエンザに置き換わり、毎年冬に必ず流行することになります。
ですから、予防接種の目的は、病気にかからないことではなく、重症化することを防ぐためにあります。

受験生に限らず、世界中の人が誰一人かからないことを僕も希望しますが、残念ながらこのウイルスは必ず流行するし、僕だってかかるかもしれません。

浪人生が受験を前にしてインフルエンザにかかりたくないのは当たり前です。
僕だって浪人生でしたから、そんなことはよく分かります。
ではどうすればいいのか?
それは入試の前の2週間は自宅で勉強することです。
こんな簡単なことができませんか?

高校生は妊婦さんよりも順位が後ですが、優先のリストに入っています。

「無理」の隣り2009年10月14日 08時47分53秒

無理の隣り
我が家は、毎週日曜日になると、鎌取ジャスコか蘇我のアリオさんに出かけます。

前著「命のカレンダー」は、ジャスコには平積みにされましたが、アリオには1冊、棚に挿されただけでした。

ところが今度の「命のダイアリー」はと言うと、ジャスコはもちろんのこと、写真をご覧下さい。
ほら、アリオでも一番目立つ場所に堂々と平積みされています。
隣りは、奥田英朗さんの「無理」。

僕が一番好きな作家さんの隣りなんて、こんなに嬉しいことはありません。

さて、あちこちで平積みになっている「命のダイアリー」ですが、別にベストセラーになっている訳ではありません。
まだ初版です。
5000部刷られただけです。
ただ、講談社さんとしては、販売に力を入れてくださり、本屋さんに「目立つ場所での平積み」をお願いしているようです。

これが効を奏して売れてくれれば良いのですが。
発売からまだ2週しか経っていませんので、反響はこれからでしょうか。