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人新世の「資本論」(斎藤 幸平)2021年09月22日 00時23分48秒

人新世の「資本論」
今更ながら・・・という感じですが読んでみました。
人新世(ひとしんせい)とは、人類が地球を破壊し尽くす時代のことです。
経済成長と環境保護は両立できず、これからは脱成長に向かっていかないと地球は滅亡するという主張です。
つまり資本主義ではダメということ。そこでマルクスなのです。
筆者の主張は大変よく分かり、勉強になりましたが、本としてはあまり面白くありませんでした。
これが30万部以上売れているというのは、驚きです。
こういうハードな本でもベストセラーになるというのは素晴らしいと思います。
なおかつ、退屈な本でも売れるというのは素晴らしいなと思いました。
筆者は1987年生まれ。ぼくが医者になった年だ。
うーん。これは唸るしかありませんね。
資本主義社会の将来に不安がある人にオススメです。

知的文章術入門(黒木 登志夫)2021年09月22日 23時45分51秒

知的文章術入門
黒木先生には、日本癌学会の発表のときに座長をやって頂いたことがあります。
それはそうとして、先生の書く本はすべて面白く、今回も期待を胸に読みました。
先生は以前に中公新書から『知的文章とプレゼンテーション』という本を出しています。
その本と重複もあり、前著のバージョンアップ版という印象でした。
ただ、英語に関する解説は前著をはるかに凌いでいると感じました。

本書の出だしは「知的文章」の書き方です。先生は本多勝一の本を引用していますが、改めて本多さんの偉大さがわかります。
分かりやすい日本語・・・それは本多さんによって『日本語の作文技術』で完全に語り尽くされたと言えます。
この本を凌ぐ本は出てこないのではないでしょうか。

プレゼンテーションに関しては、「パワーポイントは自分で作れ!」というセリフがよかったですね。医学部の教授に聞かせてやりたいです(笑)。

日本人(研究者・企業人)が英語とどう付き合っていくのかは本当に難しい問題です。
ぼくも拙著『どんじり医』で書きましたが、英語には本当に苦労しました。
現在、m3.comに連載中のエッセイにも近いうちに、留学(に行けなかった)の話を書く予定です。
ぼくの恩師の東大の元小児外科教授先生は、ぼくより10歳以上年上ですが、現在でも英語で雑誌や本を読んでいます。
ぼくも英語を読む習慣を続ければよかったと今になって思いますが、開業医になったときは忙しくてその余裕はありませんでした。
その代わりと言ってはなんですが、本を書くことで日本語を磨いています。

黒木先生はぼくより25歳も年上。今年で85歳でしょう。その年齢でこういう本を作ることができるのは驚異的なことです。
ぼくには無理だな。
若い頃に勉強する習慣がしっかりと身についていたのでしょうね。
見事な1冊です。