「牛と土 福島、3.11その後。」眞並 恭介2015年07月08日 11時39分31秒

「牛と土 福島、3.11その後。」眞並 恭介
大変な力作だと思います。
原発災害をどう描くか、ジャーナリストにとっては腕が試されると思いますが、「牛と土」にフォーカスを当てるのは新機軸です。
骨太の作品に仕上がっていますね。

ノンフィクションを書くにあたって、取材対象を「三人称」で書くか、「私とインタビューに答えるあなた」で書くかという問題があります。
この本では適宜「私」が登場しますが、「三人称」の場面が多数でてきます。
語り口をどうするか非常に難しい問題で、もちろん正解はないのですが、本書に関して言えば作者の一人語りの方がより良かったのではないかと考えます。
もちろん、そうではないという意見もたくさんあると思いますが、作者が取材対象とどこまで自己同一化して、警戒区域に入っていったか、もっと表現してもよかったと感じます。

この本も高い評価を得るのではないでしょうか?