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医学的根拠とは何か (岩波新書) 津田 敏秀2014年05月05日 22時38分26秒

医学的根拠とは何か
今日の2冊目はこれ。
大変良い本だと思います。医学生にはちょっと難しいかもしれませんが。

この本にあるように、勘と度胸と経験に基づく医療をやっている大学でぼくは医者として教育を受けました。
研修医を終えて大学院へ進み、小児がんの仕組みを分子レベルで解明する(この本で言うメカニズム派)ことを目指しました。
大学院修了後も研究は継続し、同時に、日本中の小児肝がんのデータを数値化する仕事もしていました。
集めた数値を統計処理する訳ですが、そんな方法は誰も教えてくれず(教えられる上司がいない)、自分で統計学の本を読んで解析したものです。
分子生物学と疫学の両方をやった小児外科医は日本でぼく一人でしょう。

この本にあるように日本では臨床研究が大変遅れています。
日本の小児がんの分野では10年前くらいからそのことに気づいていた人が何人かいました。
しかし彼らが道を誤ったことは、幼稚園の次に大学へ行こうとしたことです。
幼稚園の次は小学校。
こんなこと誰でも知っています。
過去のデータを数値化もしないでいきなり全国規模で臨床研究することは、患者不在の冒険主義です。
勘と度胸と経験に頼った医療とたいして変わりません。
ま、ビジョンはそれほど悪くなかったと思いますが。

この本では実名を挙げて、ダメな科学者を批判しています。
いやあ、すごいですね。
とても真似できません。気が小さいので。岩波もよく書かせたなあ。

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