アクセスカウンター
アクセスカウンター

「加害者家族」 (幻冬舎新書) 鈴木 伸元2011年08月01日 20時45分15秒

加害者家族
タイトルに興味を惹かれて、けっこう好奇心満々で読みました。
だけど、いろいろな意味で難しい本でした。
後書きにも本書を書いた理由として「何がしかの意味があると考えている」と書かれていますが、その意味が何なのか?

今の日本は刑事裁判の厳罰傾向がどんどん加速しています。
「死刑制度反対」などと言おうものなら、「じゃあ、お前の家族が殺されたらどうする!?」と必ず恫喝されます。
死刑制度を存置する理由として最もよく聞くのは、「殺したら殺されるべき」だという応報主義です。

だけど、この説明にはかなり無理があります。
なぜならば、「永山基準」に従えば、人間一人を殺しても死刑になることはまずありません。
人間一人の命を死刑で奪うためには、それ相当な深い理由、それを以て代え難い「死刑」しかないという理由が必要な訳です。
CP(脳性麻痺)の子どもを殺した親に、助命嘆願が集まるのをどう解釈すればいいのでしょうか?

短絡的に「殺したから死刑」では、日本の文化は世界標準から見れば後進国・低開発国・野蛮人の国と言われてもしかたありません。

こういう国で「加害者家族」という本を書くのは相当難しかったと思います。
この本が、良い読まれ方をすることを願います。