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コロナ後の世界を生きる――私たちの提言(村上 陽一郎・編)2020年08月26日 22時14分50秒

コロナ後の世界を生きる――私たちの提言
ものすごく期待して読みましたが、全体的にちょっと抽象的でした。
もっとも良かったのは、山口香(元柔道家)さんの文章。五輪をめぐるスポーツと政治の距離の論考が秀逸でした。
そのほかにも、今、欧州で起こっているグリーンリカバリーという概念とか、勉強になることがいくつかありました。

コロナ後の世界をどう生きるか?
ぼくが最も大事だと思うのは、政治とサイエンスの相互関係です。
政治家が科学に無知あってもしかたないと思います。であれば、政治家は科学を大事にして欲しいと思います。
安倍さんの言う「日本モデル」とか、麻生さんの言う「民度のレベルが違う」というのは、科学者から見れば意味不明です。
今、科学者が懸命にファクターXを探しているときに、政権にある人間が(第一波が)収束したのは自分たちの手柄みたいに言うのは、非常に危険だと思います。

大きな自然災害はこれからも起こるし、疫病のパンデミックもこれからも起こりうる。それにどう対応するかと言えば、方法は科学しかないわけです。
河川の氾濫があればすぐにダムを作れ!では、これからの社会は成り立っていかないでしょう。
政治家は科学に対してもっと謙虚になって、科学的な政治をやる必要があります。

コロナウイルスが終息したのち、政治は懸命に経済の復興に努めて、原状回復を目指すでしょう。
しかしそれでいいのか? これを機会に政治が何を目指すのか、根底からもう一度考え直してみる必要があるのではないでしょうか?
日本は一人あたりのGDPが低く、大学進学率も高くありません。つまり日本は貧しく、低学歴の国なんです。世界のイノベーションからは完全に遅れており、GAFAのような企業が生まれてくる土壌はありません。
ベンチャー企業が飛び抜けて出てくる社会構造でもなく、ユニコーン企業もほんのわずかです。

このままジリ貧を選ぶという選択もあるかもしれません。しかし本当にそれでいいのか?
いまの政治は、どういう国の形を目指すかというビジョンを示しません。憲法9条に自衛隊を明記するということや、「こんな人たちには負けない」ということにものすごいエネルギーを使います。
大事なことが抜け落ちていると言わざるをえません。
この30年で政治は停滞し、この20年で、私たちの祖国の社会構造はメチャクチャになりました。
コロナが去った後には、ただ現状を回復するのではなく、地球全体が抱えている問題を解決に向かって政治が動くこと、「物を作って消費して儲ける」から「人が生き延びることができる」社会へ変革して行って欲しいと願います。