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満洲難民 三八度線に阻まれた命 (井上 卓弥)2016年06月12日 17時37分49秒

満洲難民 三八度線に阻まれた命 (井上 卓弥)
満州が瓦解した時、日本人は必死の思いで日本へ引き揚げてきたのでしょう。
しかしその中にはスムーズに帰還できず、大量の難民も発生しました。
朝鮮半島を南下した人たちは、38度線で移動を阻まれます。
大戦終結直後のこの時点で、すでにアメリカとソ連で朝鮮半島は分断されていたのですね。
従って人の移動は禁じられ、日本へ帰れない人たちは飢えと病気と暴力によって塗炭の苦しみを味わいます。

いつの時代でもどの地域でも「難民」は命のギリギリのところまで追い詰められてしまいます。
満州崩壊に伴う「日本人の難民化」について語られた本はほとんど無いのではないでしょうか。

本書はどういう「視点」から書かれたノンフィクションなのかと、読書中ずっと考えていました。
それはようやく「あとがき」を読んで明らかになりました。
別に隠す話でもないので、最初に教えてもらえればもっと感情移入して読むことができたような気がします。

「ラーゲリから来た遺書」を彷彿とさせるような名作でした。