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黒澤明「影武者」を観る2010年10月24日 19時01分28秒

影武者
黒澤作品の中でもっとも問題の作品ですね。
賛否両論がとびかった映画ですが、往年の名作に比べれば、面白くないことは一目瞭然です。
これと「用心棒」や「七人の侍」が同じ面白さだと言ったら、それは頭が変だと思われます。

何がよくないかという点に関してもいろいろな分析が成り立つと思います。

橋本忍は脚本を読んだ段階でこれはダメだと思ったと自著に書いています。
(それなのに、映画のクレジットに「脚本協力・橋本忍」と出てくるのは、本当に大人の世界って汚いと思います)

僕の意見も同じで、テーマは影武者のはずなのに、クライマックス(長篠の合戦)の手前で影武者は正体がばれて追放されてしまいます。
そうするとここから後は、我々は一体に何を観たのでしょうか?

この映画の出だしのシーンは、本当に面白いし、いかにも黒澤映画という滑り出しなんです。
それがこういう形に展開。
悪い意味で、竜頭蛇尾の反対。

黒澤さんは、一大戦国スペクタクル絵巻を撮りたかったのかもしれませんね。
この時、黒澤さんは70歳。

人間ってそういう生き物かもしれません。
いまさら、「椿三十郎」は撮れないということでしょう。