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ダウン症をめぐる政治――誰もが排除されない社会へ向けて(キーロン・スミス)2018年11月03日 17時34分37秒

ダウン症をめぐる政治――誰もが排除されない社会へ向けて
もしかしたら、イギリスは世界で最もダウン症児が生まれないことに執念を持っている国かもしれません。
しかしながら、もし、ダウン症の子が生まれてくると、手厚い支援をすることでも知られています。
いわゆるダウン症児に対するダブルスタンダードですね。

イギリスはNHS(国立健康サービス)により、医療費が無料です。だから、費用対効果を計算します。
ダウン症が生まれた場合に、医療支援をする場合の費用と、出生前診断によってダウン症を生まれる前に見つけるコストを比べる訳です。
その結果、イギリスの妊婦は、母体血清マーカー診断とNT(胎児のうなじの浮腫みを測る超音波検査)を無料で受けられます。
しかしながら、宗教的な理由などで、こうした検査を受けない妊婦も30%くらい存在すると言われています。

障害児に対する支援はこんな感じです。
障害を持った子が保育園に入園すると、保育園に対して追加の予算が国から配分されます。
通常学級に障害児が通う場合には、マンツーマンで支援員が配置されます。
イギリスのGDPに対する障害者への公的支出の割合は、2.9%に達しており、これは日本の1.0%のおよそ3倍にあたります。

そうしたイギリスにおいても、著者はダウン症児が社会から排除されていると問題を提起しています。
学校がそして社会がダウン症児(障害児)をインクルージョンしていくことが、いわゆる健常者にとっても実はいい社会であるのだとぼくも思います。

日本でも障害者差別解消法が2年前からスタートしましたが、障害児を本当にインクルージョンするまでにはもう少し時間がかかりそうです。
しかし悲観ばかりしてもしかたがないので、一人ひとりが歴史の歯車を回す努力をこつこつと積み上げていくことが重要かなと考えます。