「見るまえに跳べ」(新潮文庫) 大江 健三郎2013年02月24日 22時32分55秒

見るまえに跳べ
やはり文学では大江健三郎が圧倒的に好きです。
何が良いって、文章が良い。
こういう文章を書ける大江さんは天才なのでしょう。

若い頃の大江さんは短編をけっこう書いていました。
ぼくは短編にこそ、大江さんの魅力があると思っています。
いや、大江さん以外に話を広げても、純文学で感銘を受けた長編というのはあまり多くはありません。
絵画だって鑑賞する時間は数分でしょう。
音楽は、クラシックはよく分かりませんが、アバンギャルド・ジャズでいいなと思うのは15分くらいの長さです。
文学だって一瞬で読み切るのが、いい読み方だと思います。

「見るまえに跳べ」は、大江さんが23歳の時の作品だと思います。
若者の絶望感・虚無感・喪失感・無力感が表現され、置き換えることの不可能な人間の孤立感が強い輪郭をもって描かれます。
初期の傑作の一つです。