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ポリオに3分遅刻する2012年03月28日 22時31分08秒

今日の午後は、千葉市保健所でポリオの予防接種があり、このため診療が終わってから車で出かけました。
ぼくはモーレツな方向オンチな上に、車の運転が下手なため、道路が渋滞していると、抜け道でこれを回避するなどという高等技術は使えません。

余裕を持って30分前に出発したのに、保健所に到着した時は、3分の遅刻でした。

ぼくを含めて4人の医師が予診をおこない、流れ作業のようにポリオの経口接種が進んでいきます。
現在、日本のポリオは「生ワクチン」を使っているために、国民から多くの非難があがっていて、中には「不活化ワクチン」を待って接種を控える人までいます。

それはもちろん、それで正しい批判だと思いますが、経口接種の生ワクチンを選択した歴史も同様に正しかった思います。
今の日本ではポリオを発症する人は皆無となりましたが、昭和30年代には全国で数千人の患者が発生し、大きなパニックになっていたのです。

その状況を解決するため、「ぼくの恩師である清水文七先生」の恩師である川喜多愛郎先生が、経口生ワクチン(セービン・ワクチン)を導入して社会不安を鎮めたのです。
数百万人の子どもに予防接種を行うにあたっては、注射という手段を用いる不活化ワクチンは相当、時間がかかると言わざるをえません。

さらに言っておけば、当時の不活化ワクチンには技術的な問題点もあり、充分な不活化ができなくて、接種した子どもがポリオを発症した例もありました。

良い意味での流れ作業を眺めながら、そんなポリオワクチンの歴史に思いを馳せました。

さて、全員の接種が終わった後で、誰か医師が居残って患者さんの変化に対応しなくてはなりません。
ぼくは3分遅刻したので、その分、居残ることにしました。
何もせず15分間ボーっとしていましたが、こういう経験も必要でしょう。