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「マルコムX自伝」(中公文庫)2010年05月24日 20時44分23秒

マルコムX
マルコムXなどというと、「またなんでそんな過激な本を」とか、「お前はものの考え方が偏っている」とか、いろいろな悪口を浴びそうです。
僕の家内も大変ですよね、こんなへそ曲がりな亭主を持って。
ま、しかし、それは諦めてもらうしかありません。

さて、「マルコムX自伝」の完訳が、最近、再版になったのを知り、さっそくAmazonで買いました。

マルコムXの生い立ちやその思想に関して、これまでいろいろな書物などで知っていましたから、取り立てて驚く内容はありません。
彼の思想をここで紹介したら、みなさんは腰を抜かして驚いて、「なんて偏った物の見方!」とか言って、「ドンビキ」状態になってしまうでしょう。

今日、書きたい内容は、そういった彼の思想信条ではなくて、この本の成り立ちです。

著者名は「マルコムX」となっていますが、実際にこれを書いたのは、アレックス・ヘイリーであることはかなり有名です。
ヘイリーと言えば一世を風靡した「ルーツ」の著者ですよね。
え? 「ルーツ」を知らない?
・・・・
で、これは長時間にわたってヘイリーがマルコムXにインタビューをして聞き取ったものを、彼の一人称として書いている訳です。

これはヘイリーの聞き取り技術がすごいのか、マルコムXの記憶力がすごいのか、よくぞここまで詳細にわたって自分の半生を語れると思います。
ちょっと信じがたいほどです。

「取材」と「インタビュー」は、また別なものなのですが、これはもうそういったことを突き抜けて、二人の共同作業みたいなものかもしれません。

ノンフィクション文学の成り立ちという視点からみても、大変興味深い作品です。