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海をあげる(上間 陽子)2021年09月12日 22時27分45秒

海をあげる
大変評判がよく、帯にもたくさんの作家さんたちが賛辞の言葉を贈っているので、ぼくがこれ以上褒めなくてもいいでしょう。
すでに賞もいくつも取っているし。
この本はエッセイ集です。
ですから一つひとつの話には関連性がないのは当たり前です。
だけど、エッセイ集って全体のパッケージングというかメインテーマがあってしかるべきではないでしょうか?
途中に、『裸足で逃げる』で書いたような若者たちが風俗業で働いている状況の記載がありますが、これはエッセイと言えるのでしょうか?
これはさすがにルポルタージュではないでしょうか?
エッセイ集の巻末に科研費の一覧を示す作品など初めて見ました。
最初と最後の章は書き下ろしだそうですが、そこだけ全体から浮き上がっています。
要は、一つひとつの章はいい内容なんですが、全体としての出来上がり、つまり本の完成度としてはどうなのかと疑問が残りました。
書き下ろしの文章を読めば、非常にクオリティーの高いエッセイを書く人だと思いますので、こうしたweb記事のまとめてではなく、「沖縄の基地問題」に特化して1冊エッセイを書けば、ものすごくいい作品ができるんじゃないでしょうか?
そこに娘さんの成長を挟み込んでいけば、深みも出ると思います。
もっとも筆者は大学の教授先生なので、そんな暇はないかもしれませんが。