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「長春発ビエンチャン行―青春各駅停車」(文藝春秋)城戸 久枝2012年03月24日 19時35分29秒

長春発ビエンチャン行―青春各駅停車
比較的厚い本でしたが、昨日と今日で読了してしまいました。

4年半に及ぶ、中国・ラオス・日本を結ぶ超長距離恋愛の話です。
片想いなのか、恋人同士だったのか、それもよく分からない迷い続ける青春の蹉跌の物語です。
筆者は、「あの戦争から遠く離れて」を書いた城戸久枝さん。
小説ではなく、自分の経験談です。
こういった極めてパーソナルな経験が1冊の本になるのは、もちろん、城戸さんが前著で数々のノンフィクション賞を受賞したからでしょう。
ぼくは大変面白くこの本を読みました。

何が良いって、それはやはり城戸さんの文章です。
切れば瑞々しい液体が滴るような、繊細でリリカルな言葉の数々。
揺れて、悲嘆にくれて、歓喜にわき、定まることのない感情の波が、音楽の旋律のように心地よく流れてきます。

こういった手記を読んで感激する人間(=ぼく)を、人は女々しいと言うかもしれません。
ええ、その通りです、ぼくは女々しいんです。

モーレツなベストセラーにはならないかもしれませんが、ぼくの記憶には長く残るであろう美しい本でした。
青春の日々に美しい恋愛をした、このブログの読者であるママたちに、ぜひお勧めします。