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ナオミとカナコ (幻冬舎文庫) 奥田 英朗2018年11月16日 16時08分13秒

ナオミとカナコ
日本小児血液・がん学会のために京都へ3日間行っていました。学会では特別講演を仰せつかり、「障害児を受容する」こと、「障害を生きる」ことの意味を述べさせて頂きました。聴衆も多く、こうした貴重な機会を与えてくださった細井創教授には本当にいくら感謝しても感謝し切れません。

さて、旅と言えば読書です。
今回の旅に僕が選んだ本がこれ。
奥田さんは、犯罪小説・ユーモア小説・日常を切り取る小説を書きます。どの本を読んでも外れはなく、日本を代表するエンターテインナーだと思います。
奥田さんの事実上のデビュー作は、「最悪」。犯罪小説ですね。
ぼくはこの本を読んで奥田さんを知ったのですが、この人、天才かと思いました。
その後、犯罪小説だけにとどまらず、ユーモア小説などにも進んで行きます。
ときどきくり返し表現が出てきたりすることがありますが、とにかく人間を描く、人間の気持ちを描くということに関しては稀代の作家でしょう。

「ナオミとカナコ」は、タイトルだけではわかりませんが、これも犯罪小説です。前半でほんのわずかもたつく部分もありますが、後半になると読むスピードに加速がつき、あまりの緊迫感にページをめくるのがもどかしくなります。
一気読みの面白さとはこのことでしょう。
500ページを超える作品ですが、あっと言う間に読了してしまいました。

こういう本を読むと、やはりフィクションの「強さ」を感じます。ノンフィクションは基本的に事実を伝えることが最優先ですから、形容詞の部分が少ないんですね。いえ、佐野真一さんは「形容詞は腐る」と言っていました。
だから極論を言えば、5W1Hで成り立ってしまうんです。
ところがフィクションの場合は、どれだけ人間の心を表現するかに重点が置かれますから、作家として表現力が問われる、そして鍛えられる訳です。
だから、大雑把に言ってしまえば、フィクションの作家は文章力がノンフィクション作家よりも全然上ですよね。
したがってノンフィクション作家がそれに負けないようにするためには、取材によって大量の事実を掘り起こすしかないんです。
「事実は小説より奇なり」と読者に思ってもらわないと、ノンフィクションは買ってもらえないでしょう。

「ナオミとカナコ」。
クライムノベルが好きな人には超オススメです。

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