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TPP亡国論 (集英社新書) 中野 剛志2013年08月09日 20時22分29秒

TPP亡国論 (集英社新書) 中野 剛志
今頃・・・という感じですが、中野さんの「TPP亡国論」を読みました。

難しい経済の話を大変分かりやすく書いてあって、とても勉強になりました。
ぼくが普段から「何となく」おかしいと思っていたがことが、非常にクリアに論じられている印象でした。
説得力も論理力も十分にあったと思います。
ただ、何カ所か、もう少し詳しくお話を伺いたいなと思った部分もありました。

TPPの条約締結は坂を転がるように、もはや止まりそうにありませんね。
国民的な議論もほとんど無し。
なぜでしょうか?
それは政治の責任だと思います。
政治家がTPPを自分の人気取りに利用するからです。

中野さんは、TPPを推進する政治家を「売国奴」と呼んでいます。
すると安倍さんも「売国奴」ということでしょう。

政治的なスタンスがまるで違う菅さんと安倍さんが、なぜTPP締結に向かって進むのでしょうか?

菅さんは「開国」というキャッチフレーズで内閣支持率を上げたかったのでしょう。
安倍さんは、「決められない政治」からの脱却で人気を高めたいのでしょう。
つまり100年単位で日本の国益を考えている政治家なんてほとんどいないということです。
そもそも政治家にどれだけ「教養」があるのか大変疑わしい。
「哲学」とか「経済学」をちゃんと知っているのか?
資本主義者であったとしても、マルクスの「資本論」くらいは読んでいて欲しいが、そんな人は滅多にいないのではないかという疑念がぼくにはある。

彼らは、基本的に「地域」や「業界」のボスであり、各構成員の利害を調整する「親分」みたいなものではないか?
そういう「経済」の素人が、何か勘違いして、国の方向を誤らせることがあれば、大変危険だと思います。

私たちはお隣の国が「世襲制」であり、大変遅れた国だと考えていますが(それだけならいいのですが、ミサイルをうったりするので困る)、日本の政治事情だって大して変わりません。
我が国の政治家というのは、大多数が「世襲制」で、身分が生まれながらにして決まっています。
え? 選挙がある?
では、山口4区の国会議員が、岩手4区から選挙に出て当選できますか?

こういう政治力の弱さは、「お上」に従ってきた日本の伝統なのでは?
「改革」、「改革」と叫んでいれば、政治家には何となく人気が出ます。だけど・・・・。
いや、もういいから、「改革」なんて。
「改革」しないでいいから、100年のスパンで日本の姿を語って下さい。
ちゃんと「歴史」に学んだ、未来への「展望」を聞かせて欲しいですね。